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カテゴリ:アトピー性皮膚炎

 

第46回日本皮膚アレルギー・接触皮膚炎学会総会学術大会のご報告<その2>汗アレルギー

近年「汗アレルギー」という概念がでてまいりました。
これは汗が皮膚の刺激になって、
かゆくなるとか、湿疹ができるというものではなく、
汗のある成分にアレルギー反応を起こして
即時型の反応を生じ、じんましんがでます。

この汗アレルギーは
発汗に関係してでるじんましんであるコリン性じんましん
以外にもアトピー性皮膚炎でも合併しやすいといわれています。

 

* コリン性じんましんとは
運動したり、入浴など
体が温まったときに発汗に関係して出るじんましんで、
汗の腺に一致して細かくぶつぶつがでるタイプ
それとは関係なくじんましんが出るタイプとがあります。

このじんましんの原因はいくつか考えられていて、
一つには、汗の腺が詰まって、汗が出なくなっており
汗の成分が皮膚の深くで漏れて刺激になって出るという説と
汗のある成分に対してアレルギーすなわち
汗アレルギーがあってじんましんがでる説などが考えられています。

まだよくわかっていないじんましんでしたが、
後者の汗アレルギーに関しては、
ある程度反応している物質については判明しており、
現在すでに「好塩基球ヒスタミン遊離試験
(HRT(histamine release test)キット」にて
汗アレルギーの有無を保険診療で検査が可能です。

ただ、この物質(抗原)が、本質的には何であるのかは
わかっていませんでした。

 

今回の講演では、
「アトピー性皮膚炎と汗」平郡 隆明先生(広島大学)より

広島大学において、この抗原を同定したとの報告がありました。

これまでわかっていたアトピー性皮膚炎やコリンじんましんにおける
汗アレルギーの「汗抗原」を解析したところ
Malassezia globosaが産生する「MGL-1304」であることが
同定されました。
すなわち汗アレルギーでは、
汗の中に含まれる、皮膚に常在するカビの一種の
マラセチアから出るたんぱく質にアレルギー反応を
示していることが判明したということです。

 

他の文献によりますと*1
このマラセチアという皮膚に常在するカビはこれまでに
14菌種同定されていて、
そのうち9種類がヒトの皮膚で検出されています。
さらにこのうちアトピー性皮膚炎において多く検出される
菌種があり、アトピーの症状とのかかわりが示唆されています。
ところがこれらの菌種と汗抗原のMGL-1304とは一致しないそうです。
しかも犬の皮膚にいる種類のマラセチアに近いことより
今後はペット犬との関連についてさらなる解明が必要なようです。

*1 秀 道広ら:アトピー性皮膚炎にける汗アレルギー,
アレルギー65(3)179-185(2016)

 

* では、その汗抗原MGL-1304を減らすための
スキンケアはどうすればよいのか

シャワー浴にて汗抗原を減らす試みが有効であることの
報告があります。*2

単純な抗真菌治療が適切であるかどうかは、
まだ検証中のようです。

今回の講演では「タンニン酸」という
天然物質が汗抗原「MGL-1304」に対する反応を抑える
効果が認められており、
汗アレルギーに対する効果のみでなく、
アトピー性皮膚炎の皮膚症状やかゆみの改善に有効であることも
確認されているそうです。
このタンニン酸には、抗炎症作用も発揮している可能性
についての報告もあります*3。
現在は、このタンニン酸配合の入浴剤やスプレーでの塗布
による効果を検証中とのことです。

 

難治性であるコリン性じんましんや
アトピー性皮膚炎の一部の症状の改善に
あたらしい治療薬がうまれそうですね♪

 

*2 平郡 隆明 :真菌とアレルギー,皮膚アレルギーフロンティア
vol14,no.1 2016

*3 Karuppagounder V et al:Cytokine 76:206-213.2015

 

 

 

