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第46回日本皮膚アレルギー・接触皮膚炎学会総会学術大会のご報告<その2>汗アレルギー

近年「汗アレルギー」という概念がでてまいりました。
これは汗が皮膚の刺激になって、
かゆくなるとか、湿疹ができるというものではなく、
汗のある成分にアレルギー反応を起こして
即時型の反応を生じ、じんましんがでます。

この汗アレルギーは
発汗に関係してでるじんましんであるコリン性じんましん
以外にもアトピー性皮膚炎でも合併しやすいといわれています。

 

* コリン性じんましんとは
運動したり、入浴など
体が温まったときに発汗に関係して出るじんましんで、
汗の腺に一致して細かくぶつぶつがでるタイプ
それとは関係なくじんましんが出るタイプとがあります。

このじんましんの原因はいくつか考えられていて、
一つには、汗の腺が詰まって、汗が出なくなっており
汗の成分が皮膚の深くで漏れて刺激になって出るという説と
汗のある成分に対してアレルギーすなわち
汗アレルギーがあってじんましんがでる説などが考えられています。

まだよくわかっていないじんましんでしたが、
後者の汗アレルギーに関しては、
ある程度反応している物質については判明しており、
現在すでに「好塩基球ヒスタミン遊離試験
(HRT(histamine release test)キット」にて
汗アレルギーの有無を保険診療で検査が可能です。

ただ、この物質(抗原)が、本質的には何であるのかは
わかっていませんでした。

 

今回の講演では、
「アトピー性皮膚炎と汗」平郡 隆明先生(広島大学)より

広島大学において、この抗原を同定したとの報告がありました。

これまでわかっていたアトピー性皮膚炎やコリンじんましんにおける
汗アレルギーの「汗抗原」を解析したところ
Malassezia globosaが産生する「MGL-1304」であることが
同定されました。
すなわち汗アレルギーでは、
汗の中に含まれる、皮膚に常在するカビの一種の
マラセチアから出るたんぱく質にアレルギー反応を
示していることが判明したということです。

 

他の文献によりますと*1
このマラセチアという皮膚に常在するカビはこれまでに
14菌種同定されていて、
そのうち9種類がヒトの皮膚で検出されています。
さらにこのうちアトピー性皮膚炎において多く検出される
菌種があり、アトピーの症状とのかかわりが示唆されています。
ところがこれらの菌種と汗抗原のMGL-1304とは一致しないそうです。
しかも犬の皮膚にいる種類のマラセチアに近いことより
今後はペット犬との関連についてさらなる解明が必要なようです。

*1 秀 道広ら:アトピー性皮膚炎にける汗アレルギー,
アレルギー65(3)179-185(2016)

 

* では、その汗抗原MGL-1304を減らすための
スキンケアはどうすればよいのか

シャワー浴にて汗抗原を減らす試みが有効であることの
報告があります。*2

単純な抗真菌治療が適切であるかどうかは、
まだ検証中のようです。

今回の講演では「タンニン酸」という
天然物質が汗抗原「MGL-1304」に対する反応を抑える
効果が認められており、
汗アレルギーに対する効果のみでなく、
アトピー性皮膚炎の皮膚症状やかゆみの改善に有効であることも
確認されているそうです。
このタンニン酸には、抗炎症作用も発揮している可能性
についての報告もあります*3。
現在は、このタンニン酸配合の入浴剤やスプレーでの塗布
による効果を検証中とのことです。

 

難治性であるコリン性じんましんや
アトピー性皮膚炎の一部の症状の改善に
あたらしい治療薬がうまれそうですね♪

 

*2 平郡 隆明 :真菌とアレルギー,皮膚アレルギーフロンティア
vol14,no.1 2016

*3 Karuppagounder V et al:Cytokine 76:206-213.2015

 

 

 

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