八丁堀 皮膚科|スキンソリューションクリニック Rotating Header Image

カテゴリ:アトピー性皮膚炎

 

アトピー性皮膚炎の方のかゆみは複雑です

アトピー性皮膚炎の方にかゆみ止めの
飲み薬(抗ヒスタミン剤)をお出ししても、
効いているような、効いていないような・・・
効いているとは思えない・・・
そういう方も多いですね。
そのなぜ効きにくいのか。研究が進んできています。
近い将来は、抗ヒスタミン剤でないかゆみ止めが
出てくるものと思います。

「かゆみ」といっても色々な経路でさまざまな因子により
生じます。
ごく簡単に図にまとめてみました。
現在ではもっとたくさんの因子が絡みあっていることが
わかってきています。

img171

「かゆみ」には、
「末梢性のかゆみ」「中枢性のかゆみ」があります。
末梢性のかゆみは、表皮と真皮の境界部に分布している
神経C線維が、さまざまな刺激で活性化されてかゆみになります。
その刺激は、こすれたり、さわったりといった機械的
刺激や、電気刺激、温度刺激のような物理的な刺激と、
湿疹・皮膚炎などで生じたケミカルメディエータ
による化学的刺激です。

アトピー性皮膚炎のかゆみは、
主にこのケミカルメディーエーターによる
「末梢性のかゆみ」であると考えられていました。
ヒスタミンという物質を介した反応です。
したがって、一般的によく処方されるかゆみ止めは、
抗ヒスタミン剤や抗アレルギー剤と呼ばれるものなのです。
しかし、最近では、アトピー性皮膚炎では、神経終末の
プロテアーゼ活性化受容体(protease activated receptor,
PAR)-2の発現が亢進して痒みを引き起こしているという
報告もでています*1*2。
ヒスタミンよりも、プロテアーゼが、
より広範囲なかゆみに関係することがわかり、
プロテアーゼやPAR2プロテアーゼ活性化受容体を
抑制する止痒剤の研究が進んでいます。
img171

これに対して「中枢性のかゆみ」は、
内因性のオピオイドペプチドが、神経に存在する
オピオイド受容体に作用することで、
かゆみが生じます。
最近では、アトピー性皮膚炎は、
このオピオイド受容体が関連しているため
抗ヒスタミン剤のみでは、かゆみを抑えきれないと
考えられています
近年このオピオイド系を調節する内服薬が
痒みを抑えるとの報告もでてきています*3,*4。

このようにアトピー性皮膚炎においては、
末梢性のかゆみと中枢性のかゆみが複合的に
存在しており、かゆみを止めることが非常に難しいのです。

さらには、アトピー性皮膚炎の方の皮膚では、
皮膚の痛みに対する反応性が鈍いため
(神経などに存在する多様な刺激で活性化される
Transient receptor potential,TRP)V1の反応性の低下
による)、掻破行動が抑制されないことが示唆されています*5。
すなわち痛みに対して鈍くなっているので、
強くかいても痛くないので、
痛いからかくのをやめようとか、
もう少し弱めに掻こうというきになれず、
強くかき続けてしまうということです。
そのかき壊した皮膚が炎症を起こし、また痒みの誘発に
つながるという悪循環が起こっている可能性があります
このTRPV1拮抗薬で掻破行動(かき壊す行動)を
抑制できることも報告されています*6。

このように、かゆみに関するさまざまな因子が
明らかとなりつつあり、より効果的な止痒剤が
開発されてきています。
はやく、もっと痒みを止めてさしあげたい・・・。
そう願う毎日です。

 

*1.Briot A et al:Kallikrein 5 induces atopi dermatitis-like
lesions through PAr-2-mediated thymic stroml
lymphopoietin expression in Netherton syndrome.
J Exp Med.2009;206:1135-47

*2.Steinhoff et al:J.Neurosci,23,6176-6180(2003)

*3.Herzog J et al:J.Drugs Dermatol,10,853-860(2011)

*4.Malekzad F et al;J Eur.acad.Dermatol.Venereol,
23,948-950(2009)

*5.「アトピー性皮膚炎における皮膚の知覚反応と
TRPV1との関連性に関する研究」
東京農工大学・早稲田大学 夏 彦

*6.Yun,J.w et al;J Invest.Dermatol.131,1576-1579(2011)

 

 