投稿日:2016年11月15日  カテゴリー:★ 院長ブログ・医療情報 ★, アトピー性皮膚炎

人の体って 本当によくできています。第46回日本皮膚アレルギー・接触皮膚炎学会総会学術大会のご報告<その1>かぶれ

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今日からは、先日いきました
日本皮膚アレルギー・接触皮膚炎学会のご報告です。

まずは「かぶれ」の話。

湿布にかぶれた。
植物にかぶれた。
化粧品にかぶれた。
など

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かぶれると
水疱(水ぶくれ)やぶつぶつができますね。

これには大切な働きがあるそうです。

「接触皮膚炎の免疫学」 相場 節也先生(東北大学)
よりご講演がありました。

わかりやすくかみ砕いて説明しますと

まずかぶれの原因物質皮膚に侵入すると
皮膚の中にいる抗原提示細胞(主にランゲルハンス細胞)
に取り込まれます。
そしてその侵入者がどんなやつなのか
その物質についての特徴を表現(抗原提示)して
皮膚でパトロールしている感作T細胞にお知らせします

「こんなやつ 侵入してます( `ー´)ノ」

それを聞いたT細胞は怒って(活性化)
炎症性サイトカインで攻撃します。
その影響で表皮と真皮上層に浮腫が生じ、
たくさんの仲間たち(炎症性細胞浸潤)で侵入者と戦います。
この状態がかぶれたときの
水疱(水ぶくれ)や漿液性丘疹(ぶつぶつ)に当たります。
そしてこの水疱の中にはヒアルロン酸が含まれています
ヒアルロン酸により水分をためこみ
皮膚に侵入してきた有害物質を希釈しようとしている
そうです。
(自己免疫疾患の水疱症の水疱には含まれていないそうです。
水疱を作る理由が異なるのですね)

そしてそれごと皮膚外へ排泄。

あのぶつぶつにもちゃんと意味があるのですね。

 

よくできていますね。
だれにこんな戦略教わったのでしょう。

人間の機能は実によくできていて無駄なことはないと・・・
本当に日々思います。

 

 

 

 

投稿日:2016年11月11日  カテゴリー:★ 院長ブログ・医療情報 ★, アトピー性皮膚炎, その他

かゆみ止めの飲み薬。じんましんには奏功するけど、どれもアトピー性皮膚炎のかゆみに効きにくい理由<その4>

このシリーズ最後は
中枢性のかゆみです。

 
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アトピー性皮膚炎では、
この中枢性のかゆみにおいて、
かゆみを誘導するβ-エンドルフィンやμ-レセプターの発現は正常で、
かゆみの抑制系のダイノルフィンやκ-レセプターの発現が低下していることにより
かゆみが誘導されているといわれています。

同様のことが、血液透析患者で起こっています。
このκ-レセプターの活性化をすることで
かゆみを抑制するのがナルフラフィン(レミッチ®)
という内服薬が現在では透析患者さんのかゆみ止めとして
使用されており、とても有用です。

同じような状態が生じているアトピー性皮膚炎の
中枢性のかゆみに対しても有効であると考えられて
いますが、アトピー性皮膚炎に対する有効性についえは現在検証中です。

この中枢性のかゆみは、これまであるかゆみ止めでは
効きません。
レミッチがアトピー性皮膚炎に使用できるように
なりますと、今よりもかゆみを抑えることができそうですね。

 

 

投稿日:2016年11月9日  カテゴリー:★ 院長ブログ・医療情報 ★, アトピー性皮膚炎

かゆみ止めの飲み薬。じんましんには奏功するけど、どれもアトピー性皮膚炎のかゆみに効きにくい理由<その3>

既存のかゆみ止めの飲み薬では、
アトピー性皮膚炎の人のかゆみが十分に取れない
理由についてその1、その2と書いてきました。

<その1>では、現在ある抗アレルギー薬の多くは
ヒスタミンを抑えるものがメインであるため、
アトピー性皮膚炎において
それ以外のかゆみの原因となるケミカルメディエーターを
抑える作用が少ない。>>>

