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帯状疱疹の神経痛には「神経ブロック注射」や「トラムセット(トラマドール塩酸塩/アセトアミノフェン配合剤)」が有用です

私が医者になった20年以上前よりも、
理由ははっきりしていませんが
最近は帯状疱疹になる方が増えていると思います。

帯状疱疹は昔かかった水痘(みずぼうそう)のウイルスが
体内に潜伏しており、免疫力の低下により再活性化され、
神経に沿っていたいやかゆいを伴う水疱や紅斑が帯状に出現する疾患です。
頭部から足先に至るまで、どの部位にでも生じうる
のですが、左右どちらか片側であることがほとんどです。

この帯状疱疹において、
急性期の帯状疱疹関連痛(zoster associated pain;ZAP)や
長期にわたりこの神経痛が残存する(3か月
以上)
帯状疱疹後神経痛(post-herpetic neuralgia;PHN)
になると
厄介です。

帯状疱疹の痛みはさまざまで
電気が走るような痛み、ビーンと走るような痛み、
筋肉痛のような痛み、うずくような痛み、
針で刺されるような痛み、擦り傷のようなひりひりする痛み、
灼熱感、衣服などがすれると痛いが走る(アロディニア)など。
また痛みとは言えませんが
虫が這うようなぞわぞわ感、痒みに近い違和感など多彩です。

これらの神経症状は、帯状疱疹・水痘ウイルスに対する
抗ウイルス薬を使用するとともに
アセトアミノフェンや
(NSAIDs:ウイルス及び薬剤との相互作用のため併用しないほうが良いものが多いので原則使用しない)で一般的に加療します。
多くの場合にはこれらで1週間ほどで治癒しますが、
疼痛症状が強い場合、痛みが持続する場合には
ほかの薬剤や治療を加える場合があります。


疼痛が強く、症状の強い場合には

早期に神経ブロック注射を行うのが有用です。
PNHが残るリスクがかなり減りますし、
血行改善により治りも促進されます。
ですが、神経ブロック注射を行えない施設であることや、
近隣に治療を受けられるところがないなどの理由で
医師から積極的に治療を紹介されないことがあるという
問題もあります。
日本ペインクリニック学会の帯状疱疹・帯状疱疹後神経痛
治療指針においても、「急性期の帯状疱疹に伴う痛みは、
一般的に持続硬膜外ブロックや末梢神経ブロックに
よく反応するため、積極的に施行することが好ましい*1。」と
されています。

*1.anabe H et al:Continuous epidural infusion of
local anesthetics and shorter duration of acute
zoster-associated pain.Clin J Pain 1995;11:220-228

 

帯状疱疹後神経痛はNSAIDS(一般的な痛み止め)では
効果が十分でないことが多く、他の薬剤を併用または追加します。

日本ペインクリニック学会「神経障害性疼痛薬物治療ガイドライン」が
2014年に改訂されました。

国際的EBMに基づいた薬物療法を明確にしています。

帯状疱疹後神経痛もこの神経障害性疼痛のひとつです。

 

第1選択薬

カルシウムチャンネルα2δリガンド
プレガバリン(リリカ🄬)など

プレガバリン(リリカ🄬)は中枢神経において「カルシウムチャンネルのα2δサブユニット」と結合することで神経伝達物質を抑制します。
睡眠の質や痛みに伴う抑うつ、不安も改善し、
痛みだけではなくQOLの改善効果も明らかです。

セロトニン・ノルアドレナリ再取り込み阻害剤
デュロキセチン(サインバルタ🄬)

デュロキセチンは疼痛を抑制する経路を賦活化させると
考えられています。


三環系抗うつ薬
トリプタノール🄬など

え?うつ病の薬??
非常に長い歴史において多くの症例において有意な鎮静効果があることが明らかにされています。
抑うつ作用とは別な機序で鎮痛作用があることがわかっています。

 

第2選択薬

ワクシニアウイルス接種家兎炎症皮膚抽出液含有製剤
(ノイロトロピン🄬)
名称とこの漢字が得体のしれない雰囲気を
出していますが(笑)
20年以上の臨床使用の歴史を持ち、安全性が高く、
帯状疱疹後神経痛に対しての鎮静効果が評価されています。

オピオイド鎮痛剤
トラマドール(トラムセット🄬など)

オピオイド受容体に作用し、神経伝達物質伝達、
興奮を抑制し、
また疼痛経路の抑制系を賦活化します。
トラマドールの中でもアセトアミノフェンも配合
されているトラムセット🄬はアセトアミノフェンの作用
により、急性期の疼痛に対しても効果があり、
治療早期からの使用に適しています。
この2剤が配合されたことで、それぞれを単独で
用いるよりも効果の持続時間の延長、副作用の軽減、
投与量の減少がみられています*2。

*2.Perrot S et al:Efficacy and tolerability of paracetamol/tramadol8325mg/37.5mg)
combination treatment compare with subacute
low back pain:a ulticenter,randomized,Double-blind,
parellel-group,10 day tretment study.Clin Ther 2006;28:1592-1606

 

経験したことのない痛みが生じたり、
発疹が見られたら、早めに皮膚科を受診し、
もし帯状疱疹であったら、痛みの後遺症が残らないように
このような適切な治療をうけましょう。

投稿日:2018年2月28日  カテゴリー:★ 院長ブログ・医療情報 ★