投稿日:2015年7月10日  カテゴリー:★ 院長ブログ・医療情報 ★, アトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎での「あせも」、「皮膚炎」そして「かゆみ」にも黄色ブドウ球菌が関係していようです

この時期「あせもかな?」と受診する方が多いですね。
特に小児では多いです。
みなさんが「あせもかも?」と思う症状には
二つあります。

意外と多いのは本来の「あせも(汗疹)」とは
厳密には異なる
「汗が付着することで生じた湿疹」です。
関節の内側など、汗が停滞して荒れてしまう症状です。
汗について>>>

「あせも」とは、
水疱のようなぶつぶつや赤いぶつぶつができます。
原因は、たくさんの汗をかいた時に、
汗管という汗の出る通り道が詰まることにより、
汗が皮膚内に貯留して小水疱を生じたものと考えられています
発汗量が多いために交通渋滞のように詰まったり、
汗の出口が角質化した蓋でふさがれてしまってなったり、
と考えられていますが、

この詰まってあせもになる原因は、他にもさらにありそうです。

*Herbert Bet al:The presence and impact of
biofilm-producing stphylococci in atopic dermatits.
JAMA dermatology.2014 150(3);260-5

アトピー性皮膚炎においては、
多数の薬剤が効かなくなっている多剤耐性ブドウ球菌を
もっており、そして黄色部ブドウ球菌が有意に多かったとのことです。
さらには、汗腺の閉塞が確認でき、
そこでは黄色ブドウ球菌の閉塞(詰まること)と
さらにはバイオフィルム形成が確認されていたという報告です
(アトピー性皮膚炎と黄色ブドウ球菌の関係、
バイオフィルムについて>>>

汗の出口がふさがるために生じるといわれている
「あせも」にも黄色ブドウ球菌が関係している場合が
ありそうですね。

でも清潔にしたからといって、
容易には除去できないバイオフィルム形成をしている
ことから、これらの除去は容易ではありません・・・。

さらに、
アトピー性皮膚炎では、
神経終末のプロテアーゼ活性化型受容体(PAR)-2の
発現が亢進していて、かゆみを引き起こしているという報告がもあります*1。
従来いわれていたヒスタミンによるかゆみよりも、
このPAR-2が広範囲なかゆみに関与していることがいわれるようになり、
従来の抗ヒスタミン剤のかゆみ止めの飲み薬が
かゆみにききにくいこともわかってきています。

その汗の出口の黄色ブドウ球菌の詰まった部位では、
PAR-2を介したかゆみの発生と、TLR2-MyD88経路に
依存した皮膚炎の発生の可能性が示唆されたとのこと
ですので、
あせもになったり、あせもが痒くなるのは
そのためかもしれませんね。
そして、あせもをかきこわすと「とびひ」になりやすい
のも、この汗の出口に詰まっている黄色ブドウ球菌が
関係があるのかもしれません。

アトピー性皮膚炎の方においては、とくに
「あせも対策は汗をかいたらすぐにシャワーしたり、
着替えましょう!」といっても、実はそれでは予防
しきれないかもしれません・・・。
とはいえ、前回ご説明しましたように、
夏にたくさんかく汗は、長時間皮膚についていると
刺激になりますので、「汗が付着することにより
生じる湿疹」を予防するためには、シャワーや着替えは
必要ですね。

 

*1.Briot A et al:Kallikrein 5 induces atopi dermatitis-like
lesions through PAr-2-mediated thymic stroml
lymphopoietin expression in Netherton syndrome.
J Exp Med.2009;206:1135-47

 

 

投稿日:2015年7月7日  カテゴリー:★ 院長ブログ・医療情報 ★, アトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎の人は「汗はかいた方がいいのか、かかない方がいいのか。」

stockfoto_43485425_S
アトピー性皮膚炎の方は、
汗をかくこれからの季節に悪化する方が多く、
汗をかかない工夫をされている方もいらっしゃ
います。
汗の貯まるところが夏に悪化することは
確かなのですが、ほんとうに汗は悪者なのか?
について検証された報告があります。

*アトピー性皮膚炎悪化因子の検証:
汗と温度に関する最近知見」
大阪大学大学院医学系研究科情報
総合医学講座皮膚科 室田 裕之先生より
西日本皮膚・76巻3号/2014

外部の刺激から肌を守るバリア機能の一つが
皮脂膜ですが、それは皮脂と汗が混ざり合うことで
形成されます。
したがって汗はこの皮脂膜の構成因子として保湿、
バリア機能の役割に関与しています。
そして最近ではこの汗の中には抗菌ペプチドや
免疫抗体(分泌型IgA)が含まれ、雑菌から
守る働きがあることもわかっています。