<その2>では、皮膚の乾燥により惹起される
皮膚表皮内への神経線維の侵入により
知覚が過敏になり、かゆみを誘発しやすくなっていて、
これはスキンケアでないと改善しにくいことについて。
>>>

そして今回のその3です。
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皮膚炎を生じると
皮膚からのシグナルが 感覚神経線維を介して 脊椎の細胞(アストロサイト)に伝達されます。

活性化されたアストロサイトは
かゆみの誘発物質であるガストリン放出ペプチドを亢進させることでかゆみを増強させ、
それによりさらなるひっかき行動につながるという サイクルが生じます。
これは脳を介さず、皮膚→脊髄→皮膚で起こります。

慢性的なかゆみにおいては、
長期にわたりアストロサイトが活性化されていて、
慢性的なかゆみの原因になっているといわれています。

このかゆみを慢性的にしないためには
皮膚に炎症を起こさないようして、
皮膚で炎症が起きているというサインを
脊髄に伝わらないようにする必要がありますので、
外用療法で皮膚の状態をよくして
かき傷を作らないようにしてしておくことが必要です。
かゆみ止めの飲み薬のみでは制御しにくいかゆみです。

投稿日:2016年11月2日  カテゴリー:★ 院長ブログ・医療情報 ★, アトピー性皮膚炎

かゆみ止めの飲み薬。じんましんには奏功するけど、どれもアトピー性皮膚炎のかゆみに効きにくい理由<その2>

今ある多くのかゆみ止めは、
アトピー性皮膚炎の方の起痒物質となっているものの
中でもヒスタミンしか抑えることができず、
そのほかの多くのケミカルメディエーターは
おさえられないため、
かゆみ止めの飲み薬が奏功しにくいという
お話しを前回のブログでしました。>>>

続いては
アトピー性皮膚炎のかゆみの原因となる
知覚神経の問題によるかゆみについてです。
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健常者の皮膚では、
知覚神経のC線維は、
主に表皮ー真皮境界部や真皮内に分布していますが、
アトピー性皮膚炎患者では、
C線維が表皮内へ侵入し、角質層直下まで伸長する線維まであることが分かっています。
皮膚表面のすぐ下まで神経線維が来ているので、
衣類の摩擦や様々な皮膚表面の刺激を感じやすくなります。

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皮膚の細胞から分泌されるさまざまな成分により
神経伸長因子が増加し、
逆に神経反発因子が減少し、
本来存在しない皮膚表面に近い表皮内にまで神経が伸びて
刺激に敏感になってしまうようです。

アトピー性皮膚炎の治療の紫外線療法においては、
この神経反発因子が増強することでかゆみがおさまる
理由の一つといわれています。

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またこの知覚神経の表皮内への侵入は、乾燥肌で惹起されることが分かっています。

したがって、かゆみを抑えるには、飲み薬だけではなく、ドライスキンにさせないためのスキンケアが必須と言えます!!

以前にご紹介したヒルドイドクリーム
(ソフト軟膏ではありません)の使用で、
多くの方が肌質の改善を実感しています。
ぜひ角質水分量をあげて保湿効果の高い
ヒルドイドクリームをお試しください(^^)/
詳しくはこちら>>>

投稿日:2016年11月1日  カテゴリー:★ 院長ブログ・医療情報 ★, アトピー性皮膚炎

11月末よりあたらしいアレルギー性疾患治療薬「ビラノア®錠20mg」処方開始になります。11月末に日本では新しく「ビラノア®錠」が処方開始になります。

 

 

11月末に日本では新しく「ビラノア®錠」が処方開始になります。

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眠気が少なく、即効性もあるとのことで
現代人のニーズにより合った抗アレルギー薬といえます。

ですが、鼻炎やじんましんには奏功する抗ヒスタミン作用ですが、アトピー性皮膚炎などの皮膚疾患には、どの薬も効きにくいです。
そのことについて、来月 別の抗アレルギー薬を販売する
某製薬会社で社内講演をしてまいります。
じんましんにはよく効くけれど
アトピー性皮膚炎の方には今一つすっきりかゆみが
取れないその理由について最近の知見について話してきます。

