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メタボリックスキンシンドローム ~メタボリックシンドロームと乾癬、そして腸内フローラの乱れ(dysbiosis)~

乾癬(かんせん)は、
日本では人口の1~3%の方が
持っている皮膚疾患といわれています。
そして近年増加傾向にあります。
メタボリックシンドロームと関係した皮膚疾患
メタボリックスキンシンドローム」が注目されるように
なった疾患の一つがこの乾癬です。

Schuppenpflechte-Psoriasis am Haaransatz und auf der kopfhaut

 

schuppenflechte - psoriasis an armen und beinen - nahaufnahme

このように関節の背面や髪の生え際などの
白いかさかさした鱗屑と呼ばれる皮が付いた
赤い斑ができます。
数か所の場合もあれば全身にみられることもあり、
程度はさまざまです。

米国では、1970年代と比較して20年で2倍
中国においては1987年から3倍に増加している
皮膚疾患です。
肥満とメタボリックシンドロームとの関与が
指摘されていますので、食生活習慣のスタイルの
変化が影響していることが想像されます。

乾癬の患者におけるメタボリックシンドロームは、
オッズ比2.26と健常人よりも高い割合を示し*1、
重症の乾癬患者では、心血管疾患、糖尿病、腎疾患
などによる死亡リスクが高く、平均寿命は73歳で、
乾癬のない人の79歳よりも有意に短いとの報告も
あります*2。
乾癬は全身性に慢性的に炎症が及ぶことで、
インスリン抵抗性(血糖調節機能の低下)や
血管の内皮の異常をおこし、
動脈硬化や心筋梗塞、脳梗塞を発症させるという連鎖
(「psoriatic march」といわれています。)
を起こします。

このように乾癬の方では 肥満があると、
脂肪の増加により、乾癬の悪化につながる TNF-αやIL-6
といった炎症を引き起こす物質が
脂肪組織から過剰に産生され、
また 同時に炎症を抑える方に働くアディポネクチンは低下
して、炎症が持続します。
すなわち乾癬の悪化や症状の持続に影響します
そしてまた乾癬の慢性的な炎症や肥満による脂肪組織での
炎症は、インスリン抵抗性(血糖調節機能 の低下)を引き起こし、
また肥満は腸内細菌叢へも影響し、さらに 肥満を促進させます。

このように肥満と乾癬、メタボリックシンドローム、
腸内細菌叢の乱れ(dysbiosis)が絡みあい、
悪循環となります。

乾癬とメタボリックシンドロームとの遺伝子制御の
関連性は今のところ低いとされていますので、
肥満やメタボリックシンドロームになると
必ず乾癬になるわけではありませんが、
肥満と乾癬の合併は共通の病態が存在するのは
確かなようです。
ただし、肥満があるから乾癬になりやすいという考えと、
乾癬があるから肥満になりやすいとの考えがあり、
いまだどちらが原因で、どちらが結果なのかは わかっていません。

以上のことより、乾癬は皮膚の治療だけではいけません。
乾癬を悪化させないような生活習慣の改善は、
乾癬体質の方が将来なりやすい心血管系の病気の予防
にもなり、とても大切です。
皮膚科で塗り薬だけもらっているような
通院ではいけません。
長期的に、病気にならないような予防ケアを
同時に受けましょう。

常々申し上げている「変わる皮膚科診療」
「皮膚だけを診てもらっていても治らない!」です。

 

*1.Amstrong Aw et al:J Am Acad Germatol 68:654-662,2013
*2.Abuabara K et al:Br J Dermatol 163:586-592,2010
*中島英貴 メタボリックシンドロームと乾癬
皮膚アレルギーフロンティア 2015.3 Vol.13 no.1 13-15

 

 

 

 

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