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アトピー性皮膚炎での「あせも」、「皮膚炎」そして「かゆみ」にも黄色ブドウ球菌が関係していようです
この時期「あせもかな?」と受診する方が多いですね。
特に小児では多いです。
みなさんが「あせもかも?」と思う症状には
二つあります。
意外と多いのは本来の「あせも(汗疹)」とは
厳密には異なる
「汗が付着することで生じた湿疹」です。
関節の内側など、汗が停滞して荒れてしまう症状です。
汗について>>>
「あせも」とは、
水疱のようなぶつぶつや赤いぶつぶつができます。
原因は、たくさんの汗をかいた時に、
汗管という汗の出る通り道が詰まることにより、
汗が皮膚内に貯留して小水疱を生じたものと考えられています。
発汗量が多いために交通渋滞のように詰まったり、
汗の出口が角質化した蓋でふさがれてしまってなったり、
と考えられていますが、
この詰まってあせもになる原因は、他にもさらにありそうです。
*Herbert Bet al:The presence and impact of
biofilm-producing stphylococci in atopic dermatits.
JAMA dermatology.2014 150(3);260-5
アトピー性皮膚炎においては、
多数の薬剤が効かなくなっている多剤耐性ブドウ球菌を
もっており、そして黄色部ブドウ球菌が有意に多かったとのことです。
さらには、汗腺の閉塞が確認でき、
そこでは黄色ブドウ球菌の閉塞(詰まること)と。
さらにはバイオフィルム形成が確認されていたという報告です。
(アトピー性皮膚炎と黄色ブドウ球菌の関係、
バイオフィルムについて>>>)
汗の出口がふさがるために生じるといわれている
「あせも」にも黄色ブドウ球菌が関係している場合が
ありそうですね。
でも清潔にしたからといって、
容易には除去できないバイオフィルム形成をしている
ことから、これらの除去は容易ではありません・・・。
さらに、
アトピー性皮膚炎では、
神経終末のプロテアーゼ活性化型受容体(PAR)-2の
発現が亢進していて、かゆみを引き起こしているという報告がもあります*1。
従来いわれていたヒスタミンによるかゆみよりも、
このPAR-2が広範囲なかゆみに関与していることがいわれるようになり、
従来の抗ヒスタミン剤のかゆみ止めの飲み薬が
かゆみにききにくいこともわかってきています。
その汗の出口の黄色ブドウ球菌の詰まった部位では、
PAR-2を介したかゆみの発生と、TLR2-MyD88経路に
依存した皮膚炎の発生の可能性が示唆されたとのこと
ですので、
あせもになったり、あせもが痒くなるのは
そのためかもしれませんね。
そして、あせもをかきこわすと「とびひ」になりやすい
のも、この汗の出口に詰まっている黄色ブドウ球菌が
関係があるのかもしれません。
アトピー性皮膚炎の方においては、とくに
「あせも対策は汗をかいたらすぐにシャワーしたり、
着替えましょう!」といっても、実はそれでは予防
しきれないかもしれません・・・。
とはいえ、前回ご説明しましたように、
夏にたくさんかく汗は、長時間皮膚についていると
刺激になりますので、「汗が付着することにより
生じる湿疹」を予防するためには、シャワーや着替えは
必要ですね。
*1.Briot A et al:Kallikrein 5 induces atopi dermatitis-like
lesions through PAr-2-mediated thymic stroml
lymphopoietin expression in Netherton syndrome.
J Exp Med.2009;206:1135-47
カテゴリー:★ 院長ブログ・医療情報 ★, アトピー性皮膚炎 更新日:2015年7月7日