そもそもどうしてかゆみっておこるの?
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アトピー性皮膚炎のかゆみは、
大きくわけて5つのメカニズムがあります。

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まずはかゆみを引き起こす成分について。

アトピー性皮膚炎でのかゆみの原因となる成分(起痒物質)は、
ヒスタミンによるものは一部。
そのほかにこんなにいろいろ関与します。
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ですのでヒスタミンだけ抑えても
あまりかゆみがおさまらないのです。
現在ある一般的なかゆみ止め(抗ヒスタミン剤、抗アレルギー薬はこのヒスタミンを抑える作用がメインです)

ヒスタミン以外の非常に多くのかゆみの原因となる
ケミカルメディエーターがこんなにたくさんわかっています。
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とくにこの中でもアトピー性皮膚炎に関係していると最近いわれているものが
図の通りです。
唯一ヒスタミン以外のケミカルメディエーターを
抑える効能がわかっている抗アレルギー薬でも、
それによって抑えられるケミカルメディエーターは限られており
アトピー性皮膚炎のかゆみに関係するものを必ずしも
抑えてはいません・・・。
結局は抗ヒスタミン作用による効能が
メインであるものが多いためアトピー性皮膚炎のかゆみが
薬で効きにくい要因の一つです。
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アトピー性皮膚炎のかゆみが飲み薬でおさまりにくい原因
について続きを次のブログでご説明いたします。

 

 

 

 

投稿日:2016年10月31日  カテゴリー:★ 院長ブログ・医療情報 ★, アトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎と汗 <その2>保湿剤による角質水分量上昇効果と保湿剤による相違  ワセリン系基剤では逆に低下!!ステロイド外用剤もクリームを推奨。

アトピー性皮膚炎の方の皮膚では、
安静時の皮膚での発汗が低下しており
肌の乾燥、皮膚炎の原因になっている可能性について
ご説明しました。>>>

*「発汗障害から考えるアトピー性皮膚炎の病態とその対策」
杏林大学皮膚科学教室 下田由莉江先生

「保湿剤のこんな使い方しっていますか?」
川崎医科大学付属川崎病院 青山裕美先生

のご講演内容の続きです。

 

安静時の不感蒸泄を増やすことができれば
アトピー性皮膚炎の症状を改善または症状を予防できる
可能性があります。

 

まずは生活の中で必要な発汗を増やす方法ですが、
汗をかくようにするとよいのですが、
保湿に良質な汗をかくには、
皮膚体温が高い状態ですと
皮溝からの肌を湿潤させるのに必要とする汗のほうは
出にくいので
サウナなどよりも、
足浴での方が皮溝からの汗は増えるそうです。

Men In A Sauna

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そして保湿剤の塗付は、肌のきめを整えて、安静時の発汗を増加させて肌にうるおいを与えます。

ただし、この発汗を増加させる作用は、
保湿剤によって異なります!

今回の発表では「ヒルドイドクリーム」においてもっとも
発汗の増加と角質水分量の増加が認められました。
ヒルドイドはソフト軟膏やローションもありますが
この「クリーム」がいいそうです。
しかも白くなるほどたっぷり塗った場合の方が改善度が
よいという結果でした

そして驚くことに、
ステロイド軟膏の外用ではキメの改善はみられますが、
角質水分量に関係する皮溝からの発汗の改善はみられず、
角質水分量は改善しません。すなわち保湿効果はありません。
したがって使用する際は保湿剤との併用が必要です。

またワセリンにおいてはキメの改善もみられず、
さらにはその発汗は低下するという結果でした!

