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今気になる家庭内感染。帯状疱疹患者さんにおける家庭内でのお子さんへの水痘感染の実態

新型コロナウイルス感染においても
家庭内感染率は高いといわれています。
手洗い、うがい、接触にどんなに気を付けても
同居していますと家庭内での感染率は高くならざるを得ません。

帯状疱疹の場合の子供に水痘を感染させてしまう確率についての論文がありましたのでご紹介します。

帯状疱疹は、水痘・帯状疱疹ウイルスの再活性化によるものです。
はじめてこのウイルスに感染した際は水ぼうそう(水痘)として発症します。
その後ウイルスは体内に潜伏しますが、普段は自身の免疫力により抑え込まれています。
免疫力低下になりますとウイルスは再度活性化し、帯状疱疹を発症します。
帯状疱疹はその皮疹患部や飛沫からウイルスが放出され
水痘を感染させる可能性があります。

*新澤 みどり:家庭における帯状疱疹患者から小児への水痘感染について.西日皮膚80(2):137-140,2018

水痘の既往歴のない0~5歳までの小児と同居する帯状疱疹患者78例について追跡調査を行っています。
その結果96人の小児のうち10人に水痘(みずぼうそう)の二次感染が確認されています。帯状疱疹患者のうち9例(11.5%)が水痘の感染源となったことになります。
感染した患児の年齢は0歳児は24人中の3人(12.5%)、1~5歳児は72人中6人(8.3%)が帯状疱疹からの水痘二次性発症を生じています。
0歳児のうち7人は帯状疱疹の母親から授乳をうけており、うち1人が水痘を発症しました。
また水痘を発症した小児10人のうち2人は水痘の予防接種を受けています

そして小児で帯状疱疹になることもあります。
周囲の患児への水痘の二次感染のリスクについて説明し、帯状疱疹患児の学校への通学の停止を文書で学校へ提出しても、認められず通学してしまう事が多々ありました。
「学校感染症と出席停止の基準」においては「水痘」(正しくは「水痘・帯状疱疹ヘルペスウイルス感染症」ですが)は第2種に分類され、すべての発疹が痂疲化するまで出席停止が消えられていますが、同じウイルスの感染症である「帯状疱疹」については規定がなく、また教員も「帯状疱疹が水痘と同じウイルスである」という認識が不足していること。また、このような水痘の二次感染をを起こすリスクについて周知されていないことから、帯状疱疹の患児より水痘の蔓延を起こしている可能性が示唆されます。この論文にもあるように、ワクチンを接種していても、2%の患児は帯状疱疹患者から水痘に二次性感染しています。

この帯状疱疹からの水痘の二次性感染の感染経路は
(a)皮疹に直接触れる接触感染
(b)飛沫感染
(c)唾液中に排泄されることによる上気道からの飛沫感染
が挙げられていますが、
これまでは汎発性帯状疱疹(ウイルス血症となり全身に水痘の皮疹が散在する症例)の場合には(b)(c)もあるが、通常は(a)のみと考えられていましたが、
今回のこの論文でも、帯状疱疹の皮疹出現前の期間に感染した可能性のある発症例もあり、皮疹の出る数日前からすでにウイルスが排出されていた可能性が考えられる症例もあったそうです。
そして、興味あることに顔・頭部(Ⅴ、C領域)の帯状疱疹において、他の部位のおのよりも効率で水痘感染をもたらしている傾向が示されています。
単純に露出部であるからといことばかりでなく、
Mehtaらの報告によりますと(*Mehta SK,Tyring SK et al:Varicella-Zoster virus in saliva of patients with herpes zoster.J :197:654-657,2008)
顔面・頭部(Ⅴ・C領域)の帯状疱疹では唾液中のウイルスDNA量が格段に多いと報告されており、この領域のものは、単に露出部であるという理由のみでなく、唾液からの飛沫感染による拡散(C)により、居住空間に長時間ウイルスを排泄している可能性があると考えられます。

以上のように
家族に帯状疱疹が発症すると、同居の水痘の罹患歴のない乳幼児が水痘に感染する可能性があります。特にワクチンを接種していても水痘に感染する可能性があります。
したがって、成人家族が帯状疱疹のワクチンを接種して、自らの発症リスクを減らすことも検討してもいいですね。

次回はこの帯状疱疹のワクチンについての最新情報について
ご紹介したいと思います。

投稿日:2021年1月4日  カテゴリー:★ 院長ブログ・医療情報 ★, 健康情報・アンチエイジング