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第34回日本医学脱毛学会に参加いたしました。~蓄熱式脱毛の安全性と小児の脱毛についての話題を中心に~

週末はお休みをいただきまして、「日本医学脱毛学会」で講演をしてまいりました。

当院の手術担当の林原医師が今回学会の会頭を務め、今回は沖縄にて開催されました。
遠方にも関わらず、全国各地から医師・看護師が参加し、想定外の参加人数で大盛況におわりました。

私はシンポジウム「安心、安全な医療脱毛をめざして その1」にて
小児(小児に限りませんが)の脱毛治療を行うにあたって、治療を行う前に鑑別しておくことの必要な多毛の原因についてお話いたしました。

思春期や思春期前には、女性ホルモンの上昇に先駆けて、
生理的に男性ホルモンが多くなる時期があり、
病的ではなく一過性に多毛になることがあります。
それ以外にも、さまざまな病気の一症状として多毛が生じることがあるため、
脱毛治療を開始する前にそのような疾患の合併症の有無を確認しておく必要があります。
そのうちの一つが思春期多嚢胞性卵巣症候群です。>>>

それは、エステや医師の介入の少ない脱毛専門クリニック
などでは診断できませんので、
とくに小児の脱毛治療はそのような判断のできる医療機関
で行う必要があるということを強くお伝えしたいです。

そして、成人と異なり、特別な状態にある小児の毛を脱毛することの安全性や、
痛みの少ないことから小児の脱毛治療によく使用されている新しい機序の機器(蓄熱式脱毛、スムースパルス照射)での治療の長期の安全性についても、この学会でエビデンスを構築しているところです。

人の体には、何ひとつとして無駄なものは存在しません。
したがって脱毛治療によって、毛以外の組織のダメージは極力避けたいところです。
特に成長期の子供たちにおいてはせつに思います。

ご発表の中で、
比較的太い毛の脱毛治療の安全性は長い年月にわたり多くの症例の蓄積、エビデンスがありますが、うぶ毛のような細い毛まですべて脱毛してしまうことについてはまだ安全性が確認されているとは言えず、問題が生じうる可能性が否定できないと考えられ、不用意な脱毛は極力避けるようにした方がよいとのお考えを述べられた先生がいらっしゃいました。
毛包やその周囲には創傷治癒に対して大変重要な役割を
持っており、そのことを裏付ける臨床例を挙げられ、毛の役割の重要性についてお話されました。

以前に私が問題提起した蓄熱式脱毛、スムースパルス照射
における毛包幹細胞へのダメージへの懸念はまさに、この先生のご意見と同じ理由からです。>>>

長く蓄熱式脱毛を小児にも行っている有川スキンクリニックの有川公三先生からは、私の疑問にお答えいただく形でご発表がありました。
「毛の構造の違いが、蓄熱式脱毛レーザー効果に及ぼす影響」という演題で、
まだまだ不明な点が多い蓄熱式脱毛の脱毛効果の機序について
先生のお考えについてご説明くださいました。
私も含め、多くの医師の間では、
毛包幹細胞のあるバルジ領域のダメージが、他の機種よりも大きいのではないかという心配を持っており、それに対してお答えいただく形でご講演くださいました。
蓄熱式脱毛では、毛包全体で熱をやわらかに与え、
毛包周囲の栄養血管も含めて毛の再生能力を毛包全体で低下させ、
脱毛に至らせるという先生の理論で、
この場合には、毛包幹細胞のある領域は毛包脂腺のある場所に隣接しており、
その脂肪が断熱材的な働きをして比較的温度上昇を
うけにくく、ダーメージを起こしにくいとのお考えです。
この理論はまだ実証されていませんが、
先生は長く蓄熱式脱毛を行っていらっしゃいますが、
事実毛包幹細胞のダメージによると考えられるような有害事象はこれまでには出ていないとのことでした。

ですが一方では、数秒以内の短時間の照射では肌は
抗加齢効果があるが、
長い時間照射をすると加齢してしまうといった報告がでてきています。
「老化する」ことは幹細胞の維持機構の破綻もかかわりますので
このことは、長い時間をかけてじわじわと照射する方が
幹細胞にダメージをより多く与えてしまう可能性を意味します。
したがって照射方法や強さによっては、
まだ未知の想定外の作用が生じる可能性もゼロではありませんので、
特に小児においては、さらなる長期経過を詳細な追跡調査にて
安全性を確認していく必要はあります。

また、従来式の脱毛レーザーでも、毛包幹細胞へのダメージは少なからずあると考えられますが、ターゲットとなる濃い毛は永久脱毛にいたるものの、
肉眼的には見辛いうぶ毛は残ることが多いので、それらの幹細胞へのダメージは起こっていない可能性が高いですし、毛包幹細胞以外の幹細胞には熱が伝わりにくく
ダメージは少ないと考えられます。
それに対して、有川医師や、それを扱う業者にもうかがいましたが、
蓄熱式脱毛では従来式よりも細かいうぶ毛まで抜けることができるそうで、
このことは、ターゲットとしている濃い毛以外の周辺の毛にも、抜けるほどのダメージを与えている可能性があり、やはり従来式の脱毛レーザーよりも、さまざまなダーメージを与えてしまう可能性は否定できません。
ですが、発表の中で、小児への脱毛の追跡調査によりますと、
およそ40%近くの小児において、その後毛が再度再生されてしまっている調査報告がありました。
蓄熱式脱毛では(機種や治療方法にもよるかもしれませんが)
実は永久脱毛に至りにくいことも多いようです。
このことは逆に安全性について安心できる部分もありますが、再生能力活発な小児だから再生されてしまいやすいのか、
蓄熱式の原理によるものなのかはまだまだ不明です。

 

また脱毛治療に関する内容以外にも素晴らしいご講演もありました。
「医療現場のスタッフが円滑な組織運営をし続けるための効果的な方法」
日本ナンバーワントレーナー協会の中澤仁美氏による講演です。
医療現場において大切な人間関係を整えるコツ。
生き生きと楽しく働くコツ。
そのためには自分も、そして仲間も輝かせることで、組織全体が活躍できるチームワークを築くことにつながる。
この学会は医師だけではなく、看護師さんなどコ・メディカルの方の参加も多いのです。素晴らしい講演でした。

その中ででてきた「自己肯定感」を高めることの大切さ。
自分を受けいれ、自分を尊重し、自己の価値を感じて自らの存在を肯定することです。
他からの引用によると
「自己肯定感が高いと、どんな自分であっても、今の自分を受け入れることで、
外側からの評価でゆらされることなく、自分軸で自分の価値を感じ、自己承認できる力が高まり、そうすると感情が安定し、物事を肯定的に捉え、何事にも意欲的になれる」
自己を信頼できる自信の源ですね。

PCOSや多毛の悩みを抱える子どもたちは、この「自己肯定感」が低くなっているという研究報告があります。
*山本千尋ら.多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)と診断された若年女性の思い.母性衛生59(2)2018
よって私たちは、今考えられる最大の安全な方法でもって
早期に子どもたちの悩みを改善してあげることが、医師としての役目であります。私もこの学会に積極的に参加をし、周りに左右されることなく自己肯定感を高く持ち、たくさん発言をして
とことんしつこく議論をしたいと思います。

投稿日:2019年2月26日  カテゴリー:★ 院長ブログ・医療情報 ★, 美容・アンチエイジング