したがって、川崎医科大学ではステロイド外用剤も
軟膏はワセリン基剤のため、
クリーム基剤を使用するように変更しているとのことです。

 

皮膚の保湿のためにしているスキンケアや化粧品も
その成分によっては、塗ったそのときには
しっとりと保湿されたように感じても

ワセリン系(プロペト、サンホワイトなど)のものは
結果的に乾燥しやすい肌にしてしまうことになります。

 

以前にご紹介したように、
アトピー性皮膚炎の方で汗が出ない原因として、
真皮層で漏れ出てしまうことと、もう一つ
汗の出口がふさがってしまっていることが考えられている
とお話ししました。>>>
ワセリンのような油分の多い濃厚な基剤のものを使用していると
詰まる原因になる可能性がありますね。

 

低アレルギー性で低刺激であると思って
ご使用いただいている保湿剤や化粧品においても、
成分にによってはかえって乾燥しやすい肌にしてしまうものもある
ということになりますので、
その成分、特に基剤を見直す必要がありますね。

 

 

 

 

 

 

 

投稿日:2016年6月7日  カテゴリー:★ 院長ブログ・医療情報 ★, アトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎と汗 <その1>皮膚の保湿のための汗がでていない

先週末は、京都で開催された日本皮膚科学会総会に
行ってまいりました。

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今回もっとも興味深かったのは
アトピー性皮膚炎と発汗の話題です。

以前よりアトピー性皮膚炎の皮膚では汗をかきにくい、
汗をかくときに異常にかゆみが生じることは
知られていました。

*「発汗障害から考えるアトピー性皮膚炎の病態とその対策」
杏林大学皮膚科学教室 下田由莉江先生

「保湿剤のこんな使い方しっていますか?」
川崎医科大学付属川崎病院 青山裕美先生

よりお話しを伺いました。

私たちのかく汗には大きくわけて2種類あります。
運動したりしたときにかく汗と
特に何もしていない状態で知らず知らずの間にかいている
汗です。
皮膚の保湿すなわ角質水分量をあげて
うるおいのある肌に保つために必要なのは、この
後者の汗すなわち皮膚からの不感蒸泄の汗です。

アトピー性皮膚炎の方ではこの不感蒸泄の汗が少なく
肌が乾燥し、皮膚炎になりやすいのではないか?いや
そうでもない。と議論がありましたが最近では
やはり発汗低下があるという結論になっています。

 

手のひらや足の裏の発汗は皮膚のキメ(皮膚紋理)の
皮丘と呼ばれる部分からの発汗です。
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それに対して体の大半の汗は
安静時(不感蒸泄)の汗は皮溝からのみで、
この汗が角質水分量に関係し、皮膚を保湿する汗と言われています。

giraffe fell fur

 

温熱負荷時に体温を下げるために出る汗は、
皮丘と皮溝の両方から出ます。
giraffe fell fur

 

アトピー性皮膚炎の方の皮膚では、
キメ(皮膚紋理)が乱れ、
この安静時の皮溝からの汗が低下しており、
皮膚が乾燥しやすいです。
また温熱負荷時にも体温を下げるための汗が少ないため
うつ熱しやすい傾向があるようです。

Giraffe wild brown marking

 

そして膝の裏側や肘の内側のみなど、
患部が限定している初期のアトピー性皮膚炎では、
皮疹のある部位も、無い部位もともに
皮溝からの、角質水分量に関係する汗は減少し、
その代償性と考えられる皮丘からの発汗が増えているそうです。
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それに対して、全身に皮疹があるような
進行したしたアトピー性皮膚炎では、
皮溝からの汗の減少はもちろんのこと、
その代償性の皮丘からの発汗もなくなってしまっているそうです。
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そのことからどうやら、皮膚症状に先行して
皮膚からの発汗の減少があるということが
分かってきました。

 

また、アトピー性皮膚炎の方では、汗でかゆくなることは
よくあります。

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でも、
実は汗は出ないのに、汗をかきそうになるとかゆい
ということがあるようなのです。

それは汗の腺で作られた汗が、
皮膚表面へ出ずに、真皮で漏れ出ていることがわかりました。

Anatomía de la piel

そのため、角質水分量をあげる保湿作用のある皮溝からの
汗は減少し、また真皮層でもれでた汗が刺激になり、
汗はでないのに汗が出そうな時にかゆい!
となるのです。

 

