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アトピー性皮膚炎など目の周りの湿疹の治療にステロイドの塗布は「緑内障」に注意!

以前にアトピー性皮膚炎の方は網膜剥離に注意が必要で
あることについて書きました>>>

きちんと目の周りの湿疹を治して
強くこすらないようにすることが重要です。

目の周りの湿疹は網膜剥離以外にも、
白内障、眼瞼下垂(まぶたのたるみの進行)
そして緑内障にも気を付けなければなりません。
アトピー性皮膚炎にかぎらず、
花粉症やアレルギー性の眼瞼炎(まぶたの湿疹)も同様です。

目の周りの湿疹の治療に、ステロイドの塗布を必要と
する場合には、眼圧のチェックなど緑内障に対しての
定期的な眼科検診が必要であるとする報告がありますので
ご紹介いたします。
★ ステロイド外用薬を使わないほうがいいという
説明ではございませんので、最後までご一読ください。

☆ 緑内障とは
少しずつ視野が狭くなる病気で、眼圧が高くなることで
生じます。

 

「ステロイド緑内障を併発した重症アトピー性皮膚炎の1例」
木村徹子 ほか 川崎医科大学皮膚科学教室
西日本皮膚科学会誌 78巻3号・2016

この報告の症例では、
コントロール不良な重症のアトピー性皮膚炎の患者さん
において、ステロイドの使用が原因による
ステロイド緑内障をきたしたというものです。

幼少時よりアトピー性皮膚炎がある方で、
これまでに悪化時にはステロイドの服用を20回ほど
受けていた事があります(プレドニゾロン換算で20mg/day程度を5~7日間)。
顔の湿疹に対してはstrongクラスやmediumクラスのもの
を直近の6か月で合計60g処方されていました。
→→→顔に使用するとしてはかなり強めのステロイドを大量に使用しています。

霧視の症状を自覚し、眼科で眼圧の上昇があり
ステロイド緑内障と診断されました。
その後(ステロイドの外用治療を減らすため)
ステロイドの服用に変更し、
さらに免疫抑制剤の服用へ変更し、
アトピー性皮膚炎のコントロールも良好になっています。

 

考察では、
ステロイドの外用治療と緑内障との関係について述べられています。

ステロイドの点眼におきましては、
その力価(強さ)、濃度、点眼回数に
緑内障の発症率が依存するとされていますが、
ステロイド外用剤(軟膏)では、強さと使用量と
緑内障の発症との関係は不明とされているとのことです*1。

一般的にはステロイドが目の周りで塗布・吸収されたり、
ステロイドのついた手で目をこすってしまうことで
結膜内に入り、眼圧が上昇するといわれてきました。

ただ、オランダの調査では、strong、very strongクラスの
ステロイドの塗薬を目の周りに
平均3.9日/週、6.4か月/年、4.8年間にわたり使用した37名
に、緑内障は発症しておらず、
眼圧の上昇とステロイド外用薬との関連性はないとの
報告もあります*2。
日本の報告では、1981年から1990年の9年間に
ステロイドをまぶたに塗布した場合の緑内障の発症は
5.6%と報告されています*3。

まぶた以外の顔へのステロイドの塗布により
経皮吸収されたことによる眼圧への影響は無視できる*3
とか、mediumクラス5g/月程度の使用では眼圧上昇の
原因にはなりにくい*4という報告が多いですが、
筆者らは、ステロイド外用剤により眼圧が上昇したと
考えざるを得ない症例も23例あるとも述べていますので
やはり気を付けている必要はあるといえます。

 

この中で、ステロイドの投与の投与方法は問わず、
ステロイドの使用により眼圧が上がりやすい
「ステロイドレスポンダー」と呼ばれる人たちが
30~40%いるとのこと。
また若年者では眼圧が高くなる影響を受けやすいことは
確かなようです*5*6*8。

そしてまぶたに塗布した外用剤が涙液に移行しうること。
アトピー性皮膚炎の患者では結膜のバリア機能が優位に
低下しており、ステロイドの眼内への移行が高くなる危険
があるという報告もあります。
ただ常識的な使用においては緑内障の心配はないと述べられています*7。

 

まとめますと、
まぶたへのステロイドの使用は、
アトピー性皮膚炎のある人、
若年者においては眼圧に影響する可能性があるので
使用している場合には、定期的に緑内障のチェックが必要。
そうでない人でも眼圧が上がりやすい体質の場合もある
ので、ステロイド剤をまぶたによく使用する人も眼科での
定期健診を受けたほうがよろしいです。

 

 

*1 酒井 勉ほか :ステロイド白内障・緑内.
Modern Physcian ,2009;29:703-704

*2 Haeck IM ey al :Topical corticosteroids in atopic
dermatitis and the risk of glaucoma and cataracts,
J Am Acad Dermatol,2011;64:275-281.

*3 勝島晴美ほか:副腎皮質ステロイド剤の皮膚外用
におけるステロイド緑内障の発生頻度.日眼会誌,1995;99:235

*4 有川順子ほか:アトピー性皮膚炎患者の眼圧と顔面への
ステロイド外用療法との関連性についての検討.
日眼会誌,2002;112:1107-1110

*5 羅 錦營他:「小児科医が知っておきたい眼科疾患」
ステロイドの眼合併症,小児科診療,2004;67:1269-1669.

*6 Ohji M et al:Marked intraocular pressure response
to instillation of corticosteroids in children.Am J
Ophthalmol,1991;112:450-454.

*7 横井則彦ほか:皮膚科治療の最前線 顔の皮疹に対する
ステロイド外用薬をどう考えるか(その6)眼科的立場
から.皮膚臨床,1995;37:1045-1050.

*8 大路正人ほか:小児におけるステロイド・レスポンダー
の頻度.臨床眼科,1992;46:749-752.

投稿日:2016年12月21日  カテゴリー:★ 院長ブログ・医療情報 ★, アトピー性皮膚炎