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カテゴリ:小児皮膚科

 

第17回 日本フットケア学会に参加しました ~魚の目やタコにはできる原因がある!削ったり、芯をとってるだけでは根本治療ではない!~

先週末は名古屋へ「第17回日本フットケア学会」に参加していました。

この学会の副理事長は、聖路加病院に勤務していた頃よりかれこれ15年以上お世話になっていた皮膚科の看護師の金児玉青さんです。
学会で久しぶりにお会いできました💛

この学会は皮膚科のみでなく、整形外科、形成外科、糖尿病内科、循環器内科、心臓血管外科、透析・腎臓内科、リハビリ病テーション科、小児科そして医師ばかりでなく、看護師、理学療法士、臨床工学技士、装具、靴製造会社などの業者などなど
さまざまな業種が集まり、科を超えて議論できるすばらしい学会です。

子どもから高齢者まで、さまざまなシーンでこの「フットケア」が重要な役割をします。

皮膚科では、鶏眼(うおのめ)や胼胝(たこ)の治療をしますが、
削ればいい、芯をとればいいわけではなく、
どうしてそれができてしまったのかを追及し、
その原因を改善することが重要です。
芯を深く削ったり、手術で切除しても、、、それば根本治療ではありません。
当院では足の関節の変形、形、アーチの状態を診察したり、
体の傾き、ゆがみの有無、そして歩き方の指導をしています。
そしてさらに、関節のゆがみや骨格のゆがみを整える
新しい治療を最近勉強にいっています。
また、これまでも足の変形に合わせた足底板や靴のオーダーを
してまいりましたが、
より本格的な計測に基づいた最先端三次元足圧測定機による
「3DOシステム」高機能オーダーメイドインソールの作成を導入します。
(詳細がきまりましたらご連絡いたします)
それは従来のものとは異なり、
変形した足やゆがんだ姿勢に合わせた靴作りというよりは
その骨格補正を目的とします。

魚の目やタコの治療は削ることではなく
できる原因の追究とその歪みの改善が根本治療の時代です。

また子どもにおいては、粗悪な靴による足の変形、姿勢のゆがみ、運動能力の低下の問題は深刻であり、当院の林原医師が、以前より問題提起しています。
骨格形成される幼少期の靴が大きく影響します。
今後はそのような林原医師の啓蒙活動にも当院も関わりたいと考えています。

 

投稿日:2019年2月12日  カテゴリー:★ 院長ブログ・医療情報 ★, 健康情報・アンチエイジング, 小児皮膚科

保険適用「エキシマ光線療法」によるアトピー性皮膚炎、乾癬、白斑、掌蹠膿疱症等への治療。「塗薬を塗るだけの治療」から「副作用のより少ない治療」へ治療法は進化しています。

最先端の医療をクリニックでも!

当院では保険適用となった「エキシマ光線療法」を導入いたしました。
大学病院や総合病院でしかなかなか置いていない大面積型のため
短い時間で治療が行えます。
1か所 約144cm2 を 10秒前後で照射できます。

当院の「セラビーム」は名古屋市立大学とウシオ電機による
共同開発による特別な光学フィルターを搭載することで、
これまでのエキシマライトよりも、
紅斑(赤み)とDNA障害を軽減でき、治療による日焼けも少なく済みます。

保険が適用になっているため
全身に何か所治療をしても、3割負担の方で1回治療費 ¥1,000ほどです。
痛みは全くなく、ほんのり温かい程度のため
お子さんにも使用できます。

治療に有効な紫外線のみを照射し、有害な紫外線を除去しています。
紫外線の過剰になっている免疫抑制作用を利用して、
皮膚の症状を鎮静化させます。
治りにくい症状の改善や、ステロイドの使用の軽減を図ることができ
その有効性については多くのエビデンスがあります。

週に1~2回の治療が推奨されていますが、症状が改善しますと
治療間隔をあけて維持できるようになります。

少しずつ強さを強めていく必要があるため、
効果が実感できるまでには10回前後の治療回数がかることもありますが、
かゆみの軽減は比較的早期に得られることが多いです。

これまでは、大きな病院へ通院する必要がありましたが、
当院でも受けることが可能になりましたので、
お仕事の合間やお仕事帰りに寄って
治療を受けることができます。

院長の私は日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医であり、
長年大学病院、総合病院にて光線療法を行ってまいりましたので
治療経験が豊富です。
大学病院等から当院への転院もお受けいたします。
当院で治療をご希望される場合には
紹介状をご持参ください。

また機械は1台しかございませんので、エキシマ光線療法のご希望の際は
必ずご予約をお願いいたします。

アトピー性皮膚炎、慢性痒疹の症例>>>

投稿日:2019年2月8日  カテゴリー:★ 院長ブログ・医療情報 ★, アトピー性皮膚炎, 乾癬, 小児皮膚科

蓄熱式レーザー(従来の方法とは異なる)による小児の脱毛治療 推奨派と反対派(心配派) なぜ私が反対派(心配派)なのか

小児のレーザー脱毛のニーズが高まり、
多毛に悩む女児のQOLが改善され、喜ばれている一方で
それにまつわるさまざまな問題も明らかとなり、
小児のレーザー脱毛の意義、そして安全性について議論がなされています。