この皮膚症状に先行する汗とくに皮溝からの汗の減少を
改善できれば皮膚炎を予防できますね。

では、どうしたら潤った皮膚にするために必要な
汗が出るようになるのか
その方法について次回お話しします。

 

 

 

 

 

 

 

投稿日:2016年6月6日  カテゴリー:★ 院長ブログ・医療情報 ★, アトピー性皮膚炎

毛染めによる皮膚障害に対する注意喚起

厚生労働省より
毛染めによる皮膚障害について
注意喚起がだされました>>>

近年毛染めでの皮膚障害が増加していることについて
昨年の夏に私もこのブログで取り上げました>>>

染めるときに毎回セルフチェック(オープンパッチテス
ト)を行うことが推奨されています。
ですがまずそんなことはすることは現実的に難しいと思います。
その方法は、薬液を皮膚に塗って(絆創膏で覆うことなく
openのまま)48時間後に判定します。
美容室で染める場合は毎回自分で行く前にやるのでしょうか(*_*)・・・。
そして心配なのは、オープンパッチテストとはいえ
そんなに頻回に行うと、かえってその行為によって感作
され、アレルギーを獲得するリスクが増える心配も考えられます。
まだまだこの辺りは議論されるべきです。

昨年の夏に、このブログで毛染めのアレルギーが増加して
いることについて、そして対処法についてご紹介したため
毛染めによる皮膚障害の疑いの方が当院へ、
多く受診されるようになりました。

経過を聞くだけで大半は診断できますが、
多くの方は、染めた頭部から範囲を超えて、
むしろ頭皮よりも顏や首の症状の方が強く出ている場合が
多いです。
そして皮膚科をせっかく受診しても、毛染めのせい
ではないかときいても違うと診断された例が多いです。

毛染めで皮膚障害を生じる場合には
アレルギー性の接触皮膚炎と
非アレルギー性の接触皮膚炎に分かれます。

非アレルギー性接触皮膚炎では、薬液の刺激により
直接的に生じる皮膚炎です。
したがって肌のコンディションによって
症状が出たりでなかったり、
症状が軽かったりひどかったりします。
ただしこれを繰り返しているうちに
アレルギー性となる場合も多いと考えられます。
壊れた皮膚から薬液が入り込むと、
アレルギーを獲得(感作)のきっかけとなります。
アトピー性皮膚炎の方や頭皮湿疹のある方は、
肌の調子の良いとき、もしくは頭皮の状態を整えてから
のみ行うことが重要です

アレルギー性の場合には、その成分に対して体が
合わない物質とおぼえこんでしまっているため(感作)
毎回症状がでますし、染めた部位を超えて症状が
広がったり、全身的なアレルギーに進行することがあります。

「ずっと毛染めしているから心配ない」はまったくあてに
はなりません。

アレルギー性の場合の多くは、前兆があります
「最近染めた後、頭皮かかゆくなる」
「最近染めた後、髪の生え際や耳がかゆくなる」
その後
「染めると頭皮がただれる」
「染めると頭皮にぶつぶつやかさぶたができる」
そして
「染めるとそのあと顏がかゆくなる」
「染めるとそのあと顏が赤くなる」

このように染めるたび、症状が悪化してくることが多く、
いきなり、初めて染めた人が重篤なアレルギー症状に
なることはありません。
したがって、私がお勧めするのは、上記のような
前兆が出てきた際に早期に皮膚科を受診して、
アレルギーを獲得してしまったのかどうかを診ていただく
のが良いと考えます。

さて当院ではヘアカラーのような酸化染毛剤が
合わなくなってしまった方に一時染毛剤ヘアトリート
メントタイプのものをご紹介しています。>>>
ただやはり染まりが悪いので
このたび「お歯黒式白髪染め」の商品の取り扱いを
始めようと思っております。
つきましては、モニターさんを募集いたします。
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ご協力いただける方はスタッフまで。

