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ミノキシジル内服のFDA boxed warning(警告)、COVID-19関連脱毛など 第120回日本皮膚科学会総会より

予約が大変込み合いご迷惑をおかけしているなかですが、
昨日はお休みをいただきまして日本皮膚科学会総会に参加させていただきました。
コロナのため、このところオンライン参加ばかりでしたが、
ワクチン接種をしたこともあり、念のため抗原検査で陰性を確認し、
今回は久しぶりにリアルでの参加をいたしました。

今回私が特に興味が強く視聴したのは、
やはりこのコロナ禍ということがありCOVID-19関連のセッションです。
皮膚科には、あまり関係しないような印象があるかもしれませんが、
発症に伴う皮膚症状の報告や、皮膚疾患で使用する内服薬イベルメクチンのCOVID-19に対する有効性についての情報など詳しく知りたかったことがあり、今回はその最先端の有識者の方々から情報を得ることができ、大変有意義な学会でした。

まずは、COVID-19感染に伴う脱毛症状について。
円形脱毛症のセッションでその機序についての可能性について解説がありました。
単なる偶然か、感染したことによるストレスや消耗かとも思っておりましたが、
免疫学的に説明できる理由があり非常に勉強になりました。
感染後1ヵ月後頃に生じ、頭部全体の脱毛に移行する例もあるようです。
多くは一般的な円形脱毛治療で改善しているようですが
COVID-19との関連する根拠はあるようでした。

またその前に、円形脱毛症においても最新の病態理解、新知見についても
知識を深めることができました。
円形脱毛症治療において、アトピー性皮膚炎を伴うかどうかにより
免疫療法や生物学的製剤による治療の選択、有効性の違い。
そしてステロイド局注(ケナコルト)における留意点
ステロリドの局所注射治療は、円形脱毛症の他、ケロイド治療、ざ瘡治療においても使用されていますが、その使用量に留意されていない現状についての注意。
使用している医師においてその合併症についての認識が薄く、月経周期異常、骨粗しょう症など全身性の副作用が生じる可能性があることへの認識とその対策。
使用希釈濃度の推奨濃度など非常に役立ちました。
最近私も患者様の中で、ニキビ(その方は正確には毛のう炎でしたが)に対して
他院でニキビができる都度ケナコルトの注射を頻繁に患部に打っているという患者様に遭遇し、有用であるがそのリスクについてご説明したところでした。
ざ瘡治療のガイドラインにおいて炎症の強い嚢腫状の硬結にステロイド局注は有効であり推奨度B(推奨される)とはありますが、その使用量や頻度についての具体的な基準はありません。
確かに有用なのですが、局所中注射とはいえ、半減期が長く長期間に渡り徐放され全身的な副作用を生じる可能性についての認識が甘い可能性があります。
今回のセッションでは合併症の生じる総使用量、使用希釈基準、合併症の対策について詳しく伺いました。

すべてにおいて言えますが
有効性が高い=良い治療 とは必ずしも言えず
その使用方法を慎重でないと、思わぬ副作用を生じてしまう可能性について
私たち医師は慎重でなければならないと思います。

まさにその例として、今回の脱毛治療のセッションにおいても
あがった脱毛治療におけるミノキシジルの内服治療の警告
2017年の男性型および女性型脱毛症診療ガイドラインより
ミノキシジルの内服治療は推奨度D(行うべきではない)となりました。
その問題点については以前に書きましたのでそちらをご参考にしてください>>>

ミノキシジルは降圧剤として開発されたものですが、
本邦では認可されておらす、もちろん脱毛治療薬としても認可されておりません。
それにも関わらず、医師が安易に処方したり、一般の方が個人輸入で入手して服用することがあり、医薬品医療機器等の観点から問題視されています。
現在、ミノキシジルの内服療法は、その利益と危険性が十分に検証されていないため、脱毛治療のガイドラインにおいて行わないように強く勧められています。
本邦において、平成30年10月30日厚労省からの生活衛生局監視指導・麻薬対策課からの通達で、医師からのミノキシジル処方3週間の服用での肝機能障害を生じた事例から注意喚起の連絡も受けております。
米国のFDAにおきましては、ミノキシジルの内服はboxed warningの扱いとなっております。
boxed warningとはリスクの可能性についてラベルに記載される警告文のことで、
医学的に深刻な、時には生命に関わる副作用を引き起こすリスクを伴うものを示すもので、警告の文章が黒枠で囲まれることからこう呼ばれています。
FDAによるラベル変更要請の中で、最も強い警告にあたります。
ミノキシジルの内服薬が脱毛治療に対してFDAが承認しているかのような虚偽の広告も見られますが、米国では高血圧症の薬としては承認されていますが、
AGA治療等脱毛治療に使用することは認められていません。
後ろ、現在は脱毛目的での使用をこのように警告しております。

その一方で近年J Am Acad Dermatolなどに、ミノキシジル内服の実際の効果についての報告お出てきておりますが、1mgの内服と5%の外用とでは効果が変わらないとの報告もでており、長期服用リスクと有益性を考えた場合に今のところはやはりイノキシジル服用は推奨されておりません。
有用性については、服用していた患者様を拝見したところでは
確かに、承認薬のフィナステオリドやデュタステリドとの併用において
育毛効果が高い印象おありますが、長期投与の副作用リスクの点から
当院ではおちろん処方していおりません。
今後も情報の蓄積により安全性と有用性が確認されるまで使用はいたしません。

また治療ガイドラインにおいては、「行うべきではない」とされている未承認のミノキシジル服用において、有害事象が生じた際の医事紛争や医療訴訟においての裁判においてこのガイドラインは資料として用いられるかどうかは裁判官の判断によるとのことまでふれられております。当たり前ですが、それでも処方をするという医師は、その有用性と副作用についての十分なインフォームドコンセントを取るように書かれております。

ですが現状、医師による安易なミノキシジルの処方が増大している背景には、
皮膚科の医師はこのような情報を得ているため少ないようで、
皮膚科医でない医師の関与した脱毛治療によるものが大半であるということも今回いわれておりました。

前述しました様に
有効性が高い=良い治療 とは必ずしも言えません
美容医療においてはとくに、有効性が高そうであるとみると
長期の安全性について慎重でなく飛びつく傾向にあります。
長くこの分野で診療をしておりますと、有害事象でこっそり消えていく治療も非常に多く存在します。
改めてこれからも慎重に、常に情報を共有し、安全で有効性の高い治療を追及していきたいと思います。
そのためにも学会参加は重要ですので
これからもお休みををいただき参加させていただきますので
ご理解のほどよろしくお願いいたします。
そして学会でのこのような情報はなぜか皆さまになぜか伝わりにくい傾向にありますので、そこで得た情報はできるだけ皆様に提供をしていきたいと思います。

投稿日:2021年6月12日  カテゴリー:★ 院長ブログ・医療情報 ★, 美容・アンチエイジング