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カテゴリ:アトピー性皮膚炎

 

皮膚科や小児科にたまたま受診した子供でないと情報がいきわたらない現状なんです・・・アレルギー疾患の新たな知見をもっと臨床の場へ<その2> 

<昔とは違う!今は食べておくことで
食物アレルギーを予防できる

離乳初期からの加熱卵の少量摂取で
ハイリスク児の卵アレルギー発症が8割減少>

かつては食物抗原の摂取時期を
遅らせたほうが、食物アレルギーになりにくいと
考えられており、
卵の摂取もなるべく遅らせるように指導していた時代がありました。

これまでの研究において、
2010年、
生後4~6ヵ月までに加熱した鶏卵を始めた乳児に比べて、
10~12ヵ月に始めた乳児では、
5.9倍鶏卵アレルギーのリスクが高まるという報告に始まり*1

鶏卵を早期に摂取することによるアレルギーを予防する効果
について検証されたさまざまな報告がされました。

2013年オーストラリアからの発表(STARスタディー)では
アトピー性皮膚炎の既往を持つ乳児に、生後4ヵ月から
生卵粉末(週に約1個程度)を摂取させたところ
12ヵ月時点において鶏卵アレルギーの発症が、除去群よりも少ない結果でした。
が、統計的有意差が出るほどではなく、
3人に1人は生卵の摂取によりアレルギー症状が出てしまう結果でした*2。

その後
同じくオーストラリアから(STEPスタディー)
今度はアトピー性皮膚炎やアレルギー疾患の既往のない乳児
820人を対象にした大規模ランダム化比較試験を行ったところ、
生卵粉末の摂取によりひとりも
アナフィラキシー(重篤なアレルギー症状)は出なかったものの、
早期摂取による鶏卵アレルギーの予防効果は証明されませんでした。

そして次に
英国(EATスタディー)では
一般乳児1,303人に加熱した鶏卵を週1個相当を
生後3ヵ月から開始した早期導入群と、
生後6か月以降に開始した対照群を比較した結果
有意に鶏卵アレルギーの発症が少なかったものの、
脱落者が多く有意差はでませんでした*3。

そして日本において
2016年、国立成育医療研究センターにおける
PETITスタディーでは、
アトピー性皮膚炎の乳児において
生後6ヵ月から微量(50mg)の加熱全卵粉末を開始し、
9ヵ月からは少量(250mg)の加熱全卵粉末を毎日摂取した群と
12ヵ月まで鶏卵を完全除去した群とで
1歳時における鶏卵アレルギーの発症率は
鶏卵を早期より摂取していた群では8.3%
完全除去していた群では37.7%という結果で
有意にアレルギーの発症を減少させることができました*4。

この本邦での研究において、安全に成功できたポイントは、
生卵乾燥粉末を使用した海外での先行研究と比較して
微量加熱全卵粉末で行ったこと、
またアトピー性皮膚炎の症状のコントロールを良好に
保ちつつ行ったことが鶏卵アレルギーの発症率の低さに
貢献したと考えられています。

*1.Koplin JJ et al.:Can early introduction of egg prevent
egg allergy ininfants?A popolation-based study.,
j Allergy Clin Immunol 2010:126:807-813.
*2.Palmer DJ et al:Early regular egg exposure in infants
with eczema:A randomized controlled trial.,J Allergy Clin Immunol 2013;132:387-392.
*3.Perkin MR et al:Randomized Trial of Introduction
of Allergenic Foods in Breast-Fed Infants.,N Engl J Med 2016:374:1733-1743.
*4.Natsume O et al:Two step egg introduction for preventing
egg allergy in high-risk infants with eczema(PETIT study):
a double-blind,placebo-controlled.parallel-group
ramdomised clinical trial.Lancet 2017;389:276-286

 

このPETITスタディーの結果をうけて
2017年6月16日、日本小児アレルギー学会
食物アレルギー委員会より

「鶏卵アレルギー発症予防に関する提言」が発表されました。

★ アトピー性皮膚炎や痒みのある乳児湿疹などの
皮膚炎のある乳児では

鶏卵の摂取が遅いほど鶏卵アレルギーを発症するリスクが
高まるというエビデンスから、
鶏卵アレルギーの予防を目的として、
医師の管理のもと、生後6か月より鶏卵の微量摂取を開始する
ことを
推奨する