2月に行われる日本医学脱毛学会では、
当院の外科担当の林原医師が会頭を務め、
「安心、安全な医療脱毛をめざして」をテーマとし開催されます。

私も以前に投稿した小児の多毛症について>>>
講演依頼をうけましたので、お話してまいります。

小児のレーザー脱毛を行うにあたり、多毛の原因を鑑別したうえで行うことの重要性について講演いたしますが、
小児のレーザー脱毛については、それ以外にも心配していることがあります。

最近のこの学会での一番の話題は、小児へのレーザー脱毛の安全性についての議論です。

*そもそも小児にレーザー脱毛は必要か(生理的一過性の多毛との区別をしているか?)
*小児へのレーザー脱毛は本当に安全なのか(とくに蓄熱式レーザー)

私がこの学会に参加するようになったのは、ここ数年のことですが、
上記について「学術的な」議論をされている場面を見たことがありません・・・。

「今のところ問題ない」という報告ばかり・・・
でも本当のところの安全性の評価にはまったくなっていないと私は感じています。
その「問題」としている点がずれているのです・・・。

今回の学会に参加するにあたり、これまで触れられなかった
以下の点について「小児への蓄熱式レーザー脱毛推奨派」
の先生方にご意見をいただこうと考えています。

何が「問題」になるのではないかと心配しているのか

まずは脱毛治療に使用する機器には大きくわけて3つほどあります。

エステで使用可能なIPL(光)脱毛。
レーザーよりも弱い光で治療をするため、完全に毛の組織を破壊することが難しく、治療回数がかかったり、永久的な効果(永久脱毛)に至らない場合も多い。

そして従来のレーザー脱毛。
毛の根本の毛乳頭をターゲットとし破壊して
永久脱毛にします。

そして蓄熱式脱毛。
毛を再生する幹細胞の存在するバルジ領域(毛隆起)
主に破壊することで永久脱毛にします。

したがって
皮膚の浅いところで蓄熱させて治療をする蓄熱式のレーザー脱毛は痛みが少ないとされています。

このことから
「小児のレーザー脱毛に蓄熱式レーザーを使用」するようなったのです。

 

「小児に蓄熱式レーザーを使用して脱毛」!!

と聞いて
「痛くないしいいかもね」
という医者と

「え??!大丈夫なの?」
と心配する医者と

分かれるのは
再生医療や最先端の医学情報に明るいか、
そうでないかだと私は思います。

2012年に京都大の山中伸弥教授がiPS細胞の発見による
ノーベル医学・生理学賞を受賞したことで
再生医療への臨床応用の期待を世界中で高めることになったと思います。
このウイルス等による遺伝子導入を用いた幹細胞(iPS細胞)の他
胚幹細胞(ES細胞)、成体組織幹細胞(骨髄幹細胞、神経幹細胞、毛包幹細胞など成体に分布して組織の再生に恒常的に働いている)等があります。
ES細胞は、あらゆる細胞に分化することができ、長期増え続けることのできる
最も再生能力の高い幹細胞です。しかし、一個体に本来成育することが可能な胚細胞を使用するということで、倫理的な問題から再生医療に使用していくのは
難しいのが現状です。
よってこの倫理的な問題のないiPS細胞や、患者本人から採取可能な成体組織幹細胞を用いた再生医療の臨床応用が期待せれ、研究が進められています。
ただし、ipS細胞においては、ウイルスによる遺伝子導入を用いるため
遺伝子異常による腫瘍化やウイルスの感染の危険性が心配されます。
成体組織幹細胞は、患者本人から採取でき、適合もよいのですが
その幹細胞により多分化能が限られるため、再生できる組織に限りがあります。

成体組織幹細胞による
皮膚、骨・軟骨、歯周組織、角膜、血管・心臓、肝臓、すい臓、神経、食道など、多くの臓器を対象とした再生医療の臨床応用に向けた検討が進められいます。

成体組織幹細胞の中でも、最も採取の容易な皮膚における
幹細胞を使用した再生医療について注目されており、
その報告も相次いでいます。

そう、それこそが、毛に存在する
「毛包幹細胞」なのです。

私の母校北里大学皮膚科の同期の医師である
天羽康之教授の研究チームは、この毛包幹細胞による再生医療の臨床応用にむけて研究を行っております。

以前より、この毛包幹細胞は、毛隆起(バルジ領域)に分布しており、
毛包を再生する能力について知られていました。

この毛再生する毛包幹細胞を破壊して
永久脱毛にする蓄熱式脱毛はこの原理を利用しています。
日本においてもこの蓄熱式レーザー脱毛に人気が高まってきた
ちょうどそのころ
方や再生医療の分野では
2015年頃より毛包幹細胞は、毛のみの再生に携わっているのではなく
「多分化能がある!」事が発見されました。
すなわち毛包幹細胞は、毛を再生するばかりでなく
神経や筋(平滑筋細胞)、ケラチノサイト(皮膚を形成する細胞)の
再生にも働いていることが分かったわけです。

この時点で、それについて知る医師の間では、蓄熱式脱毛の安全性について
疑問を持ち始めたのです。

このように、毛だけでなく、
神経や筋肉、皮膚の再生、すなわちそれらが損傷した時に
修復するのを助けている毛包幹細胞をレーザーで破壊してしまったら、
それらの修復はどうなるのか・・・。

