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肌は光を感じている。肌は音を聞いている。そして肌には心があります。

資生堂の研究チームの傳田光洋先生の
ご講演をいつも楽しみにしています。
(資生堂グローバルイノベーションセンター&
国立研究開発法人科学技術復興機構CREST
傳田光洋先生
医者のみの学会ではなかなか聞くことのできない
皮膚科学の最先端の情報が得られます。

先日の「ナビジョン」のセミナーでのお話の続きです。

熱い、寒い、騒がしいなど
生活の中で常に目まぐるしく変化する
身のまわりの環境の中で、
それに対応して私たちの身体機能を維持して
いかなければなりません。

これまではその環境変化をキャッチするのは、
脳や神経、循環器などの臓器が担っていると
考えられていました。
ところが全身を覆っている「皮膚」もその役割を
果たしていることが分かってきたと傳田先生は
おっしゃいます。

「皮膚は考える」

皮膚で感じた痛み、温度、圧力、湿度、pHなどの
環境因子のセンサーとみなされる受容体の存在が
明らかとなり、多様な感覚システムを持った
表皮ケラチノサイト(皮膚表面の細胞)には
脳などの中枢神経系に存在するような
高次情報処理システムが存在する可能性が高くなってきました。

*傳田光洋,皮膚は考える,岩波書店
*伝田光洋,皮膚科学というフロンティア:皮膚を科学する
,科学,76(12),1224~1227,2006

 

皮膚は光を感じています。
皮膚に光を当てると
皮膚の表面の細胞ケラチノサイトは
光を感じ取って様々な作用を示すタンパク質
(光感受性蛋白質)を発現することが分かっています。
傳田先生の研究によりますと
赤外線を当てると皮膚のバリア機能は改善するように
促進され、逆に青い光(紫外線など)は回復を遅らせる
とのことです。

 

皮膚は音も聞いています。
体表には超音波感受性機構があり
10~30Hzの音は、皮膚のバリア機能を
回復させるとのことです。

 

温かさ、冷たさは
皮膚に届いている神経だけでなく、
肌細胞自身も感じています。
皮膚には温度受容体TRPが存在します。
これまでは、皮膚感覚は、表皮に侵入している
無髄神経線維や各種神経終末によって
担われていると考えられてきましたが、
表皮ケラチノサイトにもTRPが存在します。
皮膚感覚の最前線にあり、
直接温度を感じ取っていることが示唆されています。
*傳田光洋:表皮ケラチノサイトにおけるTRPの役割、
日生誌 vol.74.no6.2012

そして、温度を感じ取って36度~40度に
皮膚表面温度を保つと、バリア機能の回復が
早くなること。それ以上低い場合や高い場合には
回復が遅れることが報告されています。

 


皮膚には心もあります。

皮膚の刺激は情動に影響を及ぼします。
マッサージをすると
リラックスして気分が落ち着くことは
みな経験することだと思います。
マッサージをすると
血中の幸せホルモン 「オキシトシン」
上昇していることが報告されています。
このオキシトシンは
「幸せホルモン」、「愛情ホルモン」とよばれ
赤ちゃんがお乳を吸うと放出されたり、
抱擁、性交渉など子宮頸部の刺激などで分泌が高まります。
このオキシトシンは脳で分泌されるといわれて
きましたが、
皮膚の表皮ケラチノサイトにおいて、
その前駆タンパク質が発現されていることがわかり、
皮膚でも合成され放出されていることが報告されています。
よって体に心地よく触れられると
オキシトシンが放出されて
リラックスし、幸せになるのですね。

逆にストレスホルモン「コルチゾール」
ストレスをうけるとストレスに対抗するために
分泌が高まるホルモンです。
でも過剰すぎますと
脳の海馬に作用して記憶力の低下、不眠、
免疫力低下などの悪影響が生じます。
肌でもストレスを感じるとコルチゾールの
分泌が高まります。
その肌のストレスは「肌の乾燥」です。
肌が乾燥しているとコルチゾールの分泌が
過剰になるといわれています。

 

このように肌は、私たちの周囲の環境を
いち早くキャッチし、そして肌自らが「考え」、
身体機能を整えるために働いています。
もはや皮膚は臓器を被覆して守っているだけではなく
全身を統御する最前線にあるといえますね。

 

 

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