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カテゴリ:酒さ

①肌の再生 成長因子・サイトカインの外用療法に「サイトプロMD」を導入しました

私たちの肌には、生体信号と呼ばれる
細胞の増殖や生化学的機能を調整する因子が存在します。
それらの信号により、紫外線や老化による
肌細胞の日々のダメージを修復しています。
その信号が働かなくなると美しく若々しく健康的な肌は
保たれなくなります。

近年は、幹細胞を利用した肌や臓器の再生医療が
進歩しています。
この幹細胞を使用した治療は、国で指定されている機関
でしか行えませんが、この生体信号を豊富に含む
細胞培養上澄み液は
医療機関での使用が認められています。
(先日メディアで取り上げられていた、幹細胞を使用した
全身投与の違法行為はこれに該当しません。)

幹細胞培養上澄み液から製造した
成長因子・サイトカイン療法が、肌の若返り、美肌、
肌荒れ、ニキビ、アトピー性皮膚炎、酒さなどに有用である
として、多くの医療機関で使用されるようになってきました。
当院ではすでに10年前くらいより、脂肪幹細胞から抽出した
AAPEを使用していましたが、最近ではさらに効果の高い
幹細胞培養上澄み液が出てまいりましたので、
いろいろと試し、製造施設を見学に行ったりして
どれがよいかを厳選しました。

現在は、
以前からある脂肪幹細胞(当院でもすでに使用しているAAPE)、
臍帯血幹細胞、骨髄幹細胞、歯髄幹細胞の
培養上澄み液より抽出した製品があります。
それぞれ多少の成分内容の違いや、配合量の違いがあります。
これらを試して、内容成分を検討したところ
炎症を起こすサイトカインが少なく、
成長因子・サイトカインの種類と量の多い
骨髄幹細胞の培養上澄み液由来の

「サイトプロMD」を当院で新しく導入することにいたしました。

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投稿日:2017年8月17日  カテゴリー:酒さ, ★ 院長ブログ・医療情報 ★

第46回日本皮膚アレルギー・接触皮膚炎学会総会学術大会のご報告<その3>「酒さ」についての病態知見

「酒さ」
赤ら顔(紅斑、毛細血管拡張)、
ニキビ様のぶつぶつ(丘疹、膿疱)、鼻がこぶ状に
腫瘤形成する(鼻瘤)といった症状を呈する
根本的な原因のわかっていない
皮膚疾患です。

日光、気温(熱)、乾燥などの外界からの刺激や
アルコール、精神的な緊張でも悪化しやすいといわれています。

皮膚にだれでも常在するアクネ菌や毛包虫(デモデックス)
との関与があるとかないとかいまだ諸説ありますが、
何らかの外界からの刺激や微生物に対する自然免疫機構の
変化が確認され、それとの関与が指摘されています。

それについてのご発表がありました。

 

「酒さを巡る自然免疫の役者たち」 山崎研志先生(東北大)より
*山崎研志:皮膚疾患と自然免疫,医学のあゆみ vol.242 no.10 2012

皮膚の自然免疫機構の主要因子と考えられている
「抗菌ペプチド」という成分が皮膚表面に多種あります。
菌の感染や物理的刺激に伴い誘導され、
それらを排除する働きをしたり、
種々の反応(皮膚炎など)を起こして知らせる働き
(alarmin 警鐘をならすともいわれている)
があるといわれています。

「酒さ」においては、この自然免疫機構の過剰な反応が
あるといいます。
自然免疫機構の最初のステップは、
Toll様受容体(TLR)が外界刺激や病原体を認識すること
から始まりますが、
酒さにおいてはこのTLR2の発現が異常亢進
していることが示唆されています。
このTLR2は、
正常な皮膚ではほとんど検出されることのない
抗菌ペプチドの「カセリサイディン」(CAMP)を誘導し
異常発現させていることも認められています。
また、
たんぱく分解酵素(プロテアーゼ)のカリクレイン5
カセリサイディンの主な分解酵素であり、
これも同時に正常皮膚よりも酒さにおいては高い酵素活性を呈しています。
これらが互いにかかわって正常皮膚とは異なる
抗菌ペプチドパターンを呈し、
皮膚の炎症を誘導し、酒さの皮膚炎症の原因となっている
と考えられます。

酒さの中でも、もともとざ瘡があった場合や、
ざ瘡を伴っている場合においては、
アクネ菌はTLR2を刺激し、炎症反応を増強します*1。
ステロイドの使用においても、
TLR2の発現増加とアクネ菌などのTLR2刺激に対する
反応性の増加が病態として示唆されています*2。

このようなことから、
酒さでは、外界の変化を感知する宿主側の因子が
変化することによって(細菌叢の変化、薬剤性などにより)、
正常皮膚では影響を受けない程度の
刺激に対しても過敏に反応している状態が形成されている
考えられます。

*1 Kim.J. et al:J .Immunol.,169:1535-1541,2002
*2 Shibata.M. et al:J.Invest.Dermatol.,129:375-382.2009.