ましてや細胞増殖の盛んな成長期の小児に
この組織の再生に重要な幹細胞を破壊してしまって
将来何か問題がおきないのか?
という心配なのです。

私たち皮膚科医や形成外科医は
この毛包幹細胞が皮膚の損傷の再生に役立っていることは
実は遠い昔から臨床の場で感じていました。
やけどをして皮膚を損傷した際に、
毛根が残っていると皮膚は毛の周囲から再生し、
皮膚で覆われ治っていくこと。
また逆に毛根が残っていないと皮膚が再生されず、
皮膚移植が必要になってくること。
毛が残っていると皮膚が再生されるのです。

よって
この大切な、皮膚、神経、筋肉等を再生する
毛包幹細胞を、広範囲において破壊してしまうことについて
心配でならないのです。

これまで特に問題がなかったとの報告も聞きますが
その「問題」というのは
脱毛部位にみため問題がないという程度の調査であり、
全身において細胞修復機能に影響は起きていないという報告ではありません。
また皮膚組織においてその毛包幹細胞の毛以外の再生能力は失っていないという安心する報告もない・・・。

よって小児への「蓄熱式レーザー脱毛」の使用については
私は現時点においてはまだ「反対派(心配派)」です。

今後より正確な安全確認がなされ、
蓄熱式レーザー脱毛における毛包幹細胞破壊による
影響に問題がないことが十分確認されるまでは、
小児はもちろんのこと、成人においても使用を控えたいと考えています。

 

*林 慧一郎、天羽康之.毛包幹細胞の幹細胞マーカー発現量と多分化能の検討.北里医学2015;45:113-116
*天羽康之.皮膚(毛包)幹細胞を用いた神経再生.日本抗加齢医学会雑誌10(4)538-542
*Amoh Y et al:implanted hair follicle stem cells for Schwann cells which support repair of severed peripheral nerves,Proc Natl Acad Sci USA 102:17734-17738.2005
*Amoh Y et al:Multipotent hair follicle stem cells promote repair of spinal cord injury and recovery of walking function.Cell Cycle 7:1865-1869.2008
*Amoh Y et al:Human hair follicle pluripotent stem(hfPS)cells promote regeneration of peripheral-nerve injury:An alternative to ES and iPS cells.J Cell Biochem 107:1016-1020.2009
*Amoh Y et al:Multipotent nestin-expressing stem cells capable of forming neurons are located in the upper.middle.and lower part of the vibrissa hair follicle.Cell Cycle 11:3513-3517.2012
*Mii S,Amoh Y et al:Comparison of nestin-expressing multipotent stem cells in the tongue fungiform papilla and vibrissa hair follicle .J Cell Biochem 115:1070-1076.2014

 

 

投稿日:2019年1月13日  カテゴリー:★ 院長ブログ・医療情報 ★, 美容・アンチエイジング, 小児皮膚科

今日の午前中はお休みをいただきまして、前職場の聖路加国際病院の皮膚科で、今度当院で導入するあたらしい医療機器の使用実施状況について見学してまいりました。

アトピー性皮膚炎や乾癬、円形脱毛症、掌蹠膿疱症などにおいて
皮膚症状を改善したり、かゆみを抑えたり
さまざまな効果の期待できる紫外線療法ですが、
エキシマライトというこれまでの紫外線療法の中でも
有効性が早くそして効果もより高く、治療時間も短く、
そして最近では治療による日焼けの少ない改良された治療機が登場してきております。
当院でも紫外線治療機をこの新型のものに買い替えを検討しております。
その中でもいくつか機種があるため、数種類のエキシマライトで
実際に多くの治療を行っております聖路加病院の皮膚科で
治療の様子を見学させていただきました。

聖路加病院では紫外線治療を受ける患者様が多く、それ専用の部屋が2部屋あります。

このお部屋は主に、紫外線療法の中でも
エキシマライト専用のお部屋です。

比較的大きな面積を当てることができる
大型のタイプのエキシマライト

円形脱毛症や白斑等に小範囲で当てられるコンパクトなタイプ。

現在エキシマライトでの治療も保険適用となっています。

アトピー性皮膚炎や乾癬の多い当院ではとても活用してくれるはずです。

診療所ではありますが、高度機能病院同等のレベルの治療が行えますよう取り組んでまいります!

投稿日:2018年12月20日  カテゴリー:★ 院長ブログ・医療情報 ★, 美容・アンチエイジング, アトピー性皮膚炎, 乾癬, 小児皮膚科

小児への脱毛治療の是非の議論の前に、、、医療機関で治療すべきというものの、医療脱毛を行う医者は本当に生理的な一過性の男性型多毛と思春期PCOSに関連する多毛とを区別できているのか・・・という疑問について

近年小児においてもワキ、腕、下肢のレーザー脱毛のニースが高まっており、
その安全性、小児への適応の是非等について
議論される機会が多くなりました。
私も会員であります「日本医学脱毛学会」においても
毎回話題となっております。
起こりうるやけど、毛のう炎等の合併症の問題など様々な視点から
現在では脱毛治療は医療行為でありエステで行うべきではないという見解です。