ですので汗をかくことも必要ですね
そして夏季は暑熱適応のために、発汗は増加します。
でもその大量に出る時の汗は、知らない間に出ている
不感蒸泄の汗とは成分組成が違うそうです。
大量に出るときの汗は、pHが高めで、
汚れた皮脂膜の除去や、不要な角質の除去に貢献しています。
したがって長時間皮膚に付着していると、刺激になると考えられます。

でもアトピー性皮膚炎の方では、発汗が低下しています
汗の排泄の低下、汗腺からの汗の産生、分泌の異常が
原因といわれています。
排泄の低下は、汗の出口の角栓形成による閉塞または
周囲組織への漏れが考えられているとのことです。
また産生分泌の低下は、自律神経失調や発汗誘導因子の
アセチルコリンへの反応低下があるそうです。
アレルギー炎症で増加するヒスタミンが、
このアセチルコリンによる発汗を抑制することを
確認したとも報告されています。

汗が少ない乏汗状態では、皮膚に熱がこもり、乾燥し、
病原菌に対する抵抗性も損ない皮膚炎は悪化しやすく
なります。

通常は汗をかくことで、皮膚表面はうるおいますが、
アトピー性皮膚炎の患者では、汗に含まれる
天然保湿因子の含有量が低下していたり、
角層の保水機能が低下していることなどにより、
発汗しても皮膚がうるおいにくいようです。

したがって、汗の効能を得るには、
夏でも日常的に保湿剤によりスキンケアを行って
おく方が良いとのことです

アトピー性皮膚炎で汗をかきやすいこの時期に
悪化が見られる関節の内側は、
実は発汗量の少ない部位だそうです!
汗が蒸散しにくく、停滞するので悪化しやすいのですね。
不感蒸泄でない汗は、長時間皮膚にとどまると、
皮膚に刺激が生じることがありますので
洗い流すか、濡れたタオルでふき取るか、
着替えるかが必要ですね。

 

以上より
汗はかいたほうがいいですが、
長時間皮膚に付着していないようにケアが必要。
汗による保湿、抗菌作用などの効能を得るには
夏でも保湿剤によるケアで肌を整えておく必要
があります。

 

*室田浩之 ;アトピー性皮膚炎悪化因子の検証:
汗と温度に関する最近の知見 西日本皮膚
76巻3号 2014. 189-193
*室田浩之 ;「アトピー性皮膚炎における発汗生涯」
日皮会誌 124(7)1289-1293

 

 

 

投稿日:2015年7月2日  カテゴリー:★ 院長ブログ・医療情報 ★, アトピー性皮膚炎, 小児皮膚科

皮膚にも細菌叢(フローラ)がある ~アトピー性皮膚炎との関連性~

腸内細菌叢(腸内フローラ)は、私たちの
健康維持に非常に重要であり、
腸のバリア機能の破綻により、アレルギー、
自己免疫疾患、精神疾患、慢性疲労など
様々な病気の原因となることについて
ご説明してまいりました。>>>

皮膚も腸と同じように、外界からの病原菌や異物からの
侵入を防ぐためのバリア機能があります。
何らかの原因で皮膚のバリア機能が壊れると
アトピー性皮膚炎の症状を呈します。
従来は、遺伝性の素因が主な原因となり、
脆弱な皮膚がさまざまな刺激を受けやすく、
また過剰に反応しやすく炎症が起きやすくて
皮膚炎になると考えられていました。

最近では、このような遺伝的背景のある古典的な
アトピー性皮膚炎の方よりも、
家系にはアトピー性皮膚炎の方がいない場合が大半を占めます。
必ずしも遺伝的なアトピー素因がなくても、
様々な原因で、アトピー性皮膚炎様の症状を呈している
場合がかなり含まれていると私は考えています。
とくに成人においては、背景が多彩と感じます。

他でアトピーと診断されていても、
あかすりタオルやブラシなど硬いもので洗っていて、
外的な物理的な刺激で、皮膚のバリア機能を低下
させているだけである人も多くみつけます。

また、社会人になったり、ひとり暮らしになったり
したきっかけに発症している場合も多く、
食生活の偏りが原因で、蛋白質、脂溶性ビタミン、
鉄、コレステロールなどの摂取の低下により、
日々の皮膚の再生に必要な栄養素が不足して
脆弱な皮膚となり、
アトピー性皮膚炎様症状を生じている場合も多くみられます。

