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乳幼児や高齢の方では、一部の抗菌剤の使用において低血糖、急性脳症の注意が必要な場合があります

抗菌剤の使用は、
それが必要な状態の場合もありますが
不必要に長く、また念のための使用は避けたいものです。
私たちの体の中に常在している菌たちに影響し、
良い作用の多い菌が減ったり、それにより
悪い作用の多い菌が増えて、そのバランスが壊れます。
特に腸内細菌叢の乱れは、様々な影響を及ぼしますので
可能な限り使用したくないものですね。

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先日の抗菌剤の適正使用について、薬剤師さんも含めて
勉強会をいたしました。
西階クリニック、なごみクリニック副院長の
亀井寛大先生にご講演いただきました。
その内容の一部をご紹介いたします。

お薬の中には、低血糖(血糖値が下がりすぎて、
倦怠感、動悸、震え、冷や汗、意識喪失、けいれん、昏睡、脳症などが起きること)
を起こすことのあるものがあります。

痰を出しやすくする去痰薬のカルボシステインは、
血糖を下げるインスリン様の作用をし、低血糖になることがあります。
また花粉症やじんましんのお薬の抗ヒスタミン剤
抗アドレナリン作用により低血糖をきたすことがあります*1。
ほかにも各種薬剤でありますが、これらとは異なる機序で
低血糖を起こす薬剤として
ピボキシル基を有する抗菌剤があります。
血中のカルニチンの減少により生じるとされており、
この抗菌剤の長期投与後に起きることがあるとされて
いましたが、乳幼児や高齢者においては数日間の投与でも
おこる可能性が指摘されています*2。

ピボキシル基をもつ抗生剤
セフカペンピボキシル・・・フロモックスなど
セフジトレンピボキシル・・・メイアクトなど
セフテラムピボキシル・・・トミロン、テラミノンなど
テビペネムピボキシル・・・オラペネムなど

 

中耳炎で長期服用により低血糖による
乳幼児の痙攣、意識レベル低下の報告が
目立ちますが、高齢者での報告もあります*3。

 

このピボキシル基は小腸での薬の吸収を高める目的で
付けられています
そして吸収された後にカルニチンと結合し
尿中へ排泄されます。
すなわちピボキシル基のついた抗生剤を服用すると
カルニチンが消費されます

カルニチンは食事からの供給が75%で、
肉類と乳製品に多く含まれます
よって菜食主義者では欠乏していることが多いです。
残りの25%は体内で合成されています。
そしてカルニチンはその96%が筋肉内に蓄えられています
乳幼児では、筋肉の成長があり、それに必要なカルニチン
の合成能力が不足しているため、外界から食事として
多くの摂取が必要な状態にあります。
高齢者においても、乳幼児と同様にカルニチンを貯蔵
している筋肉量が少なく、エネルギー代謝に必要な
グリコーゲンや脂肪酸の貯蔵も少ないため、
これらの抗生剤の服用で低血糖になりやすいと考えられます。

カルニチンはエネルギー代謝に必須の成分で、
脂肪酸を燃焼してエネルギーを産生する際に
脂肪酸をミトコンドリアの内部に運搬する役目を担っています。
したがってカルニシンが欠乏すると低血糖になります。

 

乳幼児や高齢者ではとくに
また成人でもピボキシル抗生剤を服用する際は
その必要性と服用期間について
医師とよく説明をうけ、
またカルニチンをサプリメントで
補充することも予防になりますね。
これらの抗菌剤を服用してからお子様が元気がないときは
注意してくださいね。

 

*1浜六郎:感冒関連脳症と薬剤性低血糖、
とくにカルボシステイン、抗ヒスタミン剤との関与について,
薬のチェックTIP 2001:16(11):112-5
*2島津恒敏ら:ピボキシル基含有抗生剤による低血糖,
薬のチェックTIP 2015:60(15):89-91
*3谷川真依子ら:塩酸セフカペンピボキシル投与により
高齢者に低血糖を起こした1例,医学検査 vol.62 no3.2013

投稿日:2017年4月17日  カテゴリー:★ 院長ブログ・医療情報 ★