医療機関で行ったほうがよい理由としては、
他にも重大な理由があります。

小児のレーザー脱毛は医療機関で行えば安心なのか。
あることをきっかけに、
意外にもレーザー脱毛に携わる医師でも
このことについて知識がない可能性があるのでは??・・・と
心配に思った事がありますので
お話したいと思います。

その前にまず、
そもそも小児でのレーザー脱毛を行う理由としては
ただ単純におしゃれ脱毛としての場合と、
他の子どもに比べて毛が濃く、いじめられた、いじめられそうなど
この二つに分かれます。

後者の、他の子よりも体毛が濃い原因について。
体質?遺伝?
それもありますが、それだけではありません。

体毛には2種類あります。
アンドロゲン(男性ホルモン)の影響をほとんどうけない「非性毛」と、
影響を強く受ける「性毛」です。

非性毛には
眉毛、まつ毛、四肢・腰背部のうぶ毛

性毛には2種類あり
男女共通してみられる(両性性毛)低濃度または弱いアンドロゲンによる
腋毛(ワキ毛)、女性の陰毛、男性の陰毛の下半分
男性に見られる(男子性毛)高濃度のアンドロゲンによる
口ヒゲ、アゴヒゲ、男性の陰毛の上半分、四肢・腰背部の硬毛、前頭・頭頂部の頭髪(頭部は大量のアンドロゲンで逆にうぶ毛に変化する)

 

したがって
硬毛である性毛が顔、口回り、四肢とくに上腕・大腿部に
増加す
る現象は男性型多毛の特徴であり
(いわゆる多毛症では軟毛が性毛の生える以外の場所で増加し、
前腕や下腿などで目立ち異なります。アンドロゲン過剰は関与しません)
アンドロゲンが高濃度になったことによる可能性があります
その原因は
小児ではきわめて稀には、性腺腫瘍の存在も忘れてはなりませんが、
① 思春期前、思春期における生理的な範囲での
アンドロゲンの増加による
一時的な多毛
これは更年期にアンドロゲンが減少すると毛が薄くなるように
一過性であり、ホルモンバランスが整うと正常に戻ることも多いです。
② 思春期におけるインスリン抵抗性が生理的な範疇を超えた場合の男性化
(インスリンの増加は遊離活性型性ステロイドを増加させます)

②について
思春期には誰しもインスリン抵抗性は25~50%増大します。
これば二次性徴の発来に重要な役割を果たしています。
インスリンの増加は、遊離(活性型)性ステロイドを増加させ、
思春期の発来機序に関係していると考えられています。
それが過度になりますと排卵障害や男性化が起こります。
過度になる原因として重大であるのが
思春期PCOS(思春期多嚢胞性卵巣症候群)です。

今や日本では、生殖年齢女性の5~8%にPCOSが
認められるといわれます*1。
その原因は単一ではなく、視床下部ー下垂体、卵巣、副腎皮質機能異常、
食生活(糖質過多など)インスリン抵抗性、生活習慣、ストレス等が相互に作用すると考えられています。

思春期では特にストレスが副腎皮質ステロイドホルモン(ACTH)を増加させたり、
さまざまなホルモン機能の感受性を増加させ、
発症しやすくなるようです。

日本人女性のPCOSの症状
92.1%で月経異常を認め、不妊症の原因の10%以上をしめるといわれています。
その他
23.2%で多毛やざ瘡(ニキビ)等の男性化徴候(ニキビの診療においても重要なチェック項目です)
20.0%で肥満徴候です。

思春期PCOSは後の健康、妊娠に影響するため見逃してはならない。
思春期PCOSは、成人期を通じて症状が持続する内分泌疾患
であり、
放置すると
肥満、2型糖尿病、メタボリック症候群、心血管疾患、不妊、
子宮内膜過形成、子宮体癌、睡眠時無呼吸、うつ病などが合併するリスクが高まります。

よって思春期前の多毛をみた場合に
生理的なものか、思春期PCOSであるのかを見極めなければなりません。

● 家族歴:母から娘に引き継がれる傾向があるため母のPCOSの既往の有無を聴く
● 月経異常:15歳を過ぎても初潮が見られない場合のみならず、
無排卵による不正出血(月経周期の長短等乱れ、初潮以来2年以上の稀発月経の持続にも注意)
● 男性型多毛:初潮前2年から15歳までに出現。
       硬毛である性毛が顔、口回り、四肢とくに上腕・大腿部に
増加す
る現象は男性型多毛の特徴
● 治療抵抗性のざ瘡(ニキビ)
● 変声(低音声)

このような症状を伴う思春期前・思春期の多毛は
精査が必要です。

 

思春期PCOSと診断された場合には、

まずは体重減少、耐糖能異常・脂質異常の是正です。
食事の改善と運動が大切です。
残念ながら、生活習慣の肥満の改善では多毛の改善は難しいといわれています。

低用量ピルの使用
月経異常、ざ瘡そして多毛も改善することが多いです。

その他さまざまな治療がありますが、
PCOSと診断された若年女性の多くでは、
多毛や肥満によって自己肯定感が低下しているとの報告もあり*2
早期に多毛を改善する手段として医療レーザー脱毛を行うことは有用です。

他の子より毛か濃いことが原因がないかどうかを
診断したうえで医療レーザー脱毛を受けることが必要です。
そういう点でも
小児の脱毛治療は、エステではなく
医療機関で行うべきといえます。