そしてストレス性
ストレスそのものによる免疫機能の異常、
もしくはストレスから腸機能が低下し、消化吸収機能の
低下による必要栄養素の不足。

食生活習慣の悪化による腸内フローラの異常による
アレルギー症状によるもの。
食物アレルギーの関与する状態。

など非常に多彩です。
これらをまとめてすべてアトピー性皮膚炎と
呼んでよいものかを検討する必要があると考えています。

そして最近のさらにトレンドは、
皮膚のフローラ(細菌叢)による影響です。
慶應義塾大学医学部皮膚科学教室と
米国national Institutes of healthの研究グループが
今年4月に発表した
「アトピー性皮膚炎は皮膚の異常細菌巣が引き起こす」
では、アトピー性皮膚炎患者の皮膚では、
異常細菌巣の状態がある(dysbiosis)
すなわち皮膚の常在菌の細菌の種類が著しく減り、
その過半数が黄色ブドウ球菌を占めるという異常な状態に
ある場合が多いこと。
そしてその異常になった細菌巣を改善させると
アトピー性皮膚炎の症状が改善することをマウスで
証明し、皮膚の細菌巣(フローラ)を整えることが、
今後のアトピー性皮膚炎の新しい治療戦略になることが
期待できると報告されました。

そしてさらには、千葉大学からは、
その増えた黄色ブドウ球菌の出すδ-toxinという毒素が、
IgE(アレルギーの指標に使用している抗体の一つ)の
存在下では、過剰に反応(マスト細胞の過剰な
脱顆粒反応)しており、
このことが皮膚炎の発症に関与している可能性が報告されました*1。
よってバリア機能の低下したアトピー性皮膚炎の皮膚で
dysbiosisを引き起こし、
無秩序に黄色ブドウ球菌が増殖することで、
くわえてIgEが高い体質があると、過剰にδ-toxin
反応し、皮疹の原因になると推察しています。

とはいえ抗生剤の安易な服用は、
腸内細菌への悪影響があるため、
アトピー性皮膚炎の治療方法としては推奨しない
と慶応大学からは注意を促しています。

そして厄介なことに、
アトピー性皮膚炎では、
黄色ブドウ球菌はバイオフィルムを形成している

という報告もあり、容易には退治できないようです*2。

バイオフィルムとは種々の菌が集まり、
さまざまなバリア物質で菌を囲み、
免疫や抗生剤などが効かないように防御している状態。
近年はこのバイオフィルムのために、除菌できない
問題があります。現在バイオフィルムを破壊する
薬剤や対策がすすめられているところです。

 

千葉大学の松岡悠美先生は、
「今後は皮膚の本来の正常な細菌叢を傷つけずに
病原細菌のみを減らす治療の開発が可能であろう」
しめくくっています。

 

このようにまだまだ不明な点の多い
アトピー性皮膚炎です。
少しずつ分かってきている情報を整理して、
皆様と知識を共有して、
治療に励みたいと思っております。

 

*1.松岡悠美 千葉大学大学院医学研究院皮膚科助教
アトピー性皮膚炎における黄色ブドウ球菌の病原性:
皮膚アレルギーフロンティア vol.13.no1 2015 48-49

*2.Herbert B Allen et al:The presence and impact of
biofilm-producing staphylococci  in atopic dermatitis.:
JAMA dermatology.2014 150(3) 260-5

 

投稿日:2015年7月1日  カテゴリー:★ 院長ブログ・医療情報 ★, アトピー性皮膚炎

メタボリックスキンシンドローム ~メタボリックシンドロームとアトピー性皮膚炎、そして腸内フローラの乱れ(dysbiosis)~

近年肥満やメタボリックシンドロームと
関連した皮膚疾患がしられるようになり
メタボリックスキンシンドローム」と提唱されています。
今ではアトピー性皮膚炎は、皮膚のみに問題がある疾患ではなく、
全身性の臓器が関連する慢性炎症性疾患
と考えるべきといわれています。
皮膚のみをコントロールするのではなく、
全身性に管理する必要性があります

アトピー性皮膚炎と
肥満や脂肪肝、心疾患、脳卒中、糖尿病など
メタボリックシンンドローム近縁の疾患との関連性に
ついての報告がありますので紹介します。

 

