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幹細胞培養上清治療において重要な役割をしている「エクソソーム」の最先端の研究情報を聴いてきました

東京医科大学 医学総合研究所 分子細胞治療研究部門 吉岡祐亮 先生より
「細胞外小胞エクソソームがもたらす疾患と臨床応用に向けた研究」
についてご講演いただきました。

「エクソソーム」はさまざまな疾患の診断、そして新規治療の開発としての有用性について注目が高く、多くの大学病院で研究が進んでいます。
エビデンスもかなり構築され、臨床応用へとようやく入ってまいりました。
今回はその最先端の研究情報について得てまいりました。

当院でも肌の再生、髪の再生そして点滴投与による全身のエイジング、臓器の修復の目的でエクソソームを含有する幹細胞培養上清治療を行っております。

幹細胞培養上清による効果に重要な「エクソソーム」の中には
メッセンジャーRNA(mRNA)、マイクロRNA(miRNA)などの核酸が含有されており、これらが全身の細胞に作用して遺伝子のファインチューナー的な役割(微調整)を行っています。

まずはエクソソームの診断への応用。
病気になると、その疾患に特異的なmiRNAが放出されて、全身にその情報がいきわたります。
例えば前回お話をしたような神経障害や関節炎などが生じるとその情報をもったmiRNAが分泌されます>>>
血液検査や尿検査でその情報をもったmiRNAを検出すれば「このひとどこかに神経障害あるな」とか「関節の炎症、このくらい強いんだな」とかいろいろな情報を得られるというわけです。
それを応用して今もっとも研究が進んでいるのが癌の診断です。
健康な細胞だけでなく、癌細胞も悪いエクソソームを分泌し、転移をするのに都合がいいように血管や組織細胞に悪い情報を提供し、うまくだまして味方につける。
そんな働きをして転移を成功させています。
その癌細胞の分泌する悪いエクソソームを検出することで癌を発見できるというものです。
これまでの腫瘍マーカーは、癌がある程度進行して壊死したり、増大するときに分泌される物質のため、早期の癌の発見には役立ちません。
それに比べて癌エクソソームは癌ができた時、もしくは癌になる前の段階を発見することができる可能性が高いのです。しかも組織を採取して病理組織検査で検査をしなくても、血液検査など体液診断Liquid biopsy)で侵襲がなく何度でも検査ができるため、大変期待されています。

そしてエクソソームの治療への応用。
癌については、転移を助けている癌エクソソームを除去することで
かなり効率に転移を抑制できるようです。
癌以外においても、研究されています。
致死率の高い肺線維症。
診断されると2-3年で死亡する治療の難しい肺疾患です。
肺線維症に関係するエクソソームを吸入して肺に直接送ることでかなり良い効果を出しているようです。

私の父はこの肺線維症で亡くなりました。
このエクソソーム治療に間に合わなかったことが、とても悔やまれます。

そして、癌治療手術後のリンパ浮腫。
リンパ管の新生を促進させるエクソソームの投与で改善することがマウスで確認できています。


これらはごく一部です。さまざまな疾患治療に試みられています。
いずれもヒトでの臨床応用がこれから始まるところ(米国では始まったという情報も)です。
そしてすでに始まっているのが当院でも行っている脂肪幹細胞培養上清を使用した点滴治療です。

癌治療などの様に、ターゲットを絞ったエクソソーム治療ではなく、癌を予防するための免疫力を整えたり、
全身をエクソソームがパトロールして、痛んでいる組織を修復させる目的です。
皮膚に注射をするとお肌が若返り、頭皮に注射をすると髪の毛を再生させます。この際に効果に重要なのが幹細胞培養上清中のエクソソムーであることがわかってきました。
エクソソーム量は培養方法、培養過程の差で大きく異なります。
したがって最近では、幹培養上清製剤のエクソソーム量が少ない製剤においては、別にエクソソームのみを抽出した製剤を併用することで補おうと試みられていますが、
今、エクソソームの治療に応用するにあたって一番の課題は、
エクソソームの回収です。治療に必要なだけの多くのエクソソームを抽出することが最も難しい現状です。したがって、それらのエクソソーム製剤はやや疑問があります・・・。今度その製剤の説明会がありますので、鋭く質問してこようと思っています

もちろん今回も、普段気になっていたことをたくさん質問できました。
吉岡先生、ありがとうございました。

投稿日:2019年11月22日  カテゴリー:★ 院長ブログ・医療情報 ★, 健康情報・アンチエイジング, 美容・アンチエイジング