★ 鶏卵の摂取を開始する前に、
アトピー性皮膚炎を完解(外用剤の使用の有無関係なく皮疹が消失した状態)
させることが望ましい

★ 乳児期早期発症のアトピー性皮膚炎、特に重症例では、
この提言を実行するにあたり、
小児科や皮膚科のアレルギーの専門医や
乳児期のアトピー性皮膚炎や食物アレルギーの管理に精通している医師
による診療を受けることを推奨する

★ 鶏卵の感作のみを理由とした安易な鶏卵除去を指導することは推奨されない

★ 本提言は発症予防のためであり
すでに鶏卵アレルギー(即時型、食物アレルギーの関与する乳児アトピー性皮膚炎)の発症が疑われる乳児に
安易に鶏卵摂取を促すことは極めて危険である
ため、
「食物アレルギー診療ガイドライン2016」に準拠した対応をする。

 

具体的な鶏卵摂取の方法について、次のブログでお話いたします。

投稿日:2017年11月9日  カテゴリー:★ 院長ブログ・医療情報 ★, アトピー性皮膚炎, 小児皮膚科

皮膚科や小児科にたまたま受診した子供でないと情報がいきわたらない現状なんです・・・アレルギー疾患の新たな知見をもっと臨床の場へ<その1> 

昔は正しいと考えられていたことも
違っていた・・・医学の分野においても結構あります。
それが是正されぬまま患者様も正しいと思い続けていたり(たまに医者も)、
新たに分かった最新の情報がきちんと皆様に届かない・・・
病院を受診してたまたま新しい情報について
知ることが多いかもしれませんが、
あわただしい診療のなかでは、
医師からもなかなか情報がもらえないことも多いかもしれません・・・。

そして医師自身も知識のアップデートがうまくいっておらず
正しいと考えられている最新の情報を患者様に提供できていない
こともあると思っています。

そしてとくに
ネットの情報にいたっては、医師が監修していたとしても
いい加減なものたくさんあります・・・。
監修といっても
医師がネットで検索して書いているものも多いと聞きます(笑)

この私のブログでは、できる限りエビデンス(根拠)の
ある情報で、日進月歩の医学情報の最先端を日々お伝え
できればと思います。

↑前置きが長くなったのは
あるDrのブログを朝みて「いい加減なことを公言するなぁーーー」
と思う記事があったので( `ー´)ノ

 

さてこんな雑誌があります。
「アレルギー疾患を診る医師のための情報誌」
Salud(サルー)
:「お大事に」とか「健康」を意味する
スペイン語だそうです。

 

この分野こそまさに皮膚科では
日進月歩。
どんどん昔と考えが変わってきており
医師も患者さまへの指導にも戸惑います。

というわけでこんな雑誌があるのですね。

その内容の一部をご紹介したいと思います。

国立成育医療研センター 生体防御系内科部アレルギー科 医長
大矢幸弘先生と
東京慈恵会医科大学付属 第三病院小児科 教授の
勝沼俊雄先生との
対談より。

<生後1~4ヵ月の湿疹・アトピー性皮膚炎の発症が食物アレルギーの大きなリスク>
かつては、食物アレルギーがアトピー性皮膚炎の原因と
考えられていた時代がありました。
これ、いまだに修正されていないことが多く
血液検査で食物アレルギーがあるとそれだけで
アトピー性皮膚炎と診断されていたり、
患者様からも血液検査でアトピーかどうか診断してほしい
なんていう要望はいまだに多いです。
私たちも、かつては食物アレルギーがアトピー性皮膚炎の
原因になると考えていたため、
母親の摂取した食事から胎盤を介した
感作(アレルギーの獲得)が
食物アレルギーに影響すると疑われおり、
妊娠中や授乳中に母親に卵の摂取を控えさせたりして
食物アレルギーの抗原除去を子供のアレルギー発症予防として
勧めていたこともありました。
2008年にLackにより提唱された「二重抗原暴露仮説」により
荒れた皮膚を介して食物抗原が侵入することで
食物アレルギーとなり、
口から入った食物はむしろ免疫寛容されるように
誘導される。すなわち正しいルートで口から入った
食べ物については異物、悪いものとして免疫が働かないように
体が覚えるという説です*1。