 

 

*1.佐藤幸保ら.多嚢胞性卵巣症候群(PCOS).日本産婦人科學會雑誌.2012.64(2).355.
*2.山本千尋ら.多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)と診断された若年女性の思い.母性衛生.2018.59(2).355-364
*3.横谷進ら.多毛.小児科診療.60(増刊号).231-233
*4.大場隆.耐糖能異常と思春期医学.糖尿病と妊娠.201515(1).46-49
*5.矢内原巧.女性とアンドロゲン.HORMONE FRONTIER IN GYNECOLOGY 8(2)139-146
*6.稲毛康司.多嚢胞性卵巣症候群ー前思春期から思春期にかけての多嚢胞性卵巣症候群を中心に.小児内科2017.49(2)264-268

 

 

 

 

投稿日:2018年12月18日  カテゴリー:★ 院長ブログ・医療情報 ★, 美容・アンチエイジング, 小児皮膚科

離乳食での鶏卵開始時の「固ゆで卵白 約0.2g」ってどのくらい?

以前に鶏卵アレルギーの発症予防のための
離乳食期の鶏卵の導入の方法についてお伝えしました>>>

以前は卵の摂取の開始を遅らせた方が卵アレルギーに
なりにくいといわれていた時期もありましたが、
現在は生後5,6ヵ月になったら卵の摂取を開始した方が
リスクが少ないことがわかっています。

アトピー性皮膚炎やそれに準じた症状のあるお子様と
特に皮膚疾患のないお子さんとで、
摂取のすすめかたが異なります>>>

いずれにしても
スタートは
固ゆでにした卵の卵白のみを0.2gから
はじめるのが推奨されますが、

「固ゆで卵白0.2g」ってどのくらい??
おうちにそんなこまかく計測できるはかりもないかもしれませんし。

そこで
私が提案する👇この卵白0.2g目安。
ご参考にしてください💛

M卵の1/100がおおよそ0.2gくらいです。
卵によって卵黄の大きさも違いますので
おおよその目安です。
そして鶏卵はS M Lと大きさがありますが

卵黄の大きさはS M L であまり変わりませんが、
卵白の量が異なります。

鶏卵MサイズでもM,MSなど
52gから64gまで大きさに幅がありますが

Mくらいの固ゆで卵を1個用意します。

このコンビニで売っているゆでたまご
これ1個53g


まず半割します。
これで卵1/2

そして卵黄を取り除いて水洗いします。
これを5つに切ります。
これで1切れ 1/10

さらにそのひと切れを半分に切ると
1/20

これを5つに切ると
このひと切れが1/100です。

そして計ってみると

ぴったり0.2g 一発💛

これをすりつぶして食べさせてあげてくださいね☺

M卵1個分の1/100が大体0.2gくらいですので

参考にしてくださいね ☺💛

投稿日:2018年12月8日  カテゴリー:★ 院長ブログ・医療情報 ★, 小児皮膚科

携帯端末による金属アレルギーにご注意ください!

先日、金属アレルギーについて書きました>>>

携帯端末による金属アレルギーの感作、
そして金属アレルギーをすでに持っている人は悪化要因になることについての報告があります。

米・Rady Children`s HospitalのSharon e,Jacob氏らは、
全身型金属アレルギーと診断された男児が、
iPadに含まれるニッケルに関連していたことが報告されています。
同氏らは、ニッケルアレルギーに関連した症状が疑われる場合、
携帯端末等の電子機器の使用歴も考慮するよう
注意を呼び掛けています。

これ。。。非常に盲点でした・・・。
皮製品については金属でなめすため、私もよく患者さまに
注意をお話することはありましたが、時計やアクセサリーだけではなく
携帯端末も注意が必要でした!!
確かにかなり長時間握っています。

Jacob氏らによりますと、小児の全身型金属アレルギーの
有病率は増えており、中でもニッケルは最も多く報告されています。
ニッケルアレルギーが多い理由としては、
ニッケルが酸に弱く、汗などでも溶出しやすいこと、
携帯電話や腕時計、アクセサリー、硬貨などに広く使用されているためと考えられています。

難治性の場合には、金属アレルギー検査を行い、
ニッケルが陽性になった場合には、それらを含む食事を避けること以外にも
ニッケル含有製品との接触を避けることの一つとして
携帯端末の背面を保護カバーで覆うこと。そして
液晶が目にもニッケルが含まれていることがあるため
液晶画面のカバーフィルムなどを付けて使用することが
アドバイスされています。

子どもに限らず、もちろん大人も、
金属アレルギーのある人そして
金属アレルギーの保有率の高いアトピー性皮膚炎の方は
携帯端末の接触に気を付けた方がよろしいですね。

投稿日:2018年7月31日  カテゴリー:★ 院長ブログ・医療情報 ★, 健康情報・アンチエイジング, アトピー性皮膚炎, 小児皮膚科

皮膚科や小児科にたまたま受診した子供でないと情報がいきわたらない現状なんです・・・アレルギー疾患の新たな知見をもっと臨床の場へ<その3> 

<鶏卵アレルギーの発症予防を目的とした、離乳食期における
鶏卵摂取導入の方法>

小さなお子さんのいるお友達にきくと
離乳食の行い方については、
区などで主催されているセミナーに任意で参加したり
民間の勉強会に参加したり、
お母さんそれぞれが探して行っていると知りました”(-“”-)”
独自の方法で始めているお母さんも多いようです。

