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瘢痕・ケロイド治療研究会に出席しました ~その1:熱傷(やけど)の治療~

先日の日曜日は、
都内で開催された「瘢痕・ケロイド治療研究会」に参加しました。
やけど、術後の傷跡、怪我による傷跡など傷跡を
きれいにする治療の研究、またケロイド体質の方の治療
などについて
そのスペシャリストの先生方が全国から集まりました。
今回は、そのまさに瘢痕ケロイド治療の第一人者といえる
日本医科大学形成外科教授の小川令先生の主催で行われました。
当院も、重症のケロイドの患者様を紹介させていただいております。

内容は医療従事者でありませんと、難しいですが、
このブログをご覧いただける方には医師の方も多く、
しばしば個人的にご質問などをいただきます。
また専門的な内容でもとても熱心にお読みいただいている
患者様が多く、受診の際にご質問を受けます。
ですので、今回もやや難しい部分もあるとは思いますが
できるだけわかりやすくして内容をお伝えしようと思います。

まずは、当院は湿潤療法(やけどの部分からでる体液には
傷跡をきれいに早く治す成分が多いため、
患部を乾かさず、体液を閉じ込めて治す療法です)を
行っているため、その治療を受けたいというご希望で
熱傷患者さんの受診が非常に多いです。
数日近所で加療されて、その後当院での治療を希望される
ことが多く、遠方からも受診されます。
最近はこの湿潤療法は標準的な治療ですので
近隣の診療所でも受けられますから、通院しやすい施設で
加療されてください。

この湿潤療法の際に、
bFGF製剤(塩基性線維芽細胞増殖因子)
フィブラストスプレー®を使用すると早く治すことができます。
皮膚が出来上がるのに必要な血管新生作用、
線維芽細胞増殖促進作用によります
これは保険適用がありますので、健康保険で治療を受けられます。

今回の学会においても、子供の手のひらのやけどにおいて
使用することによる効果についての発表がありました。
*「小児手掌熱傷に対するbFGFの治療効果の検討」
西條広人先生 国立病院機構長崎医療センター形成外科

当院でよく見かけるのは、熱した鉄板に手をのせて
しまったとか、炊飯器などの蒸気に手をかざしてしまって
やけどしたという子供のケースです。
後者の蒸気でのやけどは非常に深いやけどに
なる場合が多いので、お子さんの手の届かない場所に置く
ように気を付けてください。
小さなお子さんの手のひらにやけどを負うと、
将来的に瘢痕拘縮といって、傷跡が固く縮んで
手指の動きを制限してしまう後遺症が残ることがあります。
指の関節にやけどがまたがると起こりやすく、
のちに手術が必要になることもあります。
その手のひらのやけどに積極的にこのbFGF製剤を使うと
早く治り、跡の皮膚の質感も柔らかく良いという発表でした。
もちろん軽度の場合には必ずしも必要でない場合も
ありますので、担当医師の判断に任せてください。

ここで、早く治すことによる重要性についてですが、
やけどは、受傷した際にすでに深さは決まっていますので
ある程度の後遺症の目安が受傷時点でついています。
シミになるかもならないかも、
傷跡に残りやすい残りにくい、
植皮などの手術が必要であるないなど。
この他に、やけどの傷が治るまでに21日以上かかる場合に
瘢痕拘縮が起きやすいというデータがあります
最初のやけどの深さに加えて、早く治す手段をとることが
後遺症を軽減させる因子になるのです。
したがって深いやけどはこのbFGFを用いて
治癒するまでの期間を短縮させることは、非常に有用となります。
一般的には、21日たっても一向に皮膚ができてこない場合
には、植皮などの手術が必要となることが多いとされています。
ですのにだらだらと治らないものを同じ治療で継続
していると患部に感染症を併発し、やけどの傷はさらに深くなってしまうだけです。
このような保存的治療で治らない場合には、
植皮などの手術が必要と判断し、その専門施設へご紹介しています。

当院では成人のやけどの治療にもbFGF製剤を使用していますが、
患部に悪性腫瘍の既往があったり、
体のほかに癌がある場合には細胞増殖促進作用があるため
その病気を悪化させる可能性があるため
使用を控えることがあります。
そのような既往がある方は、事前にお知らせください。

また、皮膚が出来上がっても傷跡が目立っていたり、
植皮手術窓をうけて皮膚が治っても傷跡がめだったり、
その後その傷をきれいにするための研究発表もありましたので
続きをまた書かせていただきます。

 

 

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