 

なんとなく病態がわかってきていますが
治療まだまだの難しい複雑な皮膚疾患です。

投稿日:2016年11月19日  カテゴリー:酒さ, ★ 院長ブログ・医療情報 ★, その他

難治性の「酒さ」にメトロニダゾールゲル外用療法の有用性の報告が日本でもありました。当院では自費で処方いたしております。

おそらく皮膚科医が日常診療で治療に頭を抱える
難治性の皮膚疾患の一つが「酒さ」ではないかと思います。
ご提示できる臨床写真がありませんので
みなさまにはあまりなじみがなく、どんな皮膚疾患か
わかりにくいかもしれませんね。

「酒さ(しゅさ)」とは原因不明もしくは多彩な原因
によって生じ、慢性的に顏の赤みやニキビ様のぶつぶつを
伴うことの多い主に顏の皮膚疾患です。
原因がさまざまであるうえに、基礎疾患の有無の違い、
体質的な素因を伴う場合のある病気である
ことなどから、治療法が確定しておらず難治性です。
さらには諸外国では有用性が確立しているにもかかわらず
日本では使用できない薬が多く
今現在使用できるお薬の中で、
漢方薬なども併用しながら駆使して行い、治療に難渋して
いるが現状です。

ざ瘡治療に次いで、日本で治療の遅れている皮膚疾患の分野とも言えます。

今回日本でも報告のあったメトロニダゾール軟膏の
酒さへの有効性は、1983年にすでに海外では報告があり、
現在FDA(米国の厚労省にあたる機関)においては
酒さの治療薬の第一選択薬となっています。
今回日本において2015年5月11日に処方可能となった
0.75%メトロニダゾールゲル(ロゼックス®)は、
今現在は「がん性皮膚科医用部位の殺菌、臭気の軽減」
に対してのみ厚労省より製造販売の承認がおりています。
酒さに対してはまだ保険適用ではありません。

今回のような酒さへの有効性と安全性の報告が
積み重なり、早く酒さへの適応症が拡大されることを期待いたします。

当院では現在自費で0.75%メトロニダゾールゲルを
10g¥1,620で使用しております。

 

「酒さ35症例に対する1%メトロニダゾール外用の有効性
検討」
菅 裕司 ほか 札幌医科大学医学部皮膚科学教室からの報告です。
日皮会誌:125(3),419-426.2015

海外での1%メトロニダゾール軟膏の有効率は50~65%と
されています。

メトロニダゾールは嫌気性菌や原虫、ニキビダニを減らす効果があります。
酒さのすべてがニキビダニが原因ではありませんが、
抗菌作用以外にも、抗炎症作用、免疫抑制作用、活性酸素
減少作用など他の作用も重なって酒さに有効であるといわれています。

今回84名の酒さの症例に1%メトロニダゾール軟膏の効果をみています。
1%メトロニダゾール軟膏外用のみで治療した
「単独群」と
抗生物質(テトラサイクリン系)との併用にて治療した
「併用群」とで
治療効果を解析したところ、
1度では「単独群」の奏効率は83.3%(著効5、有効10、不変3、悪化例0)
「併用群」では85.7%(著効4、有効2、不変1、悪化例0)
2度では「単独群」の奏効率は50%(著効2、有効0、不変2、悪化例0)
「併用群」では83.3%(著効3、有効2、不変1、悪化例0)
という結果でした。


1度(紅斑性酒さ)顏の赤みと毛細血管の拡張
2度(酒嗄性ざ瘡)1度の症状の増強と、ざ瘡様の丘疹、
膿疱(膿をもった丘疹)がある場合
3度(鼻瘤)鼻が腫瘤状の盛り上がった状状態
4度(酒性角膜炎)目の症状を伴うもの

効果が表れるまでの期間は平均1.5か月
特に丘疹膿疱に対しても効果が良かったそうです。
逆に毛細血管拡張、乾燥症状には無効であったそうです。
副作用は乾燥症状や、刺激感が6例、発赤が4例あったようですが
いずれも軽く認容性は高いと判断されています。

抗生剤の併用の効果が良いですが、
メトロニダゾール軟膏を併用することで、
抗生剤の使用を減量できたり、
中止できる症例が41.2%もあります。
腸内細菌叢を悪くしないため、そして長期使用による
耐性菌を生じさせないためにも併用したいものですね。

当院では現在自費で10g¥1,620で使用しております。

ご使用になられたい方は、まずは診察にて
適応があるかを確認させていただいてから
処方いたします。

 

 

投稿日:2015年10月19日  カテゴリー:酒さ, ★ 院長ブログ・医療情報 ★, その他