まずはアトピー性皮膚炎の方の食生活習慣の傾向について。
大阪大学およびその関連施設における調査によると*1、
「なんらかの皮膚疾患のある患者262人において、
アトピー性皮膚炎の患者では、そうでない患者に比べて
朝食を摂る頻度が少ない一方で、夜食を摂る頻度が
多かった。また食事時間が不規則な傾向を認めた。」
とのことです。
食生活習慣の影響はありそうですね。
朝食を摂ることについては賛否両論ありますが、
傾向として、アトピー性皮膚炎の方ではとらない
方が多いのは興味のあるところです。

また、
過去に食物アレルギーと診断されたこと
がある人がアトピー性皮膚炎の患者では約31.1%

アトピーではない方では9.2%とあります。
アトピー性皮膚炎の発症、悪化、現在の症状との関連は
分かりませんが、
何らかの関連があることが示唆されます。
免疫機能を整える腸でのバリア機能が壊れることにより、
食物抗原が侵入してアレルギー反応を起こす遅延型フード
アレルギーとの関連が議論されている中で、
非常に興味深いデータです。
腸内(腸内細菌)の乱れ(dysbiosis)と
アレルギー性疾患、食物アレルギー、アトピー性皮膚炎
との関係については以前に述べました。>>>

 

肥満とアトピー性皮膚炎
肥満は炎症を引き起こすTNF-α、IL-6などの
炎症性サイトカインや
炎症を抑えるアディポカインの発現量に影響する
ことから、アトピー性皮膚炎の病勢に関与しても
おかしくはないと考えます。
現にこのアデポカインがアトピー性皮膚炎の患者に
おいて、アレルギーの指標であるIgEの値に有意に
負の相関を示したという報告もあり*1、
今後肥満との関連のさらに明らかとなっていくもの
と思われますが、現時点では、
肥満とアトピー性皮膚炎とは関連があるという
報告もありますが*2*3、関連がないという報告もあり*4
まだ議論されるところです。
ただし肥満そのものとの関連はまだ結論がついて
いないものの、メタボリックシンドロームの症状でもある
心疾患や糖尿病、脂質代謝異常(高脂血症など)、
高血圧そして脂肪肝などとの関連に関する報告は多くあり
*5、
前回述べた乾癬と同様に>>>
皮膚のみを管理するのではなく、
アトピー性皮膚炎の悪化を防ぐためのみならず、
全身的な管理、肥満対策(日本人においては必ずしも
外観が太っているとは限りません)、
そして肥満にも食物アレルギーにも関係する
腸内フローラ管理を行うことは重要と考えます。

これからは「変わる皮膚科診療」
「皮膚のみを診てもらっていても治らない!」です。

 

*1.室田浩之ら:メタボリックシンドロームと
アトピー性皮膚炎:皮膚アレルギーフロンティア
vol.13.no1.2015 25-27
*2.J L Cilverberg et al: Association between atopic
dermatitis and obesity in adulthood. The British
journal of dermatology.2012 Mar;166(3)498-504
*3.Jpnathan L Silverberg et al:Central obesity and
high blood pressure in pediatric patients withatopic
dermatitis. JAMA dermatology.2015 ;151(2);144-52
*4.Darlenski R et al:Clin Dermatol 32:409-413,2014
*5.Jonathan L Silverberg et al:Eczema and
cardiovascular risk factors in 2 US adult population
studies. The Journal of allergy and clinical immunology.
2015 135(3);721

投稿日:2015年6月29日  カテゴリー:★ 院長ブログ・医療情報 ★, 健康情報・アンチエイジング, アトピー性皮膚炎

「メタボリックスキンシンドローム」~メタボリックシンドロームと皮膚疾患~

近年は「肥満」は「慢性の炎症」といわれるように
なりました。

img167

 

肥満からはじまるメタボリックシンドロームは高脂血症や糖尿病、動脈硬化、心疾患のみならず、
アレルギーや自己免疫疾患の原因になります
そして、さまざまな皮膚疾患も、
肥満、メタボリックシンドロームとの関係が
明らかとなり、
メタボリックスキンシンドローム」といわれるようにも
なりました。
そしてそのメタボリックシンドロームは
腸内細菌叢(腸内フローラ)とも密接に関与し、
さらには皮膚疾患もこれらと関係してしていることが
明らかとなっています。

「アトピー性皮膚炎がある」
「乾癬がある」
「花粉症になった」



皮膚疾患がある人、
皮膚疾患になった人、
アレルギー体質の人、
アレルギー体質になった人!
は、メタボリックシンドローム、肥満
そして腸内細菌(腸内フローラ)を改善せよ!
という時代です!