したがって、今では母親の食事制限は
子供のアレルギー発症の予防にはつながらないとされています*2。
現在は食物アレルギーの原因は経皮感作すなわち
湿疹などで壊れた皮膚から食物抗原が侵入することで
食物アレルギーが獲得されることが
多いというのが
一般的な考えとなっています。

*1 Lack G:J Allergy Clin Immunol.,122(5),984(2008)
*2Kramer mS et al:Cochrane Database Syst Rev.,9,CDooo133(2012)

よって
湿疹やアトピー性皮膚炎の存在が
食物アレルギー発症のリスクファクターになっていると
考えられています。

大矢医師の施設での出生コホート研究により、
生後6か月までに湿疹を発症した子供は
3歳時に食物アレルギーを高率で発症すること。
なかでも
湿疹の発症時期が早いほど食物アレルギーの発症率が高く、
生後1~4ヵ月で湿疹のある子どもは、湿疹のない子供に比べて
1歳時での食物アレルギー発症のオッズ比は19倍にも
上まわると
報告されています。

したがって新生児、乳児期の皮膚状態は
食物アレルギーに大きく影響します。
そこでさらに同施設での研究では、スキンケアがアトピー性皮膚炎の予防に
効果があることを発表しました。
遺伝的にアトピー性皮膚炎の発症のリスクの高い乳児を対象に
保湿ケアとした群としなかった群とで、
保湿ケアをした群では湿疹・アトピー性皮膚炎の発症率が
有意に低いことが明らかになりました。
以前に(2014年に)
このことについて詳しく書きましたのでこちらをどうぞ>>>

すなわち
「食物アレルギー」の発症を予防するには
「湿疹やアトピー性皮膚炎」を発症させないことが大切で、
そのためには乳児期から安全性の高い保湿剤で(アレルゲンの含まれない)
きちんと「スキンケア」をすることが
そられらの発症を予防することに非常に重要だということです。

特にお口の周りの湿疹は
母乳内の食物抗原や食物が付着することで
経皮感作される可能性がありますので
早くお薬で治すことが大切です。

 

次回のブログ<その2>では
<昔とは違う!今は食べておくことで食物アレルギーを予防できる>について
お話します。

投稿日:2017年11月1日  カテゴリー:★ 院長ブログ・医療情報 ★, アトピー性皮膚炎, 小児皮膚科

アトピー性皮膚炎の原因、治療の変遷(その5)痒みの調節 PDE4阻害薬内服及び軟膏のゆくえ

以前にアトピー性皮膚炎の痒みは複雑で
抗アレルギー剤では止まりにくいことについて
お話しました。

★「アトピー性皮膚炎においてかゆみ止めの飲み薬が奏功しにくい理由」
その1>>>
その2>>>
その3>>>
その4>>>

そのなかで、現在多くのかゆみ止めの飲み薬は
ヒスタミンというかゆみを引き起こす成分のみを
抑えるものが多く、現在かゆみの原因として
わかっている他のケミカルメディーエーターを
抑えられるものは少ないとお話いたしました。>>>

現在乾癬という皮膚疾患に適応症が拡大した
PDE4阻害剤「オテズラ錠(アプレミラスト)」は、
最近では痒みを伴うことの多くなった乾癬に
かなり有効性が高く、安全性も高いことが知られ、
当院におきましても多くの患者様に使用しております。
特に痒みを抑える効果にも即効性があります。

このオテズラ錠はアトピー性皮膚炎についても
効果と安全性が検証中です。
各種サイトカインなどの炎症性メディーエーターの産生を
調整するため、これまでの主にヒスタミンのみを抑制する
抗アレルギー剤よりも痒みを抑えてくれる可能性が
期待され、治験が進んでいました。
痒みに対する効果はいいものの
皮疹に対する効果が顕著に出ていないため
治験が継続されるかが微妙なところであると聞き
大学病院の教授とオテズラを製造販売する製薬会社に
継続していただけるよう直談判しました( ;∀;)・・・。
その後どうなっているのかわかりません・・・。

 