特に心配になったのは
果たして民間の勉強会で、鶏卵のみならず

この食物アレルギー予防対策は浸透しているのでしょうか???。
特殊な食事スタイルを乳幼児から始めることで
摂取しておかなければならないものを制限してしまい
アレルギーが増えているのではないかと懸念されます・・・・。

「授乳・離乳」の支援ガイド というものがあります。
産科医師、小児科医師、助産師、保健師、管理栄養士、
歯科医師、アレルギーの専門家などが参画した研究会により
作成されているものです。
適切な授乳・離乳の方法についてかなり細かく記載されています。
ですがこれ、現場では全く反映されていないということですね・・・・

 

日本小児アレルギー学会食物アレルギー委員会の
「鶏卵アレルギー発症予防に関する提言」による
食物アレルギー予防のための鶏卵摂取の方法について説明します。

これは必ず医師の管理下で行うものですので
自己判断で行わないようにくれぐれもお願いします!

 

「アトピー性皮膚炎と診断されている場合」と「されていない場合」
とで異なります。

 

まず
*「 アトピー性皮膚炎と診断されている場合」またはそれに準じた皮膚の状態の場合

皮膚の状態を改善させておいたうえで、
鶏卵摂取を開始することが
鶏卵アレルギーの発症の予防の成功と
鶏卵摂取開始時の合併症のリスクの軽減に

非常に重要です。
お薬をしっかり使用して、
生後6か月までに改善させ(湿疹が消失した状態に)

医師の管理のもと、皮膚の状態を維持しつつ鶏卵摂取を開始します。
ここでまたお母さん!ステロイド使う使わないなどで
大切な時期を逃しませんように。

 

鶏卵の摂取量は2016年の発表された
日本小児アレルギー学会食物アレルギー委員会の
「鶏卵アレルギー発症予防に関する提言」の推奨する方法で開始します。
日本で行われたPETITスタディー臨床研究をもとに
考えられた摂取量は
生後6か月より加熱した固ゆで卵白 約0.2gから開始し、
問題なければ
生後9か月から加熱した固ゆで卵白 約1g
さらに12ヵ月からは加熱した固ゆで全卵 約半分
で行い、その研究では安全に鶏卵の食物アレルギーの発症を軽減できました。

よってこれに準じた方法で、医師の管理のもの
摂取を開始するのがよいですが、
この提言の中では、最初の微量の加熱卵の摂取で問題なく導入
できたあとは、
前述した「授乳・離乳の支援ガイド」に準拠した離乳食で進めてよいとあります。

微量摂取の経過中にアレルギーを疑う症状が出現した場合には
「食物アレルギー診療ガイドライン2016」に準拠した
精査をすすめ、
その後摂取の継続の可否を診断するとされています。

また研究ではすでに特異的IgEで鶏卵アレルギー陽性者も含まれていますが
一般の診療においては、鶏卵導入前にすでに鶏卵へのアレルギー感作が確認されている場合には「食物アレルギー診療ガイドライン2016」に準拠して
導入を開始することをすすめています(感作の有無や程度だけで鶏卵摂取導入を遅らせることをすべきでないと提言しています)

 

この表はアトピー性皮膚炎やそれに準じた皮膚症状のない場合の離乳食の進め方です。それと比較させてアトピー性皮膚炎がある場合の鶏卵摂取の方法について追記しました。

見えにくいですが
生後6か月より加熱した固ゆで卵白 約0.2gから開始し、
問題なければ
生後9か月から加熱した固ゆで卵白 約1g
さらに12ヵ月からは加熱した固ゆで全卵 約半分

何度のしつこくもうしあげますが
医師の管理下で行いませんと危険です。
アトピー性皮膚炎やそれに準じた症状のあるお子さんの鶏卵導入はアレルギーに精通した医師の管理下で行ってください。

 

 

つぎに
*アトピー性皮膚炎やそれに準じた皮膚炎に診断されていない
場合の
鶏卵摂取開始について。

現段階では、湿疹を伴わない乳児の場合には、
鶏卵摂取開始の時期と鶏卵アレルギー発症の影響については
不明であるとされていますが、
遅らせることは勧められませんので。
以下の「表の授乳・離乳の支援ガイド」の「離乳食の進め方」を目安いに行ってください。

ただしアレルギー疾患の家系を有する乳児においては
のようにアトピー性皮膚炎のある乳児における摂取開始など
遅らせないことが推奨されています。

 

このように
アレルギー対策は日進月歩。
どんどん情報が変わっています。

できるだけ今現在もっとも正しいと考えられる最新の情報をもつ医療関係者に関わり
アレルギーの少ない健康なお子様に育てましょう♡

投稿日:2017年11月18日  カテゴリー:★ 院長ブログ・医療情報 ★, アトピー性皮膚炎, 小児皮膚科

皮膚科や小児科にたまたま受診した子供でないと情報がいきわたらない現状なんです・・・アレルギー疾患の新たな知見をもっと臨床の場へ<その2> 

<昔とは違う!今は食べておくことで
食物アレルギーを予防できる

離乳初期からの加熱卵の少量摂取で
ハイリスク児の卵アレルギー発症が8割減少>

かつては食物抗原の摂取時期を
遅らせたほうが、食物アレルギーになりにくいと
考えられており、
卵の摂取もなるべく遅らせるように指導していた時代がありました。

これまでの研究において、
2010年、
生後4~6ヵ月までに加熱した鶏卵を始めた乳児に比べて、
10~12ヵ月に始めた乳児では、
5.9倍鶏卵アレルギーのリスクが高まるという報告に始まり*1

