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乾癬が薬剤性で発症したり、既存の乾癬が悪化することがあります。日本での報告。

以前にもこのブログで
βブロッカーという種類の高血圧症のお薬で
乾癬の発症リスクが高くなることがある
といった報告についてご紹介しました。>>>

乾癬について>>>

乾癬はお薬の使用により発症するきっかけになったり、
もともとあった乾癬が悪化することがあることが
以前から知られています。
ですが薬剤性であることには気がつかれにくく、
また乾癬が悪化しても単なる自然経過との区別が
非常に難しいため、見逃されてしまうことも多いようです。

*内田敬久ら 横浜市立大学医学部皮膚科学教室:
「薬剤性乾癬34例の臨床的検討」,日皮会誌:126(3),295-302,2016

今回のこの論文では、
日本において薬剤性の乾癬の診断のついている
症例の特徴について報告されています。

「この34例の年齢の37~84歳(平均65.5歳)
性別は男性19例、女性15例。
基礎疾患は高血圧が61.8%と最も多かった。」

とあります。
やはり以前より、乾癬の方には高血圧症や高脂血症などを
合併している方が多いことや、それらが顕著になると
乾癬が発症したり、また最近では逆に乾癬の方は
高血圧や高脂血症になりやすいなど多くの因果関係が
指摘されていることに合致します。>>>
メタボリックスキンシンドロームについて>>>

 

この報告での薬剤性乾癬の原因薬剤が判明した薬剤の内容は、
「高血圧症の治療薬のうちカルシウム拮抗薬が12例(57.1%)、
β遮断薬が3例、アンギオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)3例、
アンギオテンシン(ACE)変換酵素阻害薬2例、メチルドパ1例」
高血圧の薬が多いです
海外ではβブローカーでのケースが多いですが、
薬剤の種類による使用頻度が日本と異なるのではないか
など考察されています。

そのほか
「非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)が5例」
いわゆる消炎鎮痛剤 痛み止めです

また乾癬の治療薬でもある
「生物学的製剤(TNF-α阻害剤)で1例」
「炭酸リチウム2例、リバビリン併用療法1例、
抗リウマチ薬(ミゾリビン)1例」
これはやっかいです・・・。
乾癬の治療薬で治療中に悪化する・・・。

 

この報告では、薬剤性に生じた場合の乾癬と
通常の乾癬との違いについて述べられています。
「尋常性乾癬にみられる典型的な葉状落屑を伴うものは
稀であり、紅斑の境界も比較的不明瞭なものが多かった。
部位も肘頭・膝頭などに多くみられる傾向はなく、
体幹、頭部、四肢伸側に散在性にみられた。
TNF-α阻害剤によるものは全例掌蹠膿疱型であった。」
薬剤性の場合には少し症状が違うことが多いようですね。
典型的でない乾癬の場合には、薬で生じた可能性も考える
必要があります。また乾癬をお持ちの方で、薬を飲んで
悪化した場合に、いつもと少し異なる症状のときには
お薬で悪化した可能性を疑う必要がありますね。


「原因薬剤投与前に乾癬のない27例のうち、

非偽薬が中止されたのは22例であった。
そのうち皮疹が消褪したのは17例(7%)であり、
軽快したものの部分的に皮疹が残存したのは5例(23%)であった。
薬剤中止後消褪までに要した期間は2週間~4週間であった。」

「原因薬剤投与以前に乾癬または掌蹠膿疱症がみられた
7例は、いずれも薬剤中止により速やかに改善し、
4週間以内に投与以前の状態に回復した。」

薬で誘発された乾癬も、薬で悪化した乾癬の場合にも
薬が原因の場合には、中止することで改善する場合が多いです。

今すでに血圧の薬を服用している方は、
悪化因子になているのか判別するのは
とても難しいですね。
「発症までのようやく期間は高血圧治療薬投与開始2週間以内
に6例が発症した一方、
同じ高血圧治療薬で2年以上の長期間投与されたのちに発症した
症例も2例みられ、発症までの経過は患者により
大きく異なることが示唆された。」
高血圧症そのものが乾癬の悪化因子でもありうるので
高血圧の薬でなのか、高血圧でなのか
なかなか難しいところです。
薬剤を変更をご相談してみていただくのもいいですね。

 

 

 

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