先日PDE4阻害剤の(内服薬ではなく)軟膏
小児および成人のアトピー性皮膚炎に
使用期間は短期間ではありますが有用であったという報告がありました。
*Paller AS et al:Efficacy and safety of crisaborole ointment,a novel,nonsteroidal phosphodiesterase 4(PDE4)inhibitor for
the topical treatment of stopic dermatitis(AD)in children and adults,Journal of the American Academy of Dermatology.
2016 Sep;75;494-503.
米国のノースウェスタン大学にて、
アトピー性皮膚炎の小児と成人を対象に行った第3相試験
において、PDE4阻害剤のcrisaborole軟膏の有効性と安全性が確認されました。
軽症から中等度のアトピー性皮膚炎と診断された2歳以上の小児
および成人患者さんにcrisaborole軟膏または軟膏基剤のみの群で
1日2回28日間塗布し、その効果と安全性についてみてみます。
crisaborole軟膏群がアトピー性皮膚炎の皮疹の改善した割合が
高く、痒みの改善も早期より改善しています。
この軟膏塗布による有害事象も稀でした。

たった1ヵ月ほどの研究ですので、
それでも効果がはっきりと見られたことは素晴らしいですが、
安全性についてはもう少し長期見ていただかなければなりませんね。

ですが朗報ですね。

 

投稿日:2017年9月22日  カテゴリー:★ 院長ブログ・医療情報 ★, アトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎の原因、治療の変遷(その4)~正しいスキンケア用品の選び方~

(その3)ではスキンケアをすることで
皮膚バリア機能が改善
することについてお話いたしました>>>

アトピー素因のある方、アトピー性皮膚炎の方、
乾燥肌の方、ご高齢の方、お子様が
健康的な丈夫な肌を保つには保湿ケアが重要です。
保湿ケアをすることで皮膚バリア機能は改善し、
乾燥しにくく健康な肌を保つことができます。
ただし!
その保湿ケアに使用する外用剤、ボディークリームの内容成分
重要です。
以前にお話しました>>>

平常時に知らないうちにかいている汗(不感蒸泄)が
皮膚の保湿に重要な役割をしています。>>>
ワセリンなどの油分の多いものを塗っていると
汗の出口が詰まったりして大切な保湿のための発汗が低下して
自力で保湿できなくなっていきます。
そして結果的にワセリンの保湿では皮膚のキメの改善がなかった
すなわち皮膚の状態の改善は難しいということがわかっています。
また塗りやすいローション、泡タイプのものなどは
一時的に潤った感じになっても
この本来の保湿機能をあげるまでには至りにくいです。
昨年の日本皮膚科学会総会において
今のところもっともこの本来もつ保湿機能を改善するのは
マルホの「ヒルドイドクリーム」との報告がありました。
ヒルドイドソフト軟膏でもローションでもありません。
必要な平常時の汗を正常な状態にし、
保湿機能を上げて角質水分量を高められる保湿剤です。
またジェネリックでは基剤が違うため
同じ効果ではないとのことでした。

 

当院でもアトピー性皮膚炎で通院されているうち
月に一回程度の定期通院をされている90名で
ヒルドイドクリーム(ジェネリックも含む)を
ご使用いただいた効果について
検証しました。
(ヒルドイドソフト軟膏ではありません)

角質水分量や経表皮水分蒸散量(TWL)などの測定は
していませんので、患者さんの印象と私の皮膚の診察で
ざっくりと評価しました。

保湿剤をヒルドイドクリームに変更することで
症状が著明改善し、ステロイドの使用量も減った方21名
以前よりもやや皮膚が保湿され、ヒルドイドクリームで継続している方54名
特に変化がなく、患者様も特別改善した実感がなかった方13名
合わなかった方2名

80%以上の方で、保湿クリームを
ヒルドイドクリームに変更することで改善しています。
一度お試しいただくといいですね♡

でもあの独特の薬臭いにおいが
使いにくかったですね。
ようやくそのにおいの原因の防腐剤添加物のチモールが除去されます
10月頃より処方できるようになりますので
これまでヒルドイドクリームのジェネリックを使用されていた方
はヒルドイドクリームへ戻してお試しください。

 

またオーガーニックのものなら安心、
天然素材の方が安心と思われがちですが、
そうであるとはいえません。
正常な皮膚に塗布する場合には問題がなくても
壊れた皮膚から浸入した成分に対して
アレルギーを獲得しやすい(感作)ことがわかっています。
特に精油に注意です>>>
炎症を抑えたりする効能のある精油もありますが
アレルギーの感作の報告も多数あります。気をつけてください。
皮膚が荒れている場合には、アレルギーテストがされている
保湿剤を使用してください。

