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芸能人のあの方がなったという「円形脱毛症」について詳しくご説明します① <円形脱毛症の病態の解明とそれに伴う治療の変遷>

先日芸能人の女性の方が
ストレスで円形脱毛症になったとの報道がありました。

何かのきっかけで多くは丸い脱毛部位が
主に頭皮にできます。
1個だったり、数か所に増えたり、
互いにくっついて広がったり、
頭部の全体が抜けてなくなってしまったり。
頭部だけではなく全身の毛もなくなったり
症状は多彩です。
自然に治ることも多いのですが、進行してしまうものもあります。

日本では、円形脱毛症とういうと
ストレスが協調されてしまう傾向がありますが
この10年で徐々に病態が明らかとなってきています。

「円形脱毛症」の「円形」の脱毛斑から生じるものが
多いですが、実際にはさまざまな脱毛の形態があり、
最近では「自己免疫性脱毛症」という場合も多くなりました。

病態が明らかとなりつつあるのに伴い、
治療法も変化しつつありますが、
現状は古くから使用されている薬剤や方法で行っている場合が
多く、
そのエビデンスも十分でないものもあります。
(海外ではすでに行われていないものも多いです)
ですが治療の長い歴史において、副作用も少なく、
莫大な治療実績からいまだ治療法のひとつとして
選択されている現状といえます。
円形脱毛症のステージ、時期を考慮せず
治療法の選択について根拠の乏しい判断で
漫然と治療が行われてしまう実態があるために
日本皮膚科学会から円形脱毛症のガイドラインが作成されました。

 

< 円形脱毛症の病態の解明とそれに伴う治療の変遷 >

円形脱毛症は遺伝的背景と誘因とが重なり
自己免疫反応が生じると考えられています。
自己免疫反応とは本来異物を認識して
排除するための免疫機能が自分自身の大切な細胞に
向いてしまい過剰に反応し攻撃してしまうこと

その自己免疫が働いている標的が解明されつつあり、
新たな治療展開が進んできています。
まだ推奨されてはいませんが分子標的薬剤の使用の検討や
円形脱毛症の病態に大きくかかわるサイトカインを阻害する
JAK阻害剤については現在米国で臨床治験がなされています。

 

遺伝的背景においては、親子や兄弟姉妹でなりやすい
傾向があり、
円形脱毛症と関連するというHLA遺伝子も見つかっています*1-2。
1卵性双生児では、ともに発症する率は55%とされています。
このように円形脱毛症は遺伝的になりやすい体質があります。

HLA遺伝子(ヒト白血球抗原→両親から受け継ぎ
現在は白血球のみでなく様々な組織に関連し、
免疫にかかわる重要な因子とされている)
*1.Colombe BW et al:HLA class Ⅱ antigen associations
help to define two types of alopecia areata,J AM Acad
Dermatol,33:757-764,1995
*2.de Andrade M et al:Alopecia areata in families:
association with the HLA locus,
J Investig Dermatol Symp Proc,4:220-223,1999

 

同じく遺伝的素因のある場合が多いとされるアトピー性皮膚炎
円形脱毛症が合併しやすいことも周知されています。
特に血液検査でIgEの高い群では円形脱毛症が有意に重症
であったという浜松医大、和歌山県立医科大学からの報告もあります。


そのなりやすい体質に「誘因」が加わると円形脱毛症が発症します。
その「誘因」は明らかにストレスといえるものが
ある場合もあれば、ない場合もあります。

その何らかの「誘因」により
円形脱毛症においてもっとも中心的なサイトカインといわれる
IFN-γ(インターフェロンガンマ)が脱毛病変部位で活発になる
ことにより、
本来反応する対象ではない毛に免疫反応が生じて
しまい、
攻撃し毛にダメージを与えます。
それが円形脱毛症です。

サイトカインとは、免疫に関連する細胞から分泌される
さまざまな作用を伝達するたんぱく質

ではこのIFN-γを抑制すれば円形脱毛症の改善につながる!
ということで、IFN-γなどの複数のサイトカインを阻害する
JAK1,LAK2阻害薬のruxolitinibやbaricitinibの効果が報告されています*3。
↑多血症のお薬です。
米国で臨床治験中です。
*3.Xing L et al:Alopecia areata is driven by cytotoxic T
lymphocytes and is reversed by JAK inhibition,Nat Med,20:1043-1049,2014
*4.Jabbari A et al:Reversal of Alopecia Areata Following
Treatment With the JAK1/2 Inhibitor Baricitinib, EBioMedicine,2:351-355,2015

 

 

円形脱毛症になっている部位の毛の周りには
IFN-γを産生するリンパ球(Th1,Tc1細胞)が密に
集まっています。特に急性期にはTH1細胞の浸潤が顕著です。

このことからこのTh1やTc1細胞が毛に集まってくるのを
抑制できれば円形脱毛症の改善につながる!
ということで近年はその細胞遊走性を阻害する効果のある
「第二世代 抗ヒスタミン薬」が治療の選択肢の
ひとつとなっています(ガイドライン推奨度C1)
じんましんや花粉症のお薬です。
オロバタジン(アレロック)、
フェキソフェナジン(アレグラ)、

エバスチン(エバステル)などの抗ヒスタミン薬についての
その効果が報告されています*5。
*5.Ohyama M et al:Experimental evaluation of ebastin,
a second-generation anti-histamine,as a supportive
medication for alopecia areata,J Dermatol Sci,58:154-157,2010

 

そのほかにも
円形脱毛症に関する論文報告があります

★円形脱毛症では酸化ストレス物質が上昇しているというほう報告>>>

★アトピー性皮膚炎と同様に、円形脱毛症においても
ビタミンDが欠乏しているという報告>>>

 

次回は現在推奨されている円形脱毛症の治療についてお話します。

投稿日:2017年9月30日  カテゴリー:★ 院長ブログ・医療情報 ★, 健康情報・アンチエイジング