 

投稿日:2015年11月18日  カテゴリー:★ 院長ブログ・医療情報 ★, アトピー性皮膚炎

EPAやDHAなどのオメガ3系脂肪酸が皮膚アレルギー疾患に有効である機序について京大が発表しました

以前に、炎症性、アレルギー性疾患の治療のサポート
として、魚油に含まれるEPAやDHAが抗炎症作用があり
有効であることについてお話しいたしました。
当院でも皮膚疾患における慢性炎症性疾患、アレルギー
疾患であるアトピー性皮膚炎乾癬、花粉症方など
使用しています
>>>

化学的に製造された「薬」を用いた治療ではなく、
食品由来の「サプリメント」=機能性食品を用いた
栄養療法は、日本ではまだまだ認知度が高くありません。
それでも当院へは連日各地から、多くの方が栄養療法を
併用したいというご希望で受診されます。
ありきたりな抗アレルギー剤とステロイドの外用治療のみ
での、症状を抑え込むだけの保険診療でなく、
体の中から整えて、症状を改善させる栄養療法のご希望は
年々増えています。

栄養療法は、疾患の治療に有効であるばかりではなく、
皮膚の慢性炎症性疾患は、長期間「炎症」を持っている
ことによる、皮膚だけでない、将来関係してくるさまざまな
疾患リスクに対しての予防ケアにもなります。
「炎症」は老化の原因、そして病気の原因となります。
皮膚症状をコントロールするだけでなく、
慢性炎症性疾患の持病による将来生じうる病気の予防の
管理までをして、はじめてその病気を「診ている」
ということになると私は思っています。
日本においてもこの予防医療がもっと浸透して
常識となるとよろしいですね・・・。

欧米では栄養療法を試みられることが多く、また有効性に
関する報告も多いのですが、日本ではこれまでなかなか進んでいませんでした。
ですがこのところようやく国内でも薬以外の
サプリメント(機能性食品成分)による効能についての
報告が増えてまいりました。

今回は、京都大学大学院医学研究科の研究グループが、
魚油に含まれるEPA(エイコサペンテン酸)、
DHA(ドコサヘキサエン酸)など、
ω(オメガ)3系脂肪酸による皮膚アレルギー反応を抑制
する機序を報告しました。

詳しくは京都大学のHPをご参考になさってください>>>

EPAやDHAが炎症を抑える効果があることは
今や周知のことですが、
皮膚のアレルギー疾患改善における詳細な機序については
わかっておりませんでした。

EPA、DHAなどのオメガ3系脂肪酸に由来する脂質代謝物
がアレルギー反応に重要な働きを担う樹状細胞の機能を
抑制することがわかりました。

樹状細胞は、皮膚をはじめとして、外界に接する鼻腔、
肺、胃、腸に存在しています。
異物が侵入してきた際に、その信号を免疫作用に関係する
細胞に知らせる働きがあります。
それにより、異物をやっつけようと働くさまざまな
攻撃システムが免疫反応です。
皮膚においてこの反応が過剰であると炎症が長引き、
症状の慢性化につながります。
EPAやDHAなどオメガ3系脂肪酸が、
この皮膚での樹状細胞のランゲルハンス細胞において
過剰になった反応を抑制し、
正常な状態へ向ける作用があることが今回わかったのです。
なかでも「レソルビンE1」によるその作用を確認しています。

アトピー性皮膚炎を治すとか、
乾癬を治すとか
というまでに至らずとも、遷延する過剰な炎症を
適切に整えるのには大変有効であるといえます。

 

当院では保険診療での
症状を抑え込む治療のみならず、
本来の正常な免疫機能に整える栄養療法をいち早く取り入れております。
ご希望のある方はご相談ください。

 

 

 

 

投稿日:2015年10月26日  カテゴリー:★ 院長ブログ・医療情報 ★, アトピー性皮膚炎