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なぜ今 「腸内フローラ」なのか

先週末に、
米国での腸内細菌を整えるサプリメント
すなわちプロバイオティクスについて
著名な先生のご講演を聴く機会がありましたので。
その内容をお伝えしたいと思います。

腸内細菌叢のバランス修復に対する
プロバイオティクス、プレバイオティクスの有用性に
ついて研究されていて、国立衛生研究所(NIH)にて
長年ご活躍されたステファン・F・オルムステェッド先生
よりご講演いただきました内容と、一部私の解釈を
おりまぜて、腸内フローラについての周知の事実そして
最新情報をお届けしたいと思います。
(なお講演にて使用された一部スライドを引用させていただきました)

 

最近話題の「腸内フローラ」すなわち腸の中にいる
細菌たちのことです。
ヒトの腸の中には約100兆個もの微生物が住んでいて、
ある時はその菌に助けられ、
ある時はその菌に悪い影響を受けながら
私たちはこの菌たちと共存しています。
Sanfte Medizin im Verdauungstrakt - Infografik

腸内フローラは臓器の一つ
ヒトを構成する細胞の数よりも多い
この細菌叢に、私たちの体は大きな影響を受けています。
近年そのさまざまな機能が解明されて、
「腸内常在細菌叢は人の臓器の一つである」
いわれるようになりました。
そこでは、肝臓に匹敵する代謝が行われています。
私たちの消化吸収機能に大きく影響し、
カロリーの約30%は、これら微生物によって提供
されています。
ビタミンB、ビタミンKの合成
多価不飽和脂肪酸の産生にも重要です。
また、他から入ってくる病原菌に
感染しないように、実はこれらの常在菌に
守られています。
そして、最近では我々の免疫機能の重要な
役割を果たしているのは腸であることがわかり、
アレルギー疾患、自己免疫疾患の原因として
大きく影響していることがわかっています。

 

腸内フローラは母親から伝授される
腸内フローラは、人によって種類や数が異なります。
この違いが体質の違いに関係します。
いったいどこからやってきて、
どのように決まるのでしょうか。

以前は胎内にいる時の生前の腸は無菌である
といわれていましたが、
すでに常在菌はいることがわかっています。
*jiménez et al.Res Microbiol 2008;159:187-93
そして主には母乳から伝播されます
母親の腸内細菌叢は、樹状細胞に貪食されて、
母親のリンパ球により乳腺に運ばれます。
そして母乳から赤ちゃんの腸へ運ばれ、
母親の腸内細菌が子供に伝授されることが
わかっています。
したがって、子供は母親の腸内細菌の影響を
大きく受けます。
*Rescigno et al.NatImmunol 2001;2:361-7

以前にお話しした、
アトピー性皮膚炎の家系の母親に、妊娠中から
プロバイオティクス(善玉菌)を投与しておくと、
子供のアトピー性皮膚炎の発症が減らせると
いう報告が納得できますね。
*Panduru m et al.J Eur Acad Dermatol Venereol.
2014.Apr 4  詳しくはこちら>>>
当院ではアトピー性皮膚炎のお母さんに限らず、
良い腸内フローラを子供に伝授するために、
出産前からのプロバイオティクスの服用をおすすめしています。

したがって、母乳で育てられた子供と、
人工乳で育てられた子供の腸内細菌叢は異なります。
人工乳で育てられた場合には、病原菌に感染しやすく、
長期的には肥満や糖尿病のリスクが高くなるといわれています。
*Harmsen et al .J Pediutr Gastroenterol
Nutr 2000;30:61-7

 

 

年齢とともに変わる腸内フローラ
生まれたときの腸内細菌叢は、年齢とともに
変化します。
img147

 

もっとも大きな変化は、
健康維持に大切であるといわれる
Bifidrobacterium が減少し、
病気の原因となるClostridium perfringesが増えることです。

実際に健康な人と不健康な人での
腸内フローラをみてみますと、
健康な人の腸内フローラでは、Bifidrobacterium の割合が高く、
不健康な人では低いことが証明されています。
*Gill et al.Science 2006;312:1355-9

良い有益な菌では、
外来性の病原菌の繁殖を抑え、
免疫機能を調節し、
消化吸収の補助、
消化管運動の促進、
ビタミンの合成に役立ちます。

それに対して有害な菌は
下痢や便秘
腹痛
感染症
毒性物質の産生
そして炎症をきたします
この「炎症をきたす!」これが私たちの体の
様々な不調に大きく影響することがわかってきました。

 

次回はもう少し詳しく、腸内フローラの
役割について説明いたします。

 

 

 

 

 

投稿日:2015年6月9日  カテゴリー:★ 院長ブログ・医療情報 ★, 健康情報・アンチエイジング