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メタボリックスキンシンドローム ~メタボリックシンドロームとアトピー性皮膚炎、そして腸内フローラの乱れ(dysbiosis)~

近年肥満やメタボリックシンドロームと
関連した皮膚疾患がしられるようになり
メタボリックスキンシンドローム」と提唱されています。
今ではアトピー性皮膚炎は、皮膚のみに問題がある疾患ではなく、
全身性の臓器が関連する慢性炎症性疾患
と考えるべきといわれています。
皮膚のみをコントロールするのではなく、
全身性に管理する必要性があります

アトピー性皮膚炎と
肥満や脂肪肝、心疾患、脳卒中、糖尿病など
メタボリックシンンドローム近縁の疾患との関連性に
ついての報告がありますので紹介します。

 

まずはアトピー性皮膚炎の方の食生活習慣の傾向について。
大阪大学およびその関連施設における調査によると*1、
「なんらかの皮膚疾患のある患者262人において、
アトピー性皮膚炎の患者では、そうでない患者に比べて
朝食を摂る頻度が少ない一方で、夜食を摂る頻度が
多かった。また食事時間が不規則な傾向を認めた。」
とのことです。
食生活習慣の影響はありそうですね。
朝食を摂ることについては賛否両論ありますが、
傾向として、アトピー性皮膚炎の方ではとらない
方が多いのは興味のあるところです。

また、
過去に食物アレルギーと診断されたこと
がある人がアトピー性皮膚炎の患者では約31.1%

アトピーではない方では9.2%とあります。
アトピー性皮膚炎の発症、悪化、現在の症状との関連は
分かりませんが、
何らかの関連があることが示唆されます。
免疫機能を整える腸でのバリア機能が壊れることにより、
食物抗原が侵入してアレルギー反応を起こす遅延型フード
アレルギーとの関連が議論されている中で、
非常に興味深いデータです。
腸内(腸内細菌)の乱れ(dysbiosis)と
アレルギー性疾患、食物アレルギー、アトピー性皮膚炎
との関係については以前に述べました。>>>

 

肥満とアトピー性皮膚炎
肥満は炎症を引き起こすTNF-α、IL-6などの
炎症性サイトカインや
炎症を抑えるアディポカインの発現量に影響する
ことから、アトピー性皮膚炎の病勢に関与しても
おかしくはないと考えます。
現にこのアデポカインがアトピー性皮膚炎の患者に
おいて、アレルギーの指標であるIgEの値に有意に
負の相関を示したという報告もあり*1、
今後肥満との関連のさらに明らかとなっていくもの
と思われますが、現時点では、
肥満とアトピー性皮膚炎とは関連があるという
報告もありますが*2*3、関連がないという報告もあり*4
まだ議論されるところです。
ただし肥満そのものとの関連はまだ結論がついて
いないものの、メタボリックシンドロームの症状でもある
心疾患や糖尿病、脂質代謝異常(高脂血症など)、
高血圧そして脂肪肝などとの関連に関する報告は多くあり
*5、
前回述べた乾癬と同様に>>>
皮膚のみを管理するのではなく、
アトピー性皮膚炎の悪化を防ぐためのみならず、
全身的な管理、肥満対策(日本人においては必ずしも
外観が太っているとは限りません)、
そして肥満にも食物アレルギーにも関係する
腸内フローラ管理を行うことは重要と考えます。

これからは「変わる皮膚科診療」
「皮膚のみを診てもらっていても治らない!」です。

 

*1.室田浩之ら:メタボリックシンドロームと
アトピー性皮膚炎:皮膚アレルギーフロンティア
vol.13.no1.2015 25-27
*2.J L Cilverberg et al: Association between atopic
dermatitis and obesity in adulthood. The British
journal of dermatology.2012 Mar;166(3)498-504
*3.Jpnathan L Silverberg et al:Central obesity and
high blood pressure in pediatric patients withatopic
dermatitis. JAMA dermatology.2015 ;151(2);144-52
*4.Darlenski R et al:Clin Dermatol 32:409-413,2014
*5.Jonathan L Silverberg et al:Eczema and
cardiovascular risk factors in 2 US adult population
studies. The Journal of allergy and clinical immunology.
2015 135(3);721

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