鶏卵を早期に摂取することによるアレルギーを予防する効果
について検証されたさまざまな報告がされました。

2013年オーストラリアからの発表(STARスタディー)では
アトピー性皮膚炎の既往を持つ乳児に、生後4ヵ月から
生卵粉末(週に約1個程度)を摂取させたところ
12ヵ月時点において鶏卵アレルギーの発症が、除去群よりも少ない結果でした。
が、統計的有意差が出るほどではなく、
3人に1人は生卵の摂取によりアレルギー症状が出てしまう結果でした*2。

その後
同じくオーストラリアから(STEPスタディー)
今度はアトピー性皮膚炎やアレルギー疾患の既往のない乳児
820人を対象にした大規模ランダム化比較試験を行ったところ、
生卵粉末の摂取によりひとりも
アナフィラキシー(重篤なアレルギー症状)は出なかったものの、
早期摂取による鶏卵アレルギーの予防効果は証明されませんでした。

そして次に
英国(EATスタディー)では
一般乳児1,303人に加熱した鶏卵を週1個相当を
生後3ヵ月から開始した早期導入群と、
生後6か月以降に開始した対照群を比較した結果
有意に鶏卵アレルギーの発症が少なかったものの、
脱落者が多く有意差はでませんでした*3。

そして日本において
2016年、国立成育医療研究センターにおける
PETITスタディーでは、
アトピー性皮膚炎の乳児において
生後6ヵ月から微量(50mg)の加熱全卵粉末を開始し、
9ヵ月からは少量(250mg)の加熱全卵粉末を毎日摂取した群と
12ヵ月まで鶏卵を完全除去した群とで
1歳時における鶏卵アレルギーの発症率は
鶏卵を早期より摂取していた群では8.3%
完全除去していた群では37.7%という結果で
有意にアレルギーの発症を減少させることができました*4。

この本邦での研究において、安全に成功できたポイントは、
生卵乾燥粉末を使用した海外での先行研究と比較して
微量加熱全卵粉末で行ったこと、
またアトピー性皮膚炎の症状のコントロールを良好に
保ちつつ行ったことが鶏卵アレルギーの発症率の低さに
貢献したと考えられています。

*1.Koplin JJ et al.:Can early introduction of egg prevent
egg allergy ininfants?A popolation-based study.,
j Allergy Clin Immunol 2010:126:807-813.
*2.Palmer DJ et al:Early regular egg exposure in infants
with eczema:A randomized controlled trial.,J Allergy Clin Immunol 2013;132:387-392.
*3.Perkin MR et al:Randomized Trial of Introduction
of Allergenic Foods in Breast-Fed Infants.,N Engl J Med 2016:374:1733-1743.
*4.Natsume O et al:Two step egg introduction for preventing
egg allergy in high-risk infants with eczema(PETIT study):
a double-blind,placebo-controlled.parallel-group
ramdomised clinical trial.Lancet 2017;389:276-286

 

このPETITスタディーの結果をうけて
2017年6月16日、日本小児アレルギー学会
食物アレルギー委員会より

「鶏卵アレルギー発症予防に関する提言」が発表されました。

★ アトピー性皮膚炎や痒みのある乳児湿疹などの
皮膚炎のある乳児では

鶏卵の摂取が遅いほど鶏卵アレルギーを発症するリスクが
高まるというエビデンスから、
鶏卵アレルギーの予防を目的として、
医師の管理のもと、生後6か月より鶏卵の微量摂取を開始する
ことを
推奨する

★ 鶏卵の摂取を開始する前に、
アトピー性皮膚炎を完解(外用剤の使用の有無関係なく皮疹が消失した状態)
させることが望ましい

★ 乳児期早期発症のアトピー性皮膚炎、特に重症例では、
この提言を実行するにあたり、
小児科や皮膚科のアレルギーの専門医や
乳児期のアトピー性皮膚炎や食物アレルギーの管理に精通している医師
による診療を受けることを推奨する

★ 鶏卵の感作のみを理由とした安易な鶏卵除去を指導することは推奨されない

★ 本提言は発症予防のためであり
すでに鶏卵アレルギー(即時型、食物アレルギーの関与する乳児アトピー性皮膚炎)の発症が疑われる乳児に
安易に鶏卵摂取を促すことは極めて危険である
ため、
「食物アレルギー診療ガイドライン2016」に準拠した対応をする。

 