投稿日:2017年9月15日  カテゴリー:★ 院長ブログ・医療情報 ★, アトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎の原因、治療の変遷(その3)~皮膚バリア機能の要 フィラグリン~

< 皮膚バリア機能の要は 「フィラグリン」 >

* フィラグリンタンパクの代謝産物が皮膚の天然保湿因子(natural moisturizing factor:NMF)に需要な役割

アトピー性皮膚炎の病態の主体は
「バリア機能異常」です。

このバリア機能異常に重要な関連性が示されているのが
天然保湿因子(NMF)の低下です。
本来私たちの肌に備わっている保湿機能に必須の因子です。

このNMFの主成分は「フィラグリン」というタンパクから
分解産生されるアミノ酸から成り立っています。

 

* フィラグリンは保湿因子としてだけではなく、バリア機能としても重要な役割  

皮膚表面の表皮細胞同士を凝集させる線維間凝集物質
としても働き、これらが欠乏している状態では
角層細胞ははがれやすく、バリア機能は低下します。
このバリア機能が低下すると
皮膚の外側と内側との浸透性が上昇し、経皮水分喪失量(transepidermal water loss:TEWL)は上昇しすなわち皮膚は乾燥してしまいます。

 

* アトピー性皮膚炎ではこの「フィラグリンが減少」している場合がよく見られます

フィラグリンの減少の原因には
・ フィラグリンの遺伝子異常、発現低下
・ フィラグリンを分解してNMFにする酵素(ブレオマイシン水解酵素:BH)の活性低下(発現低下)

フィラグリンの発現低下はアトピー性皮膚炎に限らず乾癬や
皮膚リンパ腫などほかの疾患においてもみられることがあります。
最近ではフィラグリン遺伝子異常・発現低下のみならず
BHというフィラグリンを分解するための酵素の発現低下している場合もあることが分かりました。
このBHの低下は加齢した皮膚(60歳以降で有意に低下)や乾燥肌程度でも確認されています。

そして季節変動やアトピー性皮膚炎の症状のコントロール状態
によってもBH活性は変化します
(すなわちアトピー性皮膚炎のコントロール状態を良好にすることでBH活性は改善します→アトピー性皮膚炎の症状を整えると本来の保湿機能が戻り、バリア機能が改善していくのです
*Kim.B.E et al.:J.Invest.Dermatol.,131:1272-1279.2011.
*菅谷 誠:医学のあゆみ,256:35-40.2016
*日比野利彦:J.Soc.cosmet.Chem.Jpn..,47:216-220.2013
*森田久美子ら:2015年第64回日本アレルギー学会学術集会にて発表

 

* したがってスキンケアをしてアトピー性皮膚炎の症状を抑え、整えることは
BH活性を高め、NMFの産生を増加させ、バリア機能改善につながります。

正しい保湿ケア・保湿剤の選び方については
アトピー性皮膚炎の原因、治療の変遷(その4)へ

投稿日:2017年9月12日  カテゴリー:★ 院長ブログ・医療情報 ★, アトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎の原因、治療の変遷(その2)

アトピー性皮膚炎の診断。
日本皮膚科学会ガイドラインのアトピー性皮膚炎の診断基準は
このようになっています。

ですが、私が医者になった20年以上前とは、アトピー性皮膚炎と呼ばれる方たちの様子は、だいぶ変わってきています。

アトピー性皮膚炎のほとんどは、親や兄弟にもアトピー性皮膚炎の方がいらして、遺伝が明らかな場合がほとんどでしたが、
最近ではアトピー性皮膚炎と以前に診断されている方の半数は
遺伝的素因が認められません。

古典的なアトピー性皮膚炎は
遺伝的に皮膚のバリア機能、保湿機能が低下していて
幼少期より皮膚が弱く、
そして壊れた皮膚から外来物質が侵入することにより
ハウスダスト、ダニそして口の周りの皮膚があれていると
そこに付着した食物により感作され食物アレルギーも伴うことがあります。