これらの関係について
しばらく連載していきたいと思います。

 

 

投稿日:2015年6月26日  カテゴリー:★ 院長ブログ・医療情報 ★, 健康情報・アンチエイジング, アトピー性皮膚炎, 乾癬

変わる皮膚科診療 ~皮膚だけを診るのでは治らない!~

これまでの皮膚科の治療は、
皮膚局所を治すことに専念されていました。
ニキビ抗生物質で増えた菌を減らす
アトピー性皮膚炎できた湿疹を塗り薬で抑える
乾癬発疹を抑える塗り薬や内服薬、注射

生じてしまったあくまで「結果」を治す治療に
すぎません。

これは現在の保険診療の中心的な治療内容になります。

 

当院では、生じてしまった症状を治すだけでなく、
その根本にある、病気の素因を追及して、
症状の出にくい体作りを目指しています。
皮膚は体の中のことを反映します。
皮膚症状があるからには、何か体の不調がある。
そう考えています。
「皮膚は内臓の鏡です」>>>

 

そしてもう一つ。
その生じた皮膚疾患が、とくに慢性化した場合には、
「その後なりやすい、さらなる疾患」があります。
それを予防する必要があります。
当院ではそこもケアしたいのです。

 

最近ようやく、その必要性について
保険診療医にも知る機会が多くなりました。
先日保険診療医に配布された、皮膚科の情報誌です。
img159
その中では、肥満やメタボリックシンドロームと
皮膚疾患、腸内細菌と皮膚疾患など
皮膚症状に関連した周辺の体の中のケアを
行わないと、病気の悪化、悪循環、
そして更なる病気の惹起の注意まで書かれています。

この中で
高知大学医学部皮膚科学講座教授の
佐野栄紀先生は
img160

とおっしゃり、

「ライフスタイルによって皮膚病は大きく変わると実感されます。
特に皮膚病そのものの種類が変わっており、
その背景を科学的に解き明かすことが求められます。」

「腸内細菌叢についても、アトピー患者に乳酸菌を
摂らせるプロバイオティクスの話題も出てきました。」

「乾癬などは肥満と炎症で機序が説明できる
皮膚疾患の一つ。
腸内細菌叢によっても大きく変わるようですから、
便を調べてみるのも面白いかもしれない。」

(当院ではこれはすべてすでに実施しています。)

 

千葉大学大学院医学研究院皮膚科学准教授の
神戸直智先生は、
img161

 

とおしゃっています。

 

 

トップレベルの医療では、
日本でもこのような方向性ですが、
まだまだみなさんが遭遇する医療現場では、
お粗末なケアです。

 

病気の素因の改善や更なる悪循環を回避するケア、
そして持病による将来的な病気の予防の対策においては、
保険診療では賄うことができないため、そのことを
知っていても、患者様に実際に医療として提供できていない。
それが日本医療の保険診療の現実です。

 

この私のブログでは、
医療のトップではトピックスになっていながら、
エンドの皆様になぜか届かない
最新医療情報をお届けしています。

一緒に勉強してまいりましょう(^^)/

 

投稿日:2015年6月25日  カテゴリー:★ 院長ブログ・医療情報 ★, 健康情報・アンチエイジング, アトピー性皮膚炎, 乾癬

アトピー性皮膚炎などの「湿疹」をもっている人は心疾患のリスクファクターが増加する

アトピー性皮膚炎に限らず、
慢性の炎症を伴う疾患は、心疾患、脳卒中などの
リスクが高くなることについては、これまでにも
多くの報告があります。

当院では、アトピー性皮膚炎、乾癬などの
慢性炎症性疾患の方には、そのような将来的なリスクを
予防するための、食生活指導、およびサプリメントにて
ケアしています。

アトピー性皮膚炎などの「湿疹」を保有している
成人において、心臓疾患のリスクファクターが高くなる
という報告が米国ノースウェスタン大学よりまたありました。

*Jonathan l Silverberg et al;Eczema and cardiovascular
risk factors in 2 US adult population studies.
The Journal of allergy and clinical immunology.2015 Jan