具体的な鶏卵摂取の方法について、次のブログでお話いたします。

投稿日:2017年11月9日  カテゴリー:★ 院長ブログ・医療情報 ★, アトピー性皮膚炎, 小児皮膚科

皮膚科や小児科にたまたま受診した子供でないと情報がいきわたらない現状なんです・・・アレルギー疾患の新たな知見をもっと臨床の場へ<その1> 

昔は正しいと考えられていたことも
違っていた・・・医学の分野においても結構あります。
それが是正されぬまま患者様も正しいと思い続けていたり(たまに医者も)、
新たに分かった最新の情報がきちんと皆様に届かない・・・
病院を受診してたまたま新しい情報について
知ることが多いかもしれませんが、
あわただしい診療のなかでは、
医師からもなかなか情報がもらえないことも多いかもしれません・・・。

そして医師自身も知識のアップデートがうまくいっておらず
正しいと考えられている最新の情報を患者様に提供できていない
こともあると思っています。

そしてとくに
ネットの情報にいたっては、医師が監修していたとしても
いい加減なものたくさんあります・・・。
監修といっても
医師がネットで検索して書いているものも多いと聞きます(笑)

この私のブログでは、できる限りエビデンス(根拠)の
ある情報で、日進月歩の医学情報の最先端を日々お伝え
できればと思います。

↑前置きが長くなったのは
あるDrのブログを朝みて「いい加減なことを公言するなぁーーー」
と思う記事があったので( `ー´)ノ

 

さてこんな雑誌があります。
「アレルギー疾患を診る医師のための情報誌」
Salud(サルー)
:「お大事に」とか「健康」を意味する
スペイン語だそうです。

 

この分野こそまさに皮膚科では
日進月歩。
どんどん昔と考えが変わってきており
医師も患者さまへの指導にも戸惑います。

というわけでこんな雑誌があるのですね。

その内容の一部をご紹介したいと思います。

国立成育医療研センター 生体防御系内科部アレルギー科 医長
大矢幸弘先生と
東京慈恵会医科大学付属 第三病院小児科 教授の
勝沼俊雄先生との
対談より。

<生後1~4ヵ月の湿疹・アトピー性皮膚炎の発症が食物アレルギーの大きなリスク>
かつては、食物アレルギーがアトピー性皮膚炎の原因と
考えられていた時代がありました。
これ、いまだに修正されていないことが多く
血液検査で食物アレルギーがあるとそれだけで
アトピー性皮膚炎と診断されていたり、
患者様からも血液検査でアトピーかどうか診断してほしい
なんていう要望はいまだに多いです。
私たちも、かつては食物アレルギーがアトピー性皮膚炎の
原因になると考えていたため、
母親の摂取した食事から胎盤を介した
感作(アレルギーの獲得)が
食物アレルギーに影響すると疑われおり、
妊娠中や授乳中に母親に卵の摂取を控えさせたりして
食物アレルギーの抗原除去を子供のアレルギー発症予防として
勧めていたこともありました。
2008年にLackにより提唱された「二重抗原暴露仮説」により
荒れた皮膚を介して食物抗原が侵入することで
食物アレルギーとなり、
口から入った食物はむしろ免疫寛容されるように
誘導される。すなわち正しいルートで口から入った
食べ物については異物、悪いものとして免疫が働かないように
体が覚えるという説です*1。

したがって、今では母親の食事制限は
子供のアレルギー発症の予防にはつながらないとされています*2。
現在は食物アレルギーの原因は経皮感作すなわち
湿疹などで壊れた皮膚から食物抗原が侵入することで
食物アレルギーが獲得されることが
多いというのが
一般的な考えとなっています。

*1 Lack G:J Allergy Clin Immunol.,122(5),984(2008)
*2Kramer mS et al:Cochrane Database Syst Rev.,9,CDooo133(2012)

よって
湿疹やアトピー性皮膚炎の存在が
食物アレルギー発症のリスクファクターになっていると
考えられています。

大矢医師の施設での出生コホート研究により、
生後6か月までに湿疹を発症した子供は
3歳時に食物アレルギーを高率で発症すること。
なかでも
湿疹の発症時期が早いほど食物アレルギーの発症率が高く、
生後1~4ヵ月で湿疹のある子どもは、湿疹のない子供に比べて
1歳時での食物アレルギー発症のオッズ比は19倍にも
上まわると
報告されています。

したがって新生児、乳児期の皮膚状態は
食物アレルギーに大きく影響します。
そこでさらに同施設での研究では、スキンケアがアトピー性皮膚炎の予防に
効果があることを発表しました。
遺伝的にアトピー性皮膚炎の発症のリスクの高い乳児を対象に
保湿ケアとした群としなかった群とで、
保湿ケアをした群では湿疹・アトピー性皮膚炎の発症率が
有意に低いことが明らかになりました。
以前に(2014年に)
このことについて詳しく書きましたのでこちらをどうぞ>>>

すなわち
「食物アレルギー」の発症を予防するには
「湿疹やアトピー性皮膚炎」を発症させないことが大切で、
そのためには乳児期から安全性の高い保湿剤で(アレルゲンの含まれない)
きちんと「スキンケア」をすることが
そられらの発症を予防することに非常に重要だということです。

特にお口の周りの湿疹は
母乳内の食物抗原や食物が付着することで
経皮感作される可能性がありますので
早くお薬で治すことが大切です。

 

次回のブログ<その2>では
<昔とは違う!今は食べておくことで食物アレルギーを予防できる>について
お話します。

投稿日:2017年11月1日  カテゴリー:★ 院長ブログ・医療情報 ★, アトピー性皮膚炎, 小児皮膚科