アトピー性皮膚炎の病態は
「皮膚バリア機能の異常」です。

そしてそれに伴う「アレルギー炎症」です。

そのバリア機能異常の病態については
近年解明されつつあります。

安易に血液検査をして、IgEが高く、
アレルギーが陽性になるものがいくつかあり
湿疹が見られたらアトピー性皮膚です!
なんていういい加減な診断 今だによく見ます・・・。

そして湿疹に薬を塗ったり、
抗アレルギー薬を飲んで症状が治まったら
「治った」?
それは治っているのではなく
薬で症状を抑えているだけです。

当院ではエビデンスのある最新の医学情報をもとに
根底からアトピー性皮膚炎の病態を改善することに努めます。

ずっと薬を塗り続け、飲み続けていることに
不安を感じたら、ご相談ください♡

投稿日:2017年9月10日  カテゴリー:★ 院長ブログ・医療情報 ★, アトピー性皮膚炎

小児の遅延型フードアレルギー検査も始めます~アトピー性皮膚炎の原因、治療の変遷(その1)~

成人においては慢性疲労、肥満、アレルギー体質
等の原因の一つになりうる腸内環境の精査として
遅延型フードアレルギー検査を当院では行っております。
当院では日本国内では比較的早い段階である
5年前よりこの検査を導入し、
様々な疾患、症状におけるデーターの集積を
行ってまいりました。
その中でアトピー性皮膚炎患者における腸内環境の異常、
リッキーガット症候群の保有率は高く、
腸内環境に問題がある場合が多いことが
わかってまいりました。
これまでは成人のみで検査を行ってまいりましたが、
小児における状態の把握のため、
3歳以上の小児においても遅延型フードアレルギー検査を
開始いたします。

検査には人手が必要なため予約制とさせていただきます。

 

腸内細菌は、母親の産道及びその周辺から
新生児の消化管に定着します。
よって腸内細菌叢の形成には
分娩様式にて大きく左右されます。
母親から腸内細菌を受け継ぐため
当院では、アレルギー体質の母親が妊娠した際には
出産前にプロバイオティクス、バイオラクトの摂取を勧めています。

このように形成された腸内細菌叢は、
その後の食事、薬剤、後天的に入ってきた微生物、
ストレスなどで変化し、1~3歳ころには成人型の
腸内細菌叢へ移行します。
よって、それまでの時期の小児への抗生剤の投与は
腸内細菌叢に大きく影響を生じますので
医原性のdysbiosisとならないように

私は慎重に行っております。

腸内細菌のうち、有用菌(善玉菌)が
腸のバリア機能を整えており、
腸内細菌叢の乱れ、dysbiosisは腸での炎症を引き起こし、
その免疫異常は全身へ波及し、
アレルギー症状、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、
喘息など原因、悪化させます。

アトピー患者と健常者の腸内細菌叢とを比較すると
乳酸菌が有意に低下しているなど、
腸内細菌叢に異常を認めている
という報告は多数あります。
*1.Björkstén B et al.:The intestinal microflora
in allergic Estonian and Swedish 2-year-old children.
Clin Exp Allergy 29:342~346.1999
*2.Björkstén B et al.:Allergy development and
the intestinal microflora durring the first year of life.
J Allergy Clin Immunol 108:516~520.2001
*3.Kalliomäki M st al.:Distinct patterns of neonatal
gut microflora in infants in whom atopy was and was
not developng.J Allergy Clin Immunol 107:129~134.2001
*4.Watanabe S et al.:Difference in fecal microflora
between patients with atopic dermatitis and healthy
control subjects.J Allergy Clin Immunol 111:587~591.2003
*5.Penders J et al.:Gut microbiota composition and
development of atopic manifestations in infancy:
the KOALA Birth Cohort Study.Gut56:661~667.2007
*6.Suzuki S et al.:Differences in the composition of
intestinal Bifidobacterium species and the development
of allergic diseases in infants in rural Japan.Clin Exp Allergy 37:506~511.2007
書き切れませんのでこのくらいにします

 

この腸管でのバリア機能異常がありますと
遅延型フードアレルギーを引き起こしやすくなります。

当院では腸内フローラを調べる検査もしていますが、
詳細を見る検査は高額です。
本来は自分に保有している菌を
プロバイオティクスとして多く摂取することが
理想的であり、この検査を広く行いたいところ
ではありますが現実的にまだ難しいです。