米国で18歳から85歳の6万1000人について調査しています。
湿疹性病変を伴っている(アトピー性皮膚炎など)成人に
おいては、喫煙率や飲酒の習慣率が高かった
さらには喫煙と飲酒をする患者では、湿疹病変のないもの
よりも、肥満率が高く運動しない傾向があったとのことです。
運動による熱や汗がかゆみを悪化させるため、運動が困難
になっているのではないかと考察されています。
この喫煙と飲酒、運動についての因子を調整しても、
アトピー性皮膚炎では心疾患や脳卒中のリスクとの関係が
認められたそうです。
湿疹のない人に比べて、重度の肥満である率は54%高く
高血圧の有病率は48%脂質異常症(血液)の有病率は
約3割高かったとのことです。
さらには糖尿病の予備軍や糖尿病との有意な関連
認められたそうです。

 

このようなことはアトピー性皮膚炎に限りません。
慢性的な炎症が
起こっていると、糖尿病や動脈硬化、
心筋梗塞・狭心症
などの心臓疾患のリスクが高くなると
いわれています。

したがって、炎症のない健康な皮膚を保つことは、
全身の健康を維持するためにも重要です。
お薬を使うべき症状にはきちんとお薬を使用して炎症を
早く沈めることは大切です。適切なお薬を使用せずに、
だらだらと皮膚炎を長引かせていることは上記のリスクを
高めるのは言うまでもありません。
皮膚症状が慢性化しないようなスキンケア、そして
必要栄養素の不足は健康な皮膚の維持や皮膚疾患の悪化に
直結しますので、食生活習慣の改善は大きく役立ちます。
また慢性疾患をお持ちの方は、それにより発症リスクの
高まる病気を予防するためのサプリメントもございます。
一時の症状にとらわれず、長期的な視点での治療が
今後は重要となってきます。

これらを考慮した当院のサプリメントをお試しください。
本来体が持っている自然治癒力を高め、炎症を鎮める
サプリメントや、上記の発症リスクを抑えるための
サプリメントなどがバランスよく配合されています。

* アトピーケアセット(プチ) 30包 ¥8,250(税別)
* アトピーケアセット(スペシャル) 30包 ¥14,530(税別)

 

 

投稿日:2015年2月6日  カテゴリー:★ 院長ブログ・医療情報 ★, アトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎にビタミンDが有用であるという報告が続いています

以前にアトピー性皮膚炎の方では、
ビタミンDが欠乏しているという報告について
書かせていただきました。>>>

そして実際にビタミンDを補充すると
症状が改善するという報告が多数でています。

冬に悪化する小児のアトピー性皮膚炎にビタミンD
が有用
*Carlos A Camargo et al.:Randomized trial of
vitamin D supplementation for winter-related
atopic dermatitis in children.The Journal of allergy
and climical immunology.2014 Oct 134(4)831-835

ビタミンDの補充は、アトピー性皮膚炎の症状の
改善に有用
*Samochocki Z et al.:Vitamin D effects in atopic
dermatitis. Journal of the American Academy of
Dermatology.2013 Aug;69(2);238-44

 

当院でも花粉症、じんましん、アトピー性皮膚炎
などの治療に使用しています。

★ ビタミンD3+ サプリメント 
60粒 ¥2,192

 

<ビタミンD豆知識>
ビタミンDはあんこうの肝、鮭、しらす、
数の子、すじこ、いくら、きくらげ、干ししいたけ
などに多く含まれています。
食事から摂取されたプロビタミンDは、
皮膚で紫外線をあびることでビタミンDに合成されます。
そして肝臓や腎臓で活性化されて、利用できる活性型
ビタミンDになります。
動物性由来のビタミンD3は、コレステロールが材料と
なるため、エネルギー源が充分ないと
ビタミンDの合成はすすみません。

 

ービタミンDの働きー

・Ca(カルシウム)の代謝や骨量の維持
→骨粗鬆症の治療、高血圧の治療

・インスリン、カルシトニン、PHTなど
ペプチドホルモンの分泌に影響
→高血圧や糖尿病の治療

・表皮細胞の角化を正常化する
→アトピー性皮膚炎、乾癬の改善

・免疫の調節→アレルギー反応を整える

・小腸の絨毛細胞の分化、伸長
→遅延型フードアレルギーの治療
など重要です

 

★ ビタミンD3+ サプリメント 
60粒 ¥2,192

 

 

投稿日:2015年1月24日  カテゴリー:★ 院長ブログ・医療情報 ★, アトピー性皮膚炎

生後すぐからの保湿ケアはアトピー性皮膚炎を予防!

国立成育医療研究センター生体防御系内科部
アレルギー科医長の大矢幸弘先生他より
新生児期からの保湿剤の塗布により、
アトピー性皮膚炎の発症リスクが3割以上
低下するという発表がありました。
*Kenta Horimukai, Yukihiro Ohya et al:
Application of moisturizer to neonates prevents
development of atopic dermatitis.
Journal of Allergy and Clinical Immunology
;vol.134:824-830

両親もしくは兄弟にアトピー性皮膚炎の既往歴があり、
アトピー性皮膚炎の発症リスクの高い新生児118人を
対象に、保湿剤の2e[ドゥーエ]を1日1回毎日、
生後1週間から32週にわたり、
全身に塗布するように指導した群(59人)と
乾燥した局所のみワセリンを塗布した群(59人)で、
アトピー性皮膚炎の累積発症率を比較しています。
IMG_2435

32週間におけるアトピー性皮膚炎(4週間以上続く
かゆみや湿疹などの皮膚症状と定義)の発症者数は、
2e(ドゥーエ)で連日保湿ケアをしていた群が19人、
乾燥部位のみワセリンを塗布していた群28人となり、
全身の保湿ケアを行っていた群が、有意に長い期間
アトピー性皮膚炎を発症していないことが明らかに
なりました。

また、卵白とオボムコイドについての
血清IgE抗体価(アレルギー検査)を測定しましたが、
両者に有意差は認められなかったそうです。

そこで、アトピー性皮膚炎もしくは湿疹を生じた
患児43人と、湿疹はなくアトピー性皮膚炎を来して
いない患者49人において、卵白とオボムコイドの
血清IgE抗体価を比較したところ、
皮膚症状のある患者の大部分が有意に高い値を
示しました。
これらの結果から、湿疹やアトピー性皮膚炎を
発症した新生児では卵白抗原の感作が多い、
すなわち
卵白アレルギーになりやすいということが
示された
ことになります。

*オボムコイドとは、加熱してもアレルギーを起こす
性質を失わない卵たんぱくのこと。

 

以上のことから、
新生児において毎日の保湿剤の使用が、
アトピー性皮膚炎や湿疹発症のリスクを減らすこと。
さらには、これら症状の発症を防ぐことが、
アレルギーを獲得してしまうリスクを
減らす可能性があると述べられています。

 

このように、生後すぐからのスキンケアが、
アトピー性皮膚炎を予防するという報告は他にも
あります。

入浴剤での保湿ケアも有効なようです。
*B K Kvenshagen,K-H Carlsen et al:
Can early skin care normalise dry skin and possibly
prevent atopic eczema?A pilot study in young infants.
Allergologia et immunopathologia.2014 sep
ノルウェーの乳児を対象とした検討において、
早期のスキンケアが皮膚を正常化して、乾燥を防ぎ、
アトピー性皮膚炎の予防にもつながる可能性が
示唆されています。
この論文では軟膏の塗布による保湿や、オイル浴にて
スキンケアを行った結果です。

 

新生児のみでなく、乳幼児期や小児期、もちろん
成人においてもに保湿スキンケアを行うことは、
さまざまなアレルギーの獲得のリスクを軽減すると
言えます。
また、ピーナッツオイルが含有された皮膚保護剤
の使用により、海外ではピーナッツアレルギーに
なってしまった子供たちが多かったこと。
また日本においても茶のしずく石鹸に含有されていた
小麦加水分解物により、使用していた方が重篤な
小麦アレルギーを生じた件は、大きな社会問題と
なりました。
ご存じな方も多いのではないでしょうか。
オーガニックや高品質なものが、アレルギーについては
必ずしも安全とは限りません。
先ほど使用されていた2e(ドゥーエ)ミルキーローショ
ンのように、
アレルギーを起こしにくいと、
安全性が確認できて
いるものをご使用いただくことを
おすすめいたします。

 

<当院おすすめの保湿ケア用品>
IMG_2441

 

IMG_2444

 

こちらが今回使用されていた保湿液です。

 

 

 

 

 

 

IMG_2442

 

 

 

IMG_2443

 

 

 

 

 

 

 

IMG_2440

コラーシュメディパワー 保湿入浴剤
¥3,240

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

投稿日:2014年12月21日  カテゴリー:★ 院長ブログ・医療情報 ★, アトピー性皮膚炎, 小児皮膚科