遅延型フードアレルギー検査は、
腸で刺激になっている食べ物を
調べる目的のみではなく、
ある程度の腸環境、リッキーガット症候群の有無を
把握できます。

 

アトピー性皮膚炎の治療は、
生じている湿疹を速やかに治し、皮膚バリア機能を
改善することがとても重要ですが、
それは症状を抑えているだけにすぎません。
それ以外にも悪化因子を改善をしなければ
良い状態は保てません。
検査は自費となりますが、ご希望のある方は医師にご相談ください。

 

皮膚アレルギー疾患は腸内環境の影響>>>

 

遅延型フードアレルギー検査
¥28,000 (成人・小児ともに)
この検査に関係する診察料として別途初回診察料¥3,000
再診料¥2,000がかかります。(税別)

投稿日:2017年9月7日  カテゴリー:★ 院長ブログ・医療情報 ★, アトピー性皮膚炎, 小児皮膚科

イニクススキンセミナーの講演内容の一部をご紹介します

今回のセミナーでは、
お肌に多少なりともお悩みがあり、
「イニクス」のスキンケア用品にたどり着いた方にお集まりいただき、
お話させていただきました。

とても熱心にメモを取られている方も多く、真剣に聞いてくださるまなざしに、本当に悩んでいてお困りであることが感じとれました。

そんな方々のお悩みとは・・・

おとな女性に多い肌トラブルは
当院では
乾燥
ニキビ
化粧品かぶれです。

敏感肌であると感じている女性は、
最近では50%以上といわれているそうです。

その理由としてやはり乾燥や化粧品に刺激を感じやすい、ニキビと
当院と同じ結果です。

 

そのまずは
「乾燥」「化粧品かぶれ」について

 

乾燥してしまう原因は・・・

私たちの肌は本来、
化粧水を塗ったり、乳液を塗ったりしなくても「潤す」機能を持っています。
ですが、メイクをして、クレンジングして・・・・それらの本来の機能を失ってしまうようなことが日常的に繰り返されています。
そのダメージに対してのケアを怠ったり、過剰にしすぎることで、この素晴らしい機能を損ねてしまい乾燥してしまうのです。

 

 

この肌本来の保湿機能に大きく影響するのは
以下の因子です。

まずはこのなかの「天然保湿因子NMF」について

 

 

「フィラグリン」タンパクが分解されて天然保湿因子NMFになります。
体質的にこのフィラグリンに異常があるのがアトピー性皮膚炎の一部の方です。
そして最近ではこのフィラグリンの遺伝子異常
だけではなく、フィラグリンからNMFに代謝されるときに必要な酵素(ブレオマイシン水解酵素BH)が低下していることで乾燥してしまっている場合があることが分かっています。

 

そして一見汚れ?と思ってしまう
「皮脂」「汗」
これも大切な成分です。

 

水分の蒸発を防ぐ大切な「皮脂膜」を形成しています。
また脂肪酸が含まれていて肌を弱酸性に保ち、雑菌の繁殖を抑えています。
ですから、この皮脂膜を取りすぎてしまいますと
乾燥し、化膿しやすい肌になってしまいます。

そして角質細胞間脂質

煉瓦のように角質細胞が積み重なって壁を作り
外界から身を守っています。
その煉瓦と煉瓦をつなぎ合わせるセメントのような働きをしているのが「角質細胞間脂質」です。
この煉瓦の壁が壊れてしまうと
様々な侵入物が肌の中に入ってしまい刺激を受けます。
また肌の中の水分も蒸発しやすくなり
乾燥してしまいます。

この角質細胞間脂質の主成分はセラミドです。
やはり過剰な洗顔などで失いやすいです。

最近はこのセラミド配合の化粧品もありますね。

 

そしてバリア機能のこわれた結果の乾燥は
化粧品に刺激を受けやすくなり、
様々な物質に敏感になり
皮膚炎をおこしてしまうこともあります。

乾燥だけではなく
赤み、かゆみ、皮むけなどがある場合には自己流でスキンケアを行わず、皮膚科で治療を受けましょう。

 

次回は大人ニキビ肌のスキンケアについてご説明します♪

 

 

 

 

 

 

 

投稿日:2017年5月30日  カテゴリー:★ 院長ブログ・医療情報 ★, 美容・アンチエイジング, アトピー性皮膚炎

大阪で「イニクスのスキンケアセミナー」の講演をしてまいりました

5月28日(日曜日)
大阪のグランフロント大阪で
ヒルドイドでおなじみのマルホ株式会社
製造販売しているスキンケア用品「イニクス」
「スキンケアセミナー」で講演をしてまいりました。

「イニクス」についてはこちら>>>


イニクスカラーでコーディネートしていきましたよ♪

 

 


 

 

 

 

 

 

 

前回大人ニキビの原因について
一部講演の内容をご覧いただきました>>>

内容の続きをまたこのブログでご案内いたします。

またこの講演の様子は夏ごろに
Webで公開される予定となっております。

投稿日:2017年5月29日  カテゴリー:★ 院長ブログ・医療情報 ★, 美容・アンチエイジング, アトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎のかゆみ治療に朗報♡

アトピー性皮膚炎のかゆみの原因として
重要な作用をしているIL-31を抑制するお薬の
情報が入ってまいりました。
もう一度復習してみましょう。

 

以前よりアトピー性皮膚炎のかゆみは
非常に多彩な要因があり、既存の内服薬では
充分な効果を出しにくいことについて書いてまいりました。

★「アトピー性皮膚炎においてかゆみ止めの飲み薬が奏功しにくい理由」
その1>>>
その2>>>
その3>>>
その4>>>

そのなかで、現在多くのかゆみ止めの飲み薬は
ヒスタミンというかゆみを引き起こす成分のみを
抑えるものが多く、現在かゆみの原因として
わかっている他のケミカルメディーエーターを
抑えられるものは少ないとお話いたしました。>>>
近年そのアトピー性皮膚炎のかゆみに関係している
ケミカルメディエーターの一つとして
「インターロイキン31(IL-31)」
という物質が注目されています。
*1 Dillon SR et al:Interleukin 31,a cytokine produced
by activated T cells,induces dermatitis in mice.
Nat Immunol.5:752-760,2004
*2 Raap U et al:Correlation of IL-31 serum levels with
severity of atopic demtitis . J Allergy Clin Immunol,122:421-423.2008

そして免疫抑制剤がこのIL-31を抑制できることが
わかっていますが、副作用の問題から汎用はできないのが現状でした。
*3 Otsuka A et al:Effects of cyclosporine on pruritus and
serum IL-31 levels in patients with atopic dermatitis.
Eur J Dermatol.21:816-817,2011

先日、九州大学生体防御医科学研究所の福井宣規教授らの
研究グループは、近年アトピー性皮膚炎におけるかゆみの
惹起物質である「IL-31」の産生に、EPAS1という
タンパクが重要な役割をしていることについて発表しました。
このEPAS1を抑えることでIL-31の産生を抑制し、
アトピー性皮膚炎のかゆみを抑えることができるため
今後新たなかゆみの治療薬の開発が期待されていた
ところでしたが

このEPAS1を抑えるお薬とはまた別の
IL-31を抑えるお薬の第Ⅱ相試験において
有効性と安全性が確認されたとの朗報が
入ってまいりました。
*N Eng J Med 2017;376:826-835

かゆみに関係しているケミカルメディエーターの
需要な一つであるIL-31が結合して作用する受容体に
変わりにくっついて、IL-31の作用を抑制するものです。
nemolizumab
抗インターロイキン(IL)-31受容体ヒト化モノクローナル抗体」と呼びます。

日本、米国、欧州において
成人の中等度から重症で
塗り薬だけでは十分にコントロールできない
アトピー性皮膚炎の患者さん264例を対象として試験が行われました。

4週間に1回皮下注射し、12週間経過をみています。
かゆみの改善効果は早く、投与後1週間から著明に
かゆみが減少しています。
そしてその試験後に、長期安全性・有効性をみる
試験においては、1年以上nemolizumabを継続投与
した結果、かゆみの改善の維持と、皮膚症状の持続的な
改善傾向が認められ、安全性上の重大な問題もありませんでした

まだまだこのお薬が使用できるようになるには
時間がかかりますが、
改善しにくいアトピー性皮膚炎のかゆみ治療が
前進しています♡
早く楽になりますように♡

 

投稿日:2017年4月11日  カテゴリー:★ 院長ブログ・医療情報 ★